日経平均株価は目先の価格が上昇しても39500円程度が上値の限界になる公算
〇日経平均株価の本年の位置
今回は、日経平均株価の想定できる大勢の値動きを再確認した後、目先の展開を考えてゆきます。
以下では、一定の流れができる場合、5つの波のパターンを形成するということを前提としていますが、必ずしも5つの波のパターンを作るわけではありません。
値動きを予測する場合、まずは基準を決め、基準に沿っているか否かを見極めることで、次の展開を考えてゆきます。
未来のことを推測しているので、1秒先のことですら、わかっていることなどありません。
テクニカル分析が好きな方は、確率が高いと、未来を示していると思っている方もいるようですが、確率などなんの役にも立ちません。
重要なことは、自分の中で裏付けのある判断の基準を持つことと、その時点ごとの値動きからわかる現状を、自分のフィルターを通さずに認識することです。
図表01は、日経平均株価月足です。
日経平均株価は、08年10月以降、大勢の上昇局面へ入っています。
この上昇が5つの波のパターンを形成すると見た場合、2018年10月までが1波、2020年3月までが2波、2020年3月以降が3波目の上昇局面とカウントできます。
3波は、さらに小さな(1)～(5)波に分かれて、3波全体の上昇の流れを作っています。
以前にも紹介している通り、24年3月以降の下げが、2020年3月以降の上昇途中の調整の中で、最も値幅が大きくなっているので、2024年3月の高値41087円は、3波の中の(3)波の終点だと考えられます。
この見方が正しければ、本年3月以降の動きは、3(2)波（2021年9月～2022年3月、6114円幅）と同程度の値幅の3(4)波の調整場面へ入っていると推測できます。
図表02は、日経平均株価週足です。
5つの波のカウントは、あいまいなもので、結果を見て正解を知るしかありません。
図表01では、22年3月の安値を3(3)波の始点としましたが、2023年1月の安値が始点である可能性も残されています。
そのように見ると、昨年6月以降の調整と、本年3月以降の下げが同程度の調整となって、本年後半に3(3)波の最終段階の上昇が残されていることになります。
5つの波は、よく見られる動き方として、3波だけが長いパターンと、1波、3波、5波のそれぞれが同程度の長さになるパターンがあります。
24年4月の安値が調整の終点となって、本年後半に最終段階の上昇を残していると見るなら、2023年1月以降の上げは、1波、3波、5波が同程度の値幅の上昇場面になる可能性が出てきます。
その場合、本年は、年末へ向けて、4月の安値36733円から8000円幅の上げを残している（44000円以上を目指す）と推測できます。
今回、強気の見方を紹介した理由は、年末へ向けて、40000円以上を目指す可能性が出てきたからではありません。
現在は、2024年3月以降が2021年9月～2022年3月までと同程度の値幅（6114円幅）の調整場面となって、34973円を目指す動きへ入っていると考えられます。
弱気の見方が正しければ、目先の価格が上昇を開始しても、41087円へ接近する動きにならないと考えられます。
しかし、目先、急上昇を開始して、一気に41000円へ接近する動きがあらわれるなら、その時点では、34973円まで下げるという見方に固執するのではなく、実際の値動きを素直に受け入れる必要があります。
今後の展開次第では、今年、年末へ向けて、再度値幅の大きな上昇場面が控えている可能性を頭のすみに入れておきます。
〇日経平均株価の5月の展開は3通り
図表03は、日経平均株価日足と目先の想定できる展開です。
4月29日の記事では、「日経平均株価の5月は、上下どちらへ向かう場合でも、月初から一定の流れを作る傾向がある」と紹介しました。
過去の経験則に従うなら、目先の価格が上昇を開始して、5月7日の高値38863円を超えると、5月2日の安値37958円が5月の最安値となって、5月が上値を試す流れになる可能性が出てきます。
強気の展開になる場合、4月19日以降の上昇は、上値、下値を切り上げるジグザグを経過して、上昇の流れを再確認する動きになります。
さらに、少なくとも5月中、2日の安値37958円を割れずに下値堅く推移すると考えられます。
下げ余地のない状況で、上昇の流れを確認するのですから、38863円を突破した後は、一時的にせよ、勢いの強い上昇場面になる可能性を無視できなくなります。
そうなると、目先は、一気に戻り高値41087円を目指す動きになることも十分に考えられます。
前述した通り、筆者は、現在が34973円まで、または33000円以下へ下げる動きへ入っていると推測しています。
弱気の展開になるなら、6月頃、遅くても8月頃までに34973円へ到達する動きになると考えられます。
今後は、38863円を超えても、39500円前後が上値の限界となって、上昇が一時的な動きで終わり、すぐに上値を抑えられると推測できます。
5月の下値堅さを考慮すると、来週、再来週頃まで、ジグザグの動きを継続して、5月末頃までに下降を開始する準備を整える展開になるはずです。
週明け後、下降を開始して、37958円を割れる動きになると、7日の高値38863円が5月の最高値になって、5月の月足が陰線引けする展開になる可能性が出てきます。
その場合、目先は、一気に4月19日の安値36733円以下を試す動きになると考えられます。