【2020年2月9日記】2月の日経平均株価は下値堅い場所を確認する作業になる公算

【2月の日経平均株価は下値堅い場所を確認する作業になる公算】

1. 不安を先読みすることの意味が薄れてきている

2月8日の時点では、新型コロナウイルスによる中国本土での感染者が3万4546人、死者数が722人となっています。

半日ごとに感染者、死者が大幅に増加してゆく状況で、依然、終息する気配がありません。

ウィルス拡大を防ぐ対策として、1月下旬から十数都市を封鎖して、住民の移動を制限しています。春節後も工場の閉鎖が続き、経済活動が止まっている状態です。

世界各国では、感染拡大を防ぐため、中国からの渡航者の入国を制限する水際対策がとられています。

1月末の時点で、すでに多くの市場参加者は、中国経済への影響を防ぎようがないと考えていたはずです。

このような場合、これまでなら、市場全体に様子見ムードが広がり、価格が動かなくなるか、若干でも下値を試す動きになると推測できます。

中国は、3日、4日にそれぞれ18兆7000円億円、7兆7000億円という巨額な資金を市場へ供給すると発表しました。

少し考えれば、春節後、金融が動き出す際、余力のない企業が連鎖的に倒産することを防ぐための措置であって、資金力のない企業の借金が増えるだけで、経済を押し上げる効果などないことは明白です。

市場参加者の様子見ムードを変える材料にはなりません。

それにもかかわらず、先週のNYダウ、日経平均株価は、中国の景気対策が評価されて、一気に1月につけた戻り高値まで上昇する展開となっています。

このような動きは、昨年も頻繁にありました。

1つの例としては、米中貿易問題が挙げられます。これは現状を悪化させるものであって、未来の期待につながるものではありません。協議の進展は、現状を維持できる材料にはなりますが、新高値へと価格を押し上げる材料にはなりません。

それにもかかわらず、昨年11月、12月は、米中協議の進展を好感して、NYダウが史上最高値を更新し続けました。

これまで、気持ち悪い違和感を受け入れられませんでしたが、今回の件で、受け入れるべきだという寛容さを持つことにしました。

何を書いているのかわかりにくいかもしれませんが、不安や恐怖から解放されている自動売買が、目先の状況を価格に変換しているということです。

通常なら、先に不安があれば、多少の状況の変化があっても、いったん立ち止まって、不安が解消されるまで、積極的な行動が控えられます。

株式、先物等の取引の場合、不安がある以上、価格が上昇したところで、手じまい売りや、積極的な売りが集中することも考えられます。

今回の場合、人の行動の結果としてあらわれる値動きは、NYダウの場合、価格が上昇するとしても、1月31日の大陰線の範囲内でのもちあいだったと推測できます。積極的に戻り高値を目指すほどの上げにはならなかったと考えられます。

それ以上の上昇をもたらした理由は、超高速での取引により、目先の材料を価格に付与できるからだと考えられます。

これまでの不安だからやらないという判断ではなく、明らかに違う行動があらわれたからやめるという判断になっているため、試すことができる振れ幅が大きくなっています。

私の見ている未来は不安だらけですが、コンピューターの見ているその瞬間は、また儲かったということでしかないということです。

現在、自動売買が全盛だと言われていますが、すべてが超高速取引に変わっているわけではありません。

おそらく、多くの市場参加者が売り、買いのどちらでも積極的になりにくい今回のようなケースでは、様子見(取引量が減少)の中で、自動売買での短期的な意思が強く働きやすくなるのではないかと推測できます。

2月8日、FRBは、新型コロナウイルスの感染拡大による中国経済の混乱が世界経済の新たなリスクになるという認識を示しています。

人が積極的に行動できる程度にまで、表面的な状況(見られ方)が悪化してきたのですから、週明け後は、先週までとは違う流れになると考えられます。


2. 日経平均株価は2月の終値が2月の始値22874円付近になる公算

4月から新年度が始まるということもあり、3月、4月は、株式市場へ積極的な資金が入りやすく、取引量が多くなります。

そのような時期を前にした1月、2月は、3月からの値動きの準備期間のような時期となります。

過去の動きを見ると、1月と2月、3月と4月が似た展開になっています。

「1月、2月がもちあいで、3月、4月が上昇する」、「1月、2月に下値を試して、2月、3月が上昇する」、「1月、2月が上昇して、3月、4月が横ばいに推移する」というような動きに方になっています。

ちなみに、1990年から2019年までの期間で、見た目で1月から2月にかけて、横ばいとなっている場面(1月下げ、2月上げも全体として見た目横ばいとしています)は、「92年、93年、96年、97年、99年、01年、02年、03年、04年、05年、06年、10年、11年、13年、17年」が挙げられます。

これらの年の1月の始値から2月の終値を引いた差は、順番に「1692円、27円、180円、807円、588円、1015円、43円、307円、254円、283円、90円、483円、272円、955円、180円」となっています。

15年中、1000円幅を超えた年が2回しかなく、あとは、1月の始値と2月の終値がかなり近い値位置となっています。

3月以降の準備という意味で、以下のような傾向もあります。

3月、4月は、それまで下げの流れを作っている場面でも、さらに下値を掘り下げる動きにならず、下値堅く推移することが多くなっています。

1月から4月までの時期に下値を試す流れがあらわれる場合、3月、4月に下げるのではなく、1月、2月に積極的に下値を掘り下げる動きになります。

その場合、2月に一気に下げ幅を拡大する展開にはならず、1月から2月上旬頃までの期間で十分に下げて、2月後半は、3月へ向けて下値堅さを確認する作業になります。

本年は、1月6日の始値と31日の終値が近い水準で、1月が横ばいに推移する展開となっています。

前述した1月と2月の関係を考慮すると、2月も、始値と終値が近い値位置で推移する展開になると考えられます。

その場合の動き方は、「1月と似たレンジでのもちあいの動きとなる」、または「いったん下値を掘り下げた後、2月の始値22874円付近へ値を戻す展開」の2通りが考えられます。


3. 週明け後の日経平均株価は23000円の節目をテストへ

2月7日のNYダウが反落したことで、週明け後の日経平均株価は、寄り付き値が下放れて始まる公算です。

この下放れは、昨年11月から継続している23500円以上での上値の重さを再確認する動きになるので、週明け後は、昨年11月以降のレンジ下限となる23000円の節目を目指す動きになると考えられます。

今週の一段安を経過した後、23000円前後で下値堅く推移するかによって、その後の展開は、図表01の赤と青の実線の通り、2通りに分かれます。

なお、前述した1月から4月までの値動きの傾向を考慮すると、本年2月の終値は、1月の始値23319円に近い値位置で引けると考えられます。

図表01 日経平均株価日足と2月の予想線


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