【2019年12月1日記】ドル・円相場は12月から2月の期間のどこかで一気に100円を目指す公算か

【ドル・円相場は12月から2月の期間のどこかで一気に100円を目指す公算か】

1.FRBの利上げ後(2015年末以降)のドル・円の年末、年初の展開

図表01 2016年のドル・円相場日足
図表02 2017年のドル・円相場日足
図表03 2018年のドル・円相場日足

図表01から03は、2016年、2017年、2018年のドル・円相場日足です。
FRBが金融引き締め政策へ転換した2015年12月以降、ドル・円相場は、年末から年初にかけて急激に円高へ振れて、その円高分を年末へ向けて戻す展開となっています。
過去3年間のいずれも、12月頃から上値を抑えられて、円高の流れへ入り、1月に急激な円高場面を経過しています。

図表04 2019年のドル・円相場日足

図表04は、2019年のドル・円相場日足です。
2019年は、過去3年間よりも少し早い動きになっています。
12月頃に上値を抑えられる展開は同じですが、12月の中旬頃から円高が勢いづいて、1月上旬までの期間で、一気に急激な円高を経過しています。

2019年を含めると、直近の4年間の12月から2月頃までの展開が似た動きになっています。


2. 2020年も2016年から2019年と近い展開になる可能性がある

ドル・円相場は、1995年、1998年に日米が協調介入を実施して、日米ともに上下の許容できない場所、日米ともが協調できる場所を示しました。
その後は、米国の景気が上向いて、金利が上昇してゆく過程で円安が進み、米国の景気に陰りが出てくると(金利が下がって)、円高へ向かうという動きを繰り返しています。
2002年頃からは、円安の限界が下がり、120円が円安方向の壁となって、米国の景気にかかわらず、120円まで円安が進むと上値を抑えられる展開となっています。
円高方向では、100円前後が下値の目安になっています。

2019年1月以降、FRBは、これまでの引き締め政策を転換して、緩和政策へ舵を切り、6月から利下げを開始しています。
2016年から2018年の期間は、円安へ向かいやすい金融引き締め(利上げ)政策の中で、年末へ向けて円安方向の動きがあらわれる展開となっています。
一方で、本年は、FRBが利下げして、円高へ向かいやすい状況にもかかわらず、過去3年と似た展開となって、年末へ向けた円安の流れを作っています。

FRBの本年の政策転換が円安へ向かいやすいものであるなら、今度は、1月が円安へ向かう可能性を考えておきたくなるところです(何度も連続したので、今回は異なるのではないかと疑いたくなります)。
しかし、本年の政策転換は、円高の流れを作りやすいものなので、あえて、これまでの流れに反した動きになる展開を考えにくいと言えます。
本年も、昨年までと同様、12月頃から上値が重くなって、1月に大きく円高へ向かう動きになる可能性があると推測できます。

昨年までと似た展開になるなら、目先は上値の重さを確認する作業へ入る公算です。
図表05は、昨年までと似た展開になる場合の予想線を青の太線で示しています。

図表05 2020年の年初のドル・円相場日足

過去4回の急激な円高場面での振れ幅は、「2016年1月27日~2月11日が10.72円幅」、「2017年1月3日から2月7日が7.04円幅(3月10日から4月17日の円高場面が7.41円幅)」、「2018年1月8日から2月16日が7.86円幅」、「2018年12月3日から2019年1月3日が9円幅」となっています。
だいたい8円幅前後の急激な円高場面となっています。

ドル・円相場は、12月に上値重い動きとなって、12月中、あるいは1月以降に急激な円高場面になるなら、その円高場面では、2017年以降に形成してきた105~115円程度のレンジ下限を割れて、100円の節目を目指す可能性が出てきます。


3.日経平均株価の2020年の下値目標値は18360円

前回、日経平均株価には、24448円を超える展開と超えられない展開の両方の可能性が残されていると書きました。
日経平均株価が昨年10月の高値24448円を超える展開になるなら、それは、8月から勢い強い上昇を継続する格好で、年末から年初にかけて、一気に上げ幅を拡大する展開だけです(2020年のNYダウを弱気で見ているからです)。
現在、すでに上昇の勢いが終息していて、今後の価格が天井型を完成するなら、来年までの動きの中で、24448円の突破は難しいと推測できます。

ドル・円相場が12月以降、円高ぎみに推移するという見方が正しければ、日経平均株価の11月8日以降のジグザグの値動きは、ダブル・トップの天井型を形成する動きになると考えられます。

前回、日経平均株価は、2020年に15年6月の高値20952円から16年6月の安値14864円までの下げ幅(6088円幅)と同程度の調整場面になる可能性があると紹介しました(図表06を参照)。
12月以降に日経平均株価が下降を開始して、18年10月の高値24448円が当面の天井になっていることが明確になるなら、今後の下値の目安は、24448円から6088円を引いた18360円前後になります。

図表06 日経平均株価週足

4. 2020年の日経平均の下げ方

前回、日経平均株価が18360円まで下げる場合、18360円へ到達する時期が3月頃だと書きました。
その見方を補足しておきます。

年間の価格が弱気パターンになる場合、1月から3月までと、7月から10月までが、下げ幅の大きくなりやすい時期になります。
年間の変動幅は、両方の期間の下げ幅が大きくなることで達成するか、どちらかで一気に下げて達成する展開が考えられます。
3月までの18360円への到達は、3月までに急な下げ場面があらわれたときの下げの勢いを確認するまでわかりません。

2020年は、NYダウが弱気パターンの年になると見ているので、当然、7月から10月頃までの期間で、値幅の伴った下げ場面があらわれると考えられます。
この下げ場面で、日経平均株価が下値を掘り下げる動きになるか、3月頃までにつける安値が意識される展開になるかは、3月までの安値の値位置と、安値をつけた後の反発の強さによって変わります。

今のところ、ドル・円が100円を目指す動きになるなら、日経平均株価は、少なくとも2019年8月の安値20110円へ接近する程度まで下げると見ています。

図表07は、ドル・円が12月以降に円高の流れを作ると見た場合の日経平均株価の1月頃までの想定できる展開を示しています。

図表07 日経平均株価日足と予想線

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