【2019年12月8日記】NYダウ、日経平均株価とも、週明け後に上値を抑えられるかが焦点

【NYダウ、日経平均株価とも、週明け後に上値を抑えられるかが焦点】

1. 本年のNYダウは7月の高値を大幅に上回る積極的な上昇場面にならない公算

11月17日の記事では、NYダウが年末へ向けて年間の最高値を更新する場合、「(1)翌年へ向けた期待値が高く、株価が下がりにくい状態になっている、(2)翌年へ向けた上昇分を先取りして上げている、(3)上げやすい時期に短期的な買い材料に注目が集まって上昇している、という3通りの理由が考えられる」と紹介しました。

本年11月以降の年間の最高値を更新する動きは、本年以上を来年に期待できないので、年末へ向けた上げが来年の分を先取りする格好で上げているわけではなく、下げ難い時期に、短期的な買い材料によってあらわれている動きだと考えられます。

本年の期待値に対する上げ分は、7月までの動きで出し尽くしていると考えられるので、7月の高値27398ドル以上を期待して、積極的な買いが出続ける展開を考え難いと言えます。

したがって、12月3日以降の上昇は、11月27日の高値28174ドルを超えられないか、超えたとしても、すぐに上値を抑えられる展開になる公算です。

今後の価格が一時的にせよ上昇が勢いづいて、28174ドルを大幅に超える動きにあらわれるとするなら、それは、米中貿易協議で第一段階の合意が得られ、12月15日に予定されていた関税の引き上げが見送られることによってあらわれると考えられます(米中協議での合意が得られても、材料出尽くしで下げることも考えられる状況のため、材料に対する反応の割合は弱気有利と見ておいて下さい)。

米中の和解は、米中の景気を悪化させる引き金を引かないということに過ぎないので、株価が新高値を更新し続ける材料にはならないはずです。

12月15日を前に、関税の引き上げが見送られる展開になったとしても、価格が上昇できる期間は、最大で1月上旬頃までになる公算です。

上値の目安は、最大で28600ドル程度が考えられます。


2. NYダウは週明け後に上値を抑えられるかが焦点

図表01 NYダウ日足、2017年3月頃
図表02 NYダウ日足、2017年8月頃
図表03 NYダウ日足、2018年1月頃
図表04 NYダウ日足、2018年11月頃
図表05 NYダウ日足、2019年3月頃
図表06 NYダウ日足、2019年4月頃
図表07 NYダウ日足、2019年7月頃

図表01~07は、NYダウが値幅の伴った調整場面へ入った後、押し目をつけて戻る場面の日足チャートです。

これを見ると、値幅の伴った下げ場面へ入るときには、反転下降を開始する初期段階で、値幅の大きな下げがあらわれて、大陰線をつけていることがわかります。

この大陰線が推移した価格帯は、押し目をつけて値を戻す場面で強力な壁になり、その後、戻り高値を超えられるか否かを見極めるポイントになっています。

図表01~07を順番に見てゆくと、下降の初期段階でつける大陰線の範囲で上値を抑えられていることがわかります。

大陰線の範囲内で上値を抑えられて、下降を開始すると、その後は、下値を掘り下げる流れへ入っています。

大陰線の高値を超える動きになると、その後は、いったん上値を抑えられた後、大陰線の範囲内で調整を終了して、再上昇を開始する動きになる傾向があります。

図表08 NYダウ日足、週明け後に上値重い
図表09 NYダウ日足、週明け後に一段高

図表08、09は、最近のNYダウ日足に月曜日の想定できる足型を加えています。

NYダウは、目先の価格が11月27日の高値28174ドルを超えられないなら、週明け後、図表08のように、12月2日の大陰線の高値28109ドルで上値を抑えられる格好になる公算です。

12月11日にFOMCが控えているため、週明け後、すぐに急反落する展開は考えにくいため、足型が上ヒゲのあるコマ足、寄引同事線のような格好になると考えらえます。

今後の価格が28174ドルを超える展開になるなら、図表09の通り、週明け後の価格が上放れた後、一気に28174ドルを超える上げ場面になる公算です。

こちらの展開になる場合、28174ドル付近でいったん上値を抑えられても、すぐに上昇を開始して、年末へ向けて、28600ドルを目指す可能性が出てきます。

チャートが事前に未来を予測しているわけではありませんが、週明け後の価格が図表09の展開になる場合、12月15日に関税を引き上げないという結果になる可能性を考えおきます。


3.日経平均株価は天井型を形成中の公算

図表10 日経平均の月間の変動幅

図表10は、2013年以降の日経平均株価の月ごとの変動幅(月中の高値-月中の安値)を掲載しています。

2013年以降、だいたい月間の変動幅の目安が1300円幅前後になっていることがわかります。

2019年は、1200円以上の値動きとなっている月と、900円前後の値動きになっている月にわけられます。

900円前後の値動きとなっている月は、3月、4月、7月です。

これらの月は、戻り高値をつける過程で、下げ難い、上げ難い動きがあらわれて、結果として変動幅が小さくなっています。5月、8月は、月初から大きく下げる展開となって、それぞれ、1608円、1445円の下げ幅となっています。

11月は、変動幅が902円幅となっています。

4月、7月と同様、戻り高値をつける過程で上値重くなって、変動幅が小さくなっていると見るなら、12月は、下げ方向へ1200円以上の値幅の動きになると考えられます。

11月以降の動きとして、天井型を作る流れを継続しているなら、12月が900円幅程度の値幅の動きとなって、戻り高値をつける展開になることも考えらえます。

その場合、12月4日の安値23044円に900円を加えた23944円前後が戻り高値の目安になります。

図表11 日経平均株価日足と予想線

図表11は、日経平均株価日足です。

チャートには、12月の想定できる動き方を掲載しています。

12月1日の記事では、本年12月のドル・円相場が上値重く推移するか、急な円高の動きになる可能性があると書きました。

本年の日経平均株価は、1月から4月まで長く上昇の流れを作り、8月下旬から9月中旬まで、10月中旬から下旬に急な上昇を経過しています。

日経平均株価のこれらの上げ場面では、ドル・円相場が一本調子に円安に推移して、日経平均株価の上昇を後押ししています。

ドル・円が12月以降、上値重く推移して、2月頃までに急激な円高場面になるという見方が正しければ、関税が引き上げられるか否かにかかわらず、本年の日経平均株価は、12月に積極的な上昇の流れにならない(23900円までの一時的な上げがあっても、24200円を目指す動きにならない)と推測できます。


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