【2020年3月29日記】NYダウが25000ドル、日経が21000円を目指す可能性が出てきた

----- NYダウが25000ドル、日経が21000円を目指す可能性が出てきた

1. 急落後の急反発の判断の仕方、以前と現在の値動きの違いとは

NYダウは、先週まで、
上下どちらへも目安になる場所の見えない状態でした。
3月26日までの反発と、27日の反落により、
現時点では、ようやく、今後の動き方や目安にする場所が見えてきました。
今回は、過去と現在の値動きの違いを解説して、
現時点で推測できるいくつかのシナリオとその考え方を紹介します。


2. NYダウは18213ドルが6月頃までの底値になる公算

NYダウは、
3月23日の安値18213ドルから3月26日の高値22595ドルまで、
4382ドル幅の上げ場面となりました。
2月12日の高値29568ドルから3月23日まで、
11355ドル幅の下げを経過して、
安値から4営業日で38.59%を戻したわけです。
2016年以降、値動きが激しくなって、
1年間の変動幅が4000ドル幅を超えていますが、
それ以前がだいたい2000ドル幅程度が年間の変動幅だったことを考慮すると、
現状の激しさがわかります。

さて、前週の上昇により、はっきりとしたポイントが1つあります。
それは、2兆ドルの経済対策に効果があったということです。
27日にトランプ大統領は、
米議会が可決した新型コロナウイルスに対処する2兆ドルの大型経済対策法案に
署名しました。
内容は、家計への現金給付や企業の給与支払いの肩代わりなど、
売上高の急減や生活の困難に直面する企業や個人への「安全網」を整備すること
が柱になっています。
経済対策に合わせて、FRBは、無制限の金融緩和を発表しています。

3月23日からの上昇は、この経済対策が有効であり、
今後の株価が上昇すると判断した多くの投資家が作り出したものです。
したがって、少なくとも、経済対策が最大限に効力を発揮する期間、
NYダウは、3月23日の安値18213ドルを維持すると推測できます。
言い換えると、
目先、18213ドルを割れる動きがあらわれることは、
どんなことでも実行して景気を支えるという
政府の意思表示に効果がなかったことを示します。
それは、制御不能な状態を示し、
どうなればこうなるという予測など
意味のない展開へ入っていると見ておくことができます。
金融資本主義市場が正常に機能しているなら、
目先は18213ドルを維持して、下値堅く推移すると考えられます。

2兆ドルの経済対策は、
政府の渡航制限や外出禁止等の要請によって生じる損失を
最大限に埋め合わせる内容が中心です。
したがって、
無期限ではなく、6月末頃までが目安になっているものもあります。

経済対策の効き目が切れてくると、
市場では、
次を要求する格好で株価が下落する動きになることが考えられます。
3月23日の安値18213ドルでの下値堅さは、
少なくとも6月頃まで効果があると推測できます。


3. NYダウは週明け後の価格が上昇するなら25000ドルを目指す公算か

2010年以降、自動売買による高速取引が盛んになったことで、
徐々に値動きに変化が出てきています。
過去と現在のチャートの比較ではっきりとわかる違いは、上昇の仕方です。
値幅の大きな上昇は、
市場参加者の共通の認識を探るため、
上値、下値を試しながら、ジグザグに日柄をかけて上げ幅を拡大してゆきます。
これまでは、価格が上昇する場合、
長い期間で、振れ幅の伴った下げを何度か経過しながら、
ジグザグに上げていました。
一方で、最近では、値幅の伴った下げが何度も入らず、
一気に行けるところまで到達して、もちあい入りして、動かなくなる
(一定のレンジ内での取引になる)という傾向があります。
これは、
コンピューターによる高速取引が市場全体の状況を瞬時に共有してしまい、
日柄をかけて下げられない場所を試す必要がなくなったため、
あらわれている動きだと推測しています。

図表01 2009年のNYダウ日足
図表02 2016年のNYダウ日足

図表01は、2009年のNYダウ日足です。
図表02は、2017年のNYダウ日足です。
どちらも1年を通じて上昇の流れを作っています。
上昇している理由や環境が異なるので、
この比較に意味があるかはわかりません。
雰囲気だけ理解して下さい。
2009年は、
1年を通じてジグザグに推移しながら上昇していることがわかります。
2017年は、
一気に上げて横ばい、一気に上げて横ばいの値動きを繰り返し、
結果として1年を通じて上昇する動きになっています。

2020年1月23日以降の上昇は、
これまでなら、5月、6月頃まで、
日柄をかけて行ける場所を探る動きになってゆく展開を
シナリオの中心に考えておく場面です。
現在は、行ける場所があるなら、
そこまで一気に上昇してしまう展開を無視できなくなっています。

3月27日に価格が反落したことで、
週明け後の展開は、目先の動き方を知る重要なポイントになっています。
週明け後の価格が反発して、
3月26日の高値22595ドルを超える展開になる場合、
現在の上げがはっきりとした上昇の流れを作っていることを示します。
そのような展開になるなら、
小幅調整を繰り返して、一本調子の上昇の流れを継続して、
一気に行けるところを目指す動きへ入っている可能性が出てきます。
行けるところ(目標値)は、
3月26日までの上げ幅の大きさを考慮すると、
25000ドル程度か、それ以上の値位置が考えられます。
3月26日の高値は、
38.59%戻しの地点だと前述しました。
テクニカル分析的な目安で言えば、
次の目安は、50%戻しとなる23891ドル、
61.8%戻しとなる25230ドルが挙げられます。
3月26日までの上げ幅の大きさを考慮すると、
25230ドルが次の目安になります。

週明け後の価格が下げる場合、
3月26日までの上昇が急落後の反動高に過ぎないことを示唆します。
目先は、再度18213ドルを試す動きがあらわれて、
ここを維持する格好で下値堅さを確認する動きになると考えられます。
その場合の下値の目安は、20000ドル前後が考えられます。

週明け後の価格が上昇するか否かによる展開の違いは、
図表03の実線を参照してください。

図表03 NYダウ日足と目先の予想線

4. 日経平均株価は21000円以上へ上昇する公算も

NYダウが3月23日から26日まで、
4382ドル幅の上げを経過している間、
日経平均株価は、
3月19日の安値16358円から3月25日の高値19564円まで、
3206円幅の上昇場面となっています。
NYダウが25000ドルまで上昇する場合、
3月26日の高値から、
あと2500ドル幅程度の上げを経過することになります。
3月26日までと同じ比率で上げるとするなら、
日経平均株価は、3月25日の高値から、
あと1800円幅程度の上げ余地があると推測できます。
ただ、3月25日以降、円高の流れができているので、
円高が日経平均株価の上げ幅を抑えることになる可能性もあります。

NYダウの週明け後の展開に沿った日経平均株価の週明け後の推測できる動きは、
図表04の実線の展開が考えられます。

図表04 日経平均株価日足と目先の予想線

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