【2019年10月20日記】日経平均株価の年末までの見方を修正

【日経平均株価の年末までの見方を修正】

(1) 日経平均株価が10月に年間最高値をつける意味とは

図表01 日経の年間の高安出現場所

図表01は、1990年から2017年までの期間で、年間の最高値、最安値をつけた月を示しています。

上段は、年間が陽線引けする展開となった年に、年間の最高値を付けた場所の回数と確率、最安値をつけた場所の回数と確率を示しています。

下段は、年間が陰線引けする展開となった年に、年間の最高値を付けた場所の回数と確率、最安値をつけた場所の回数と確率を示しています。

年間が陽線引けした(大発会の値位置よりも大納会の値位置の方が高い)年では、6月までに年間の最安値をつけて、12月に最高値をつける動きになっていることがわかります。

年間が陰線引けした(大納会の値位置よりも大発会の値位置の方が高い)年では、6月までに年間の最高値をつけて、10月から12月に最安値をつける動きになっていることがわかります。

過去の展開から、日経平均株価の値動きを判断する場合、次のようなことを考えられます。

日経平均株価は、7月以降にそれまでの高値を更新する場合、年間が陽線引けする展開となって、年末までは、7月までにつけた安値を維持して推移する可能性があると見ることができます。

その場合、年末まで上昇の流れを継続して、12月に高値を更新する展開も考えられます。

7月以降にそれまでの安値を更新する場合、年間が陰線引けする展開となって、年末まで、6月までにつけた高値を超えられずに推移する可能性があると見ることができます。

その場合、9月から年末までの期間で年間の最安値をつける展開になると考えられます。


(2)2018年の日経平均株価がイレギュラーな動きとなった理由

2018年の日経平均株価は、10月に高値を更新した後、下降を開始して、12月に年間の最安値を更新して、年間が陰線引けしています。

2018年は、これまでの経験則にあてはまらない展開となりました。

この動きを単純にイレギュラーと解釈してしまうと、本年以降の予測にあいまいさが残ることになります。

7月以降に高値を更新する場合、年末まで堅調に推移する可能性がありますが、そうならない可能性も考えておかなければならないということになります。

それでは、どのような状況でも、どんな展開も許容できることになるため、予測の精度が高まる場所などなくなってしまいます。

予測の精度を少しでも高めるためには、昨年、想定外の動きとなった理由について、考えておく必要があります。

結論としては、2つの理由が挙げられます。

1つ目は、2013年以降の日銀のETFの積極的な買いにより、浮動株が減少したため、値嵩株を使って、日経平均株価を誘導しやすくなったということが挙げられます。

同じ理由で、日経平均株価の乱高下を作りやすくなったとも言えます。

2013年以前、NYダウと日経平均株価のチャートを見ると、日経平均株価が先行して戻り高値をつけることが多かったのですが、2013年以降、NYダウと日経平均株価の戻り高値をつける日が一致するか、近くなっています(この動きがどのような意味を持っているかについては、いずれ紹介します)。

2つ目は、自動売買が増えたことで、値ごろ感のない値動きになっていることが挙げられます。

人の行う取引であれば、それ以上に上げられない場所があるなら、その手前で値ごろ感が働き、事前に上値を抑えられてしまいます。

自動売買の場合、それ以上へ上げられない値位置は、そこまで試すことのできる場所へと変わります。手前で上値を抑えられるのではなく、そのあたりで上値を抑えられる展開になる可能性があると考えられます。

以上の理由が正しければ、日銀によるETFの買いが終了するまで、今後も、例年にない動きが続く可能性があると推測できます。


(3)予測のための材料の優先順位を変更

人が作る値動きであれば、人の思惑が値動きに反映されます。値動きが、事情通による先行的な仕掛けによって誘導されているのだとすれば、価格の変化は、材料に優先する情報を持っていることになります。

このような考え方をする場合、次のような推測が成り立ちます。

年末へ向けた年間の最高値の更新は、翌年へ向けて積極的な買いが入りやすい状況があるからこそあらわれる動きだと考えられます。

翌年へ向けて、弱い材料しかない状況にもかかわらず、年末へ向けて年間の最高値を更新するなら、翌年へ向けた、積極的な財政政策、金融政策が実行されるか、その他に株価を押し上げる材料が待ち受けていると見ておくことができます。

一方で、人の思惑が強く値動きに反映されにくい場合、値動きの変化が未来にあらわれる材料を事前に予測しているとは考えられなくなります。

そのような状況であるなら、年末へ向けて価格が年間の最高値を更新しても、翌年へ向けて弱気の材料しかみあたらなければ、材料の優先順位が高くなり、価格の上昇は、一時的で終わるという見方になります。


(4)日経平均株価の年末へ向けた展開を修正

前週、日経平均株価の年末までの値動きは、2通りの展開に絞られたと書きましたが、前週、年間の最高値を更新する上昇を経過したため、その見方を修正します。

図表02 日経平均株価日足と予想線

現時点では、図表02の実線の通り、4通りの展開が考えられます。

12月に年間の最高値を更新する格好で、本年が強気に推移する年になる2通りのパターンと、11月、12月へ向けて、年間の最安値を更新する2通りのパターンです。

図表03 日経の上下の目標値の目安

以前より紹介している年間の変動幅を達成する場合、今後の上値の目安は22741円以上になります(図表03を参照)。

目先の価格が22741円を達成した後、下降を開始する場合、年末へ向けた下げは、1月4日の安値19241円以下になる必要がなくなります。

10月18日の高値が戻り高値となって、下降を開始する場合、年末へ向けて再度22741円を目指す動きへ入るか、そのまま下げの流れを作り、19149円まで下げて、下げ方向で年間の変動幅を達成する展開になるかのどちらかが考えられます。

なお、年末へ向けて上昇する展開となっても、その上げは、1月以降にすべてを押し戻される動きになる公算です。

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