【2020年9月22日記】週明け後のドル・円相場の展開で日経平均の年末へ向けた上げやすさが見える

----- 週明け後のドル・円相場の展開で日経平均の年末へ向けた上げやすさが見える

〇 ドル・円相場の8月以降の見方

図表01 ドル・円相場の8月とそれ以降の展開

図表01は、ドル・円相場の8月の値動きと、年末までの方向との関係を示しています。

表の数値は、「8月1日~15日に推移した範囲(1日~15日の期間の最高値、最安値)を円安方向(レンジ上限突破)、円高方向(レンジ下限割れ)へ抜けた場合、年末まで、その方向で推移する展開になっているか否か」を示しています。

8月1日~15日のレンジを円安方向に抜けた年は、1997年、2002年、2006年、2012m年、2013年、2014年です。

これらの年は、2012年を除き、10月、または12月まで円安方向で推移しています。

2012年は、9月に安倍氏が自民党総裁となった後、10月以降にドル・円相場の流れが変化しています。

2012年のような特別な状況にならない場合、レンジを円安方向へ抜ける年は、年末へ向けて、円安の流れを継続する可能性があると推測することができます。

8月1日~15日のレンジを円高方向へ抜けた年は、必ずしも、そのまま円高の流れを作っているわけではありません。

ただし、2018年を除けば、一定のパターンがあることがわかります。

2018年は、FRBの利上げ政策が強く意識されて、12月中旬から翌年の年初にかけて急速に円高に進んだため、年末まで同じ動きにはなりませんでした。

2018年のような状況があらわれない場合、その他の年で見られる一定のパターンは、反対方向へ向かう場合、8月中旬から9月中旬頃までの期間で、押し目をつけているということです。

8月1日~15日のレンジを円高方向へ抜ける場合、「そのまま円高の流れを年末まで継続するパターン」と、「8月中旬から9月中旬の期間で押し目をつけて、反転して、年末まで円安方向へ推移するパターン」の2通りの展開となっています。

どちらになるかは、8月中旬から9月中旬までの期間で押し目をつけて、円安の流れへ入るか否かによってわかります。

8月1日~15日のレンジが年末へ向けた流れの目安になっているわけですが、それには理由があります。

9月が米国の年度末であり、米国へ投資していた市場参加者がドル資産を決済するため、その準備に入ります。また、10月は、米国の主要な企業の四半期ベースの決算期でもあります。10月の決算は、四半期ベースの決算の中でも特に注目されています。私募形式の特定の少数の投資家から集められたヘッジ・ファンドは、解約を決算期に限定するものが多く、1人の決済がファンド全体に影響を与えないように45日前に通知するというルールが設定されています。

このような状況から、8月は、ドル売り圧力が高まり、円高へ向かいやすくなっていると推測できます。

ドル売り圧力が強まり、そして、9月、10月に米国企業の景気後退感が強まると、円高へ向かう動きに勢いがつき、値幅の伴った円高場面になります。

一方で、ドル売り圧力が強まる時期にもかかわらず、大きく円高へ振れるような動きにならなければ、米国市場に投資家が引き付けられている状況だと判断できるため、8月に一時的に円高の流れになった後、すぐに下値堅い場所を確認して、9月に入ると、円安の流れへ入っていると考えられます。

〇 2020年のドル・円相場は、21日の安値103.94円が目安になる公算

図表02 ドル・円相場日足と予想線(21日の足型は22日3時頃までの値段です)

図表02は、ドル・円相場日足と、今後の予想線です。

8月のレンジは、下限が8月6日の安値105.26円、上限が8月13日の高値107.05円となっています。

8月19日にいったんレンジ下限を割れた後、レンジ上限を超えることなく、円高の流れへ入り、9月21日に103.94円まで円高が進んでいます。

21日は、103.94円をつけた後、強く下値を支えられる動きとなっています。

図表01でのパターンを考慮すると、本年年末までの展開は、「9月21日の安値103.94円が押し目になって、円安の流れへ入り、107.05円を超えて、年末まで円安ぎみに推移する」、「今後、107.05円へ接近することなく、円高の流れを継続して、年末まで円高方向に推移する」という2通りが考えられます。

どちらの展開になるかは、週明け後、下値堅さを示す動きがあらわれるか否かで見えてきます。

円安方向の流れができるなら、日経平均株価は、NYダウが上昇を開始する場面で、上げ幅の大きな動きになる可能性が出てきます。

〇 日経平均株価の週明け後の下げの下値の目安は最大で21664円前後

NYダウは、9月21日、9月10日の安値27447ドルを割れて、大幅安となっています。

今回の下げは、日本時間の21日、2時に世界で一斉に発信されたフィンセン文書がきっかけになっています。

9月というドルからの逃避が起こりやすい時期に、金融機関の不正に関する資料が出てきたため、21日は、市場が大きく反応したと考えられます。

下降が一時的で終わるなら、今週は、はっきりとした押し目底をつける展開になる公算です。

日柄をかけた下げの流れを作る場合、10月上旬まで、戻せば売られる展開になると考えられます(10月上旬頃に押し目底をつけて、再上昇を開始すると考えられます)。

以前より、本年の日経平均株価は、年末へ向けて30000円を目指す動きになる可能性があると書いてきました。

日経平均株価は、週明け後に大幅安となる公算ですが、強気の見方が正しければ、週明け後の下げが9月末まで、または10月上旬頃までの期間で押し目をつけて、再上昇を開始する公算です。

下値の目安は、3月25日~4月3日の下げ幅(1918円幅)と同程度になる21664円、6月9日~15日の下げ幅(1656円幅)と同程度になる21926円、7月15日~31日の下げ幅(1255円幅)と同程度になる22327円などが挙げられます(図表03の日経平均株価日足を参照)。

図表03 日経平均株価日足、目先の下値の目安

* 3月25日~4月3日の下げ幅を1636→1918へ、6月9日~15日の下げ幅を1374→1656へ、7月15日~31日の下げ幅を973→1255へ訂正しました。

*お詫びいたします。


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