【2020年2月16日記】本年のNYダウが弱気の展開になるなら、3月までに大幅な下げが必ずあらわれる

【本年のNYダウが弱気の展開になるなら、3月までに大幅な下げが必ずあらわれる】

1. 現実を確認して過去の予測を振り返ることで未来の見通しが開ける

これまで、NYダウ、日経平均株価の過去の経験則から推測できるその時点から未来のいくつかの展開を紹介してきました。

年明け後、1.5か月が経過して、実際の値動きが見えてきた部分もあります。

今回は、これまで書いてきたことのお浚いをして、今後の展開を考えてゆきたいと思います。

読んでいる方は、以前の予測を見直すというと、言い訳したいのではないかとか思うかもしれません。

予測する側にとって、自分の過去の読み方を振り返ることは、次の未来を見てゆくために重要な作業です。

11日、野村元監督がお亡くなりになりました。私は巨人ファンですが、松井氏の次に好きな野球人で、著書も多数読みました。著書の中に「失敗」と書いて「成長」と読むという言葉がありますが、今回、過去の読み方を振り返る意味は、失敗を次に生かすということではありません。

値動きの予測は、もともとわらかないことを推測しているだけなのですから、失敗などないのです。

先の予測をするときには、これだという1つのシナリオだけを考えているわけではありません。未来を予測する時には、その場面での材料のすべてを吟味して、多くのシナリオを想定しています。

過去に経過した状況の中で推測できる展開があり、時間が経過すると、動かすことのできない事実が積み重なります。

一定期間の動きが、過去に推測したシナリオの中の1つであれば、シナリオは絞られて、予測の信頼性が以前よりも増すことになります。

以前にまったく想定できなかった展開になっているなら、以前の自分の予測の根幹が間違っているということを教えてくれます。

想定外の展開になっているなら、知識が足りない、もともとの自分の予測の仕方が完全に間違っている、本質の部分の材料に見落としがあるなどのことが考えられます。 これから株式市場への投資を考えている方は、予想屋さんの現在の記事を読むだけではなく、過去の記事を順番に読んで、現在の予想の信頼性を判断して頂ければと思います。


2. 本年が弱気の年なら、遅くても3月に下げ幅の大きな動きがあらわれる公算

私は、昨年より、2020年のNYダウは、弱気パターンの年の展開になると書いてきました。

株式市場全体の動きは、以前より期待値が高いからこそ、全体の動きを示す指数が新高値を更新します。期待値が変わらないか、低いなら、当然、市場全体は上値重く推移することになります。

その年に上げ余地がない場合、投機的な動きがある市場では、上げられる分をいったん下げることによって、全体の変動を作り出すことになります。

トランプ大統領の減税、インフラ投資、規制改革等の景気刺激策による期待値は、2019年がピークとなり、2020年以降、横ばいか徐々に下がることになります。

2月14日、カドロー米国家経済会議委員長は、9月に追加減税を発表する意向であることを明らかにしました。

本当に実行されるなら強気材料になるかもしれませんが、今年前半の株価を押し上げる理由にはなりません。

今年前半は、昨年まで政府が積極的にお金を出すことで伸びてきた経済指標の伸びが鈍くなり、株式市場の上値が限られると推測できる状況の中で、いったん下げられる分を下げておくという反応になると考えられます。

以前の記事で、本年が弱気の展開になる場合、2007年10月から2009年3月までの下げ幅7729ドル幅の下げ場面になる可能性を考えておく必要があると書きました。

その場合、1月に2000ドル幅以上の下げがあらわれると書きました。

本年1月は、大発会後、すぐに上昇を開始しているため、想定した展開になりませんでした。

1月の展開は、本年が7729ドル幅の下げ場面にならない可能性を示唆しますが、本年が弱気の展開にならないことを示しているわけではありません。

弱気パターンの年になる場合でも、年初に上昇するケースは見られます。

ただ、今後、4月頃まで下げ難い展開になっても、本年が弱気パターンの年だと見ることができるかと言えば、そうではありません。

1950年~2019年までの期間で、年初よりも年末の値位置の方が低い、弱気パターンになっている年は、17回あります。

53年、57年、60年、62年、66年、69年、73年、74年、77年、81年、84年、90年、00年、01年、02年、08年、18年です。

これらの年の1月から4月頃までの値動きは、「年初からすぐに下降を開始して、下げ幅の大きな動きがあらわれている展開」と、「1月に上昇した後、上値を抑えられて、その後の価格が再上昇しても、1月の高値付近が意識される格好で、2月、3月に上値を抑えられて、その後、下降の流れを作る展開」のどちらかになっています。

つまり、弱気パターンの年になる場合、遅くても3月上旬頃までには、上値を抑えられて、いったん値幅の伴った下げ場面があらわれているということです。

本年が弱気パターンの年になる場合、1月の高値が意識される格好で上値を抑えられて、2月、または3月上旬頃から、いったん下げ幅の大きな動きがあらわれると考えられます(「いつまで弱い弱いと書いているんだ」と怒られそうなので、冒頭の前置きを書きました)。

1月に価格が下げなくても、今年の大勢の弱気見通しを変えることにはなりませんが、今後、価格が下げなければ、本年全体が弱気に推移するという見方が間違っている可能性を考慮しなければいけなくなります。

今後の展開は、そういう見方をしておいて下さい。


3. 日経平均株価は週明け後に下値堅く推移するかで月末までの展開が見えてくる

前回、日経平均株価は、「1月から4月までの値動きの傾向を考慮すると、本年2月の終値は、1月の始値23319円に近い値位置で引ける可能性がある」「そのため、2月10日以降、下降を開始する」と書きました。

前週は、積極的な下げ場面になりませんでしたが、2月の終値が1月の始値23319円と近い値位置になる可能性がなくなったわけではありません。

2月末の値位置が23319円に位置する展開になる場合、2月末までの動き方は、日柄が短くなった分だけ、絞られるという見方になります。

週明け後は、「いったん2月3日の安値22775円へ接近するか、ここを割れる程度までの下げを経過して、月末へ向けて値を戻す動きになる」、または「短期的に23500円以上で下値堅く推移して、月末までの数日で、一気に23319円まで下げる展開になる」かのどちらかが考えられます。

どちらになるかは、週明け後、2営業日程度の期間で、下値堅さがあらわれるかによってはっきりします。

「NYダウは、1月の高値が意識されて、2月、または3月に大きく下げる動きがあらわれる」、「日経平均株価は、2月末の値位置が23319円付近になる」などのことを考慮すると、今後は、図表01(NYダウ)、図表02(日経平均株価)の赤と青の実線のどちらかの展開が考えられます。

図表01 NYダウ日足と予想線
図表02 日経平均株価日足と予想線

© 2024 メルマガ掲載用サイト