【2020年3月22日記】NYダウ、日経とも弱気有利だが、週明け後に反発調となる公算も

----- NYダウ、日経とも弱気有利だが、週明け後に反発調となる公算も

1. 今回は大勢の強弱のポイントを割れた後の判断の仕方を紹介

前回は、NYダウの3月12日の安値が押し目底になって、
13日以降の価格が下値堅く推移する可能性があると書きました。
そのように推測した理由は、
3月12日の安値が大勢の強弱のポイントになる場所だからです。

今回は、3月12日の安値を割れたことにより、
割れる前との予想の仕方がどのように変わるのかについて解説します。


2. NYダウは16日の下げで大勢の弱気を明確にした

前回、NYダウが反発を開始すると書きましたが、
想定の通りにならず、16日以降も下値を掘り下げています。
今回も押し目をつけて上昇する可能性があると見ていますが、
前週と今週の見方には明確な違いがあります。
以下では、前週と今週の見方の違いについて書いてから、
今週、どのような値動きになれば上昇する可能性があるのかについて紹介します。

前週と今週の見方の違いは、
最初につける目立った安値が底値だと見ることができるか否かです。
判断の基準になるポイントは2つあります。
値位置に注目が集まっているかと、
株価を押し上げる政策の効力です。

過去の値動きの経験則から多くの市場参加者が目安にしている地点には、
何も意味などありません。
そこで反転しなければいけない根拠などありません。
それにもかかわらず、
下降していた価格がその場所で反発するということは、
きっかけがあれば買いたいと考えている市場参加者が多く存在しているからです。
言い換えれば、
目安になる場所、
値ごろ感のある場所が押し目底にならないのであれば、
その下げは、
すでに積極的な買い意欲のほとんどを消失した状態になっている
と考えることができます。

13日、トランプ大統領は、国家非常事態を宣言しました。
これにより、最大で500億ドル(日本円で5兆4000億円程度)を
感染拡大防止のために活用できるようになります。
また、先に成立していた83億ドルの緊急予算に追加する形で、
経済対策を実施することで、民主党と合意しました。

15日、FRBは臨時の会合を開いて、
事実上のゼロ金利政策と量的緩和を同時に導入する政策を発表しました。

NYダウは、3月12日の安値21154ドルが押し目になって、
13日の価格が大幅反発場面となりました。
2020年2月12日以降の下げは、
上場来の上昇局面を継続している状態なら、
2020年2月までの上昇局面の中で最大の下げ幅となる
2007年10月から2009年3月までの下げ幅(7729ドル幅)と
同程度の下げ幅になる地点21839ドル前後に値ごろ意識があり、
21839ドル付近で下値を支えられる可能性がありました(図表01を参照)。
3月12日の安値は、
下値の目安になっている場所へ到達してつけた押し目になります。

図表01 NYダウ月足

13日の大幅反発の後、
政府、中央銀行が株価の下落を止めるという強く意思表示しました。
3月13日の反発、その後の金融政策の発表は、
市場参加者の思惑というあいまいなものに明確な根拠を与えたわけです。

今後(来年以降)の価格が
2月の高値29568ドルを超える可能性を残していると
市場参加者が見ているなら、
3月12日の安値21154ドルが強い支持になって、
いったん大きく値を戻すと考えられました。

しかし、実際の価格は、
3月16日に反転下降して、
あっさりと21154ドルを割れて、
16日以降も下値を掘り下げる動きを継続しています。
16日以降の下げは、
2月までの上昇局面での買い意欲が完全に消失している状況を示しています。

16日以前は、価格が上昇する場合、
29568ドルを超える可能性を想定できる状況での上げで、
上昇後に価格が下げても、
21154ドルを大きく下回らないと考えておくことができました。
こちらの展開の場合、上げ余地が十分にあるので、
押し目をつけて上昇を開始する際は、
反動高から一気に上げ幅を拡大する展開を重視しておく必要があります。

16日以降は、価格が上昇しても、
29568ドルが当面超えられない壁になっている状況での上げで、
反転下降後、
下値を掘り下げる動きになる可能性を考えておく必要があります。
こちらの展開の場合、
値幅の伴った上げ場面に入るためには、
十分な下値堅さを確認して、
積極的な買いを新たに呼び込む準備が必要になります。
押し目底をつけた後、急落後の反動高があらわれても、
上げ余地が限られて、
押し目底となっている値位置付近を何度も試す動きになると考えられます。


3. NYダウが週明け後に反発するなら上値を試す動きへ入る公算

NYダウは、16日に一段安となったことで、
2月の高値29568ドルが大勢の大天井になっていることを示した
と前述しましたが、
目先、反発しないわけではありません。
下値堅いと判断できる値動きがあらわれれば、
短期的には上値を試す動きへ入る可能性があります。

3月20日の下げは、下値堅さを示す準備の動きと見ることもできます。
20日の下げは、かなり弱い動きで、
寄り付き値から大幅な下げ場面となって、
極大陰線をつける展開になっています。
下降を開始した2月12日以降、
連日で1000ドル幅以上の動きになっているように感じますが、
ローソク足の実体(始値から終値の幅)が1000ドルを超えている日は、
3月2日、9日、11日、13日、20日の5回しかありません。
その中で、陰線となった日は、3回だけです。
20日は、それだけ場中に積極的な売りが入り、
価格を押し下げる圧力があらわれたわけです。
弱気継続なら、月曜日は寄り付き値で大きく下放れて、
そのまま勢いの強い下げの流れを継続すると考えられます。
月曜日の寄り付き値が上放れる場合、
かなり強い積極的な売り圧力があらわれたにもかかわらず、
結果として、
3月18日の安値18917ドルを下抜けない動きが、
18917ドル付近の下値堅さを示すことになります。
月曜日は、寄り付き値で上放れる場合、
一時的にせよ、押し目をつけた後の反発場面へ入る可能性があります。
その場合、上値の目安は、
3月13日の高値23189ドル前後が考えられます。

NYダウの目先の展開は、図表02を参照して下さい。

図表02 NYダウ日足と予想線

4. 日経平均は明日の価格が上げるなら、しばし上値を試す展開になる公算

現時点では、
日経平均株価に反発を開始するというサインがあらわれていません。
ただ、前述した通り、週明け後のNYダウが反発する場合、
その上げは、寄り付き値が上放れることであらわれると考えられます。
目先の価格が強気の展開になる場合、
当然、日中のダウ先物が上昇して、
NYダウの寄り付き値での上放れへ向けた動きになると考えられます。
明日の日経平均株価は、
上昇の流れを作り、陽線で引けると考えられます。
そのような展開になると、
3月13日以降、大陰線が連続してあらわれているにもかかわらず、
13日の安値16690円を終値で大きく下回る動きにならずに反発する展開になります。
この動きは、
16690円以下での下値堅さを示す明確なサインになります。
明日の価格が上昇するなら、
目先は、一時的にせよ上値を試す動きになる可能性が大きくなります。
その場合、
目先は13日の高値18184円前後まで、上値余地が出てきます。

日経平均の目先の展開は、図表03を参照して下さい。

図表03 日経平均株価日足と予想線

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