【2020年5月10日記】本年5月の日経平均株価はNYダウよりも上げやすい動きになる公算か

----- 本年5月の日経平均株価はNYダウよりも上げやすい動きになる公算か

1. 2020年は年末に2月の高値へ接近する可能性が出てきた

トランプ大統領は、新型コロナウィルス蔓延を防止のための都市封鎖によって停滞した経済を守るため、3月から4月にかけて、83億ドルのワクチン開発補助、1900憶ドルの失業給付等、2.2兆ドルの家計、中小企業支援などを決定してきました。
5月に入り、都市封鎖を緩和して、経済重視の政策へ舵を切ると、追加の経済対策として、1兆ドルの規模の大型減税、公共投資を考えていると語っています。
追加の経済対策が選挙公約となって、今年後半、その期待値が高まるなら、NYダウは、今年後半から来年前半へ向けて、2020年2月の高値29568ドルを超える動きになる可能性を考えておく必要が出てきます。

前回、2020年のNYダウは、急落後に押し目をつけて上昇を開始した年である、2003年、2009年、2019年と似た展開になる可能性があると書きました。
今回は、過去3回の値動きを参考にして、本年が2月の高値を超える場合、どのような値動きになるか、いつ頃、どこに位置していればいいのかについて見てゆきます。


2. 03年、09年、19年のNYダウの動き方

図01 2003年のNYダウ日足
図02 2009年のNYダウ日足
図03 2019年のNYダウ日足

図表01~03は、前述した03年、09年、19年のNYダウ日足です。上方の赤線が前年の最高値の値位置です。
過去3回の値動きは、ほぼ似た展開となっています。
動き方は、(1)最初に勢いの強い上昇、(2)次に、緩やかにジグザグに下値を切り上げて上昇を継続、(3)勢いの強い上げ場面となって、一段高、(4)もちあい入り、(5)再度年末へ向けてはっきりとした上昇の流れを作る、というパターンになっています。
(1)は、底値を付けた後、1~2か月の期間であらわれています。
(2)は、勢いの強い上昇の流れがいったん終了した後、2~3か月程度の動きとなってあらわれています。
3回のケースでは、底値をつけている時期が異なりますが、(1)と(2)の期間にずれを修正して、5月末、6月末頃から(3)の次の上げ場面へ入っています。
(3)は、1カ月程度の上昇で終わり、7月、または8月に(4)のもちあい局面へ入ります。このもちあいは、だいたい10月までに終了して、年末へ向けた上昇局面へ入ります。
年末までに前年の最高値に接近、または到達する展開になる場合、(3)、(5)の上げ幅が大きくなる、(4)のもちあい期間に下値を切り上げるという動きがあらわれています。


3. 2020年の年末の値位置は6月までに見えてくる

図04 2020年のNYダウ日足と予想線

図表04は、本年のNYダウ日足です。
赤と青の線は、現在が(2)の動きの途中で、今後、(3)の上昇、(4)の調整、(5)の上昇場面があらわれる場合の想定できる本年のシナリオです。赤の実線は、本年中に2月の高値へ接近するパターン、青の実線が2月の高値へ接近できないパターンです。

以前より書いている通り、本年は、価格が上げる場合、その理由がはっきりしています。今後の価格が高値を目指す材料は、日常が徐々に戻ってゆくという話題です。
現状で行けるところへ到達した後、調整局面へ入ります。
今年後半に上げ幅を拡大できるとするなら、それは、大統領選挙でお互いに公約として掲げる景気対策が評価されることによる動きだと考えられます。

以上のことを考慮すると、本年は、5月から6月にかけて、(2)と(3)の動きがあらわれて、7月から9月にかけて(4)の調整を経過して、10月以降、(5)の上値を試す流れへ入ると考えられます。
今後、(2)、(3)を経過する過程で、27000ドル程度まで上昇できるなら、年末までに2月の高値に接近する可能性を考えておく必要が出てきます。


4. 今年の5月はNYダウより日経平均の方が上げやすい

感染者数、回復者数のグラフや、メディアの報道傾向、国民感情等を考慮すれば、緊急事態宣言は、遅ければ月末、早ければ再来週にも解除されると考えられます。
すでに市場参加者は、その前提で動いていると推測できるので、日経平均株価は、感染者の状況の変化で価格が大きく上下する流れにならないと考えられます。
6月以降、緊急事態宣言が継続することになれば、NYダウの状況にかかわらず、日経平均だけが9月頃まで、値幅の大きな下げ局面へ入るだけです。

今後の日経平均株価は、3月に底値をつけた後の動きと同様、NYダウの流れに沿った格好で上下すると考えられます。

政府は、緊急事態宣言の延長を決定したことで、新たに生じる経済不安を補填するため、来週から、追加の経済対策として、第二次補正予算の編成に入ります。
この数字次第では、NYダウの上昇よりも、日経平均株価の上げ幅が大きくなる可能性が出てきます。
2次補正が期待外れでも、NYダウの上昇に沿って日経平均が上昇すると考えられます。期待以上なら、日経平均株価は、上げ幅の大きな動きになる可能性があります。
つまり、5月は、NYダウよりも日経平均株価の価格の方が上昇する場面で上げ幅が大きくなる可能性があります。

図表05は、本年の日経平均株価日足です。
本年の日経平均株価が上昇する場合、図表05の赤の実線のように、5月中の上げ幅が大きくなる可能性があります。

図05 2020年の日経平均株価日足と予想線

© 2024 メルマガ掲載用サイト