【2020年10月25日記】NYダウの年末までのシナリオははっきりと2通りに絞られた

----- NYダウの年末までのシナリオははっきりと2通りに絞られた

〇 NYダウが材料に振り回される場面はすでに終わっている

11月23日のテレビ討論会の中で、トランプ大統領、バイデン氏は、追加の経済対策が決まらない理由を互いの責任だと非難しあっていました。

その状況を映すように、ペロシ米下院議長とムニューシン財務長官は、23日、協議停滞を巡り、いずれも相手側に責任があるとの姿勢を示しました。

最近、トランプ大統領の金額に対する妥協的な発言があったことを考慮すると、折り合えないところは、政党の利害の対立する部分だけだと考えられます。バイデン氏が有利という報道を考えると、あと1週間を残すだけになり、あえて、民主党側が妥協することも考えにくい状況です。

これまで、株価の動きが追加経済対策協議の進展状況、大統領選挙の予測に振り回されてきましたが、年末まで、2か月を残すだけになり、もう、どのような環境になっても、NYダウのシナリオは、2通りに絞られました。

週明け後の価格が上昇するなら、追加の経済対策で合意を得られる見込みがあるから上昇するのではなく、「現状でもまだ上がると見ている人が多いから上昇している」という段階に来ています。

あとは、週明け後、NYダウが上昇するか、下げるか次第で、年末までの展開がおおまかに見えてきます。

〇 NYダウは本年も年末へ向けて上昇を開始する公算

10月4日の記事で、NYダウは、年末へ向けて上昇する傾向があると書いたことを覚えているでしょうか。

NYダウは、1990年から2019年までの30年間で調べると、9月~11月につけた安値を12月に下回った年は、1991年と2018年の2回しかありません。

1991年は、2月から12月まで横ばいに推移して、12月11日にレンジ下限で押し目をつけた動きをきっかけに、上昇を開始しています。

もちあいを継続している中で、一時的に9月から11月の期間でつけた安値を12月に割れているだけです。

2018年は、FRBの金融引き締め政策に注目が集まったことであらわれた動きです。

本年は、方向感なくもみあっているわけではなく、FRBが引き締めに政策を転換することを考えにくい状況です。

選挙後は、米国で追加の経済対策が決まり、日本で補正予算が審議されることになります。

日米とも、中央銀行が大規模な金融緩和を実行している状況で、さらなる景気刺激策、雇用対策を検討しています。

本年は、例年の通り、年末へ向けて価格が上昇するという見方が有力です。

〇 NYダウが11月に下げる場合は月初から下げの流れを作る公算

10月18日の記事では、日経平均株価が11月に下げる場合、月初から下げの流れを作る傾向があると紹介しました。

同じ傾向がNYダウにもあります。

NYダウの11月は、1990年~2019年の期間で、月足が陽線引けする確率が73.3%となっていて、上げやすい月となっています。

11月の月足が陰線引けした年は、1991年、1994年、2000年、2003年、2007年、2008年、2010年、2012年の8回あります。

これらの年は、すべて、月初に月の最高値をつけた後、下降を開始しています。

11月は、上昇しやすく、下げる場合、月初から下げの流れを作る傾向があるということです。

〇 NYダウは11月はじめに価格が下げても26537ドル前後で下値堅い公算

NYダウは、9月から10月にかけて、下値を試す動きを経過して、その後、翌年へ向けた上昇の流れへ入ります。

大統領が誰になるかにかかわらず、下げ余地があると市場参加者が推測している状況なら、本年は、10月中に9月24日の安値26537ドルへ接近する動きがあらわれていたと考えられます。

前週末までの時点でそのような動きになっていないため、今後の価格が下げたとしても、下値を支えられやすい11月へ入り、(前述した強気の環境を考慮すると)積極的に26537ドル以下を目指す動きにならず、下値を支えられる公算です。

つまり、年末へ向けて価格が上昇するという見方が正しければ、9月以降の動きは、上昇途中のボックス型(または三角形型)中段もちあいと見ることができます。

来週、価格が上昇しても、週末頃に10月12日の高値28957ドル前後で上値を抑えられるなら、11月が月初から下げの流れを作り、下値堅い場所を探る(ボックス型のレンジ下限を試す)作業になるという見方が有力になります。

また、来週、価格が下げて、下値を試す動きになる場合、11月初め、または中旬に28957ドル前後で下値を支えられて、再上昇を開始する展開になると考えられます。

〇 NYダウは最近の下げで、価格が上昇する場合の展開がはっきりした

NYダウは、10月12日以降、値幅と日柄の伴った調整場面へ入っています。

これまでの動きを考慮すると、この下げは、9月24日以降の上昇の流れがいったん終息した後の調整という見方になります。

わかりにくいかもしれませんが、勢いの強い上昇の流れが終息しても、全体が上昇の流れを作り、日柄の長い、上げ幅の大きな上昇パターンを作る展開も考えられます。

その場合、9月24日~10月12日と同程度か、それ以上の値幅の上げ場面が、あと2回、10月12日以降と同程度の調整が1回あらわれて、全体の上昇局面を形成することになります。

今後の価格がそのような上昇局面を作る場合、10月22日の安値28040ドルが押し目底になって、新たな上昇の流れへ入るという見方が有力です(詳細は省きます)。

週明け後、下値堅さを確認して、上昇を開始して、前述の上げパターンへ入るとするなら、その後、上値目標値へ到達するまでに入る調整の動きは、10月12日~22日と同程度の調整だけです。

年末までの残された期間を考慮すると、今後の価格が上昇を開始する場合、もうほとんど下げることなく、年末へ向けた上昇の流れへ入るという見方が有力になります。

図表01 NYダウ日足と年末までのシナリオ

図表01は、NYダウ日足です。

図には、前述した2通りのシナリオを引いています。

今後の価格が上昇するときの上値目標値は、32000ドルを大きく上回る地点が考えられます。

〇 日経平均株価は週明け後に下げるなら22500円程度まで下げる可能性が出てくる

日経平均株価は、8月中旬以降、長くだらだらとしてジグザグの動きを継続しています。

この動きは、10月2日以降、新たな上昇の流れへ入っているか、上げにくい状況で下げるきっかけを待っている状態のどちらかだと推測できます。

前者なら、10月9日以降が上昇途中の中段もちあいという見方になります。

積極的な上昇の途中のもちあいなら、長くもちあい期間を継続しないため、10月16日の安値が押し目底になって、再上昇を開始すると考えられます。

一方で、目先の価格が下げて、23382円を割れて弱気の流れを確認するなら、(今後の下げられる期間を考慮すると)23382円割れをきっかけにして、一気に下げられる場所を目指す動きへ入る可能性が出てきます。

目先の日経平均株価の展開や、前述したNYダウのシナリオを考慮すると、日経平均の年末までのシナリオは、図表02の実線の2通りが考えられます。

図表02 日経平均株価日足と年末までのシナリオ

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