【2020年3月15日記】今週のNYダウ、日経平均は一本調子の上げ場面になる公算か

----- 今週のNYダウ、日経平均は一本調子の上げ場面になる公算か

1. 今回の下げにはトランプ大統領の思惑が加わっている可能性がある

政府が国内での感染拡大防止へ向けて、
学校等の休校、コンサート等の大規模イベントの自粛を要請してから、
急に新型コロナウィルスが特別なものに感じてきてしまいました。
3月13日時点での国内での感染者も700人近くなり、
急に感染者数が増えています。
私は、日常生活の中で、特に注意しておけばいいという程度にとどめ、
2月までの日本政府の対応が妥当だったのではないかと考えていました。
しかし、14日、米国やスペインで非常事態宣言が出され、
感染の拡大を阻止に向けて動いている状況を聞くと、
絶対に感染してはいけないウィルスなのではないかと不安になってきました。
そこで、厚生労働省から報道発表されている資料で、あらためて日本の現状を調べて見ました。

2月21日(金曜日)
この時点では、PCR検査の人数が693人(チャーター便を除く)、
検査で陽性反応が出た人が79人、症状のある人が69人、
退院した人が16人、呼吸補助が必要な人(重篤者)が9人、死者が1人でした。

2月28日(金曜日)
この時点では、PCR検査の人数が1380人(チャーター便を除く)、
検査で陽性反応が出た人が195人、症状のある人が180人、
退院した人が26人、呼吸補助が必要な人(重篤者)が20人、死者が4人でした。

3月6日(金曜日)
この時点では、PCR検査の人数が6647人(チャーター便を除く)、
検査で陽性反応が出た人が333人、症状のある人が302人、
退院した人が50人、呼吸補助が必要な人(重篤者)が30人、死者が6人でした。

3月13日(金曜日)
この時点では、PCR検査の人数が11231人(チャーター便を除く)、
検査で陽性反応が出た人が659人、症状のある人が591人、
退院した人が104人、呼吸補助が必要な人(重篤者)が32人、死者が19人でした。

検査して陽性反応の出た人の割合は、
「2月21日、11%」、「2月28日、14%」、
「3月6日、5%」、「3月13日、6%」となっています。
PCR検査を行った人の人数が増加すると、
感染者の割合が減少していることがわかります。
つまり、潜在的にどれだけ感染者がいるのかわからないという状況でしたが、
実際に検査して見ると、
潜在的な感染者の割合は、そんなに大きくないことがわかってきました。
感染者の中での症状の重い人の割合は、
「11%→10%→9%→4.8%」と減少しています。
高齢者や持病のある人を除けば、
重症となるケースが少ないことがわかります。
退院した人も徐々に増えてきています。

やはり、経済への影響の度合いを考えれば、
感染してはいけないことを前提とした対策を
徹底してとらなければいけないほど、
危険性の高いウィルスではないように見えます。
当然、高齢者や持病のある方のため、
個々が普段よりも十分に注意しておくことが大切です。

データも揃ってきたため、メディアも、
そろそろ煽るのをやめようかという報道の仕方になってきています。

それでも、今回、あえて取り上げた理由は、
今回の騒動には、
2つの大国の思惑が重なっているからだと推測しているからです。

米国は、中国という国の特徴を世界各国に理解してもらい、
中国離れを加速させること、
中国は、習近平氏の対応がやり過ぎていて、医療崩壊を引き起こし、
本来助かったはずの多くの人たちが亡くなってしまったという事実を
捻じ曲げるため、
それぞれがウィルスの危険性を強調しているのではないかと考えられます。

だとすれば、新型コロナウィルスも、通常のウィルスと同様、
暖かくなり、湿度が上がってゆけば、
徐々に鎮静化してゆくのではなかと考えられます。

暴落した株価も、今後は、安定した値動きになってゆくと考えられます。

ところで、株価の動きでは、気になることがありました。
11日、 ムニューシン米財務長官は、
新型コロナウィルスの急速な感染拡大に対し、
銀行規制当局が短期的な規制措置を複数検討しているが、
金融市場に介入する必要はないと述べました。
ムニューシン長官は、
「市場への介入は必要ないだろう。
市場への大幅な流動性供給において、
米連邦準備理事会(FRB)がすでに重要な役割を果たしている」
と指摘しています。
また、パウエルFRB議長と日々連絡を取り合っていると明かしました。
12日、トランプ大統領は、
「影響を受けた企業への資本・流動性・低利融資の提供を支持」
「体調不良になった労働者への金融的支援」
「欧州からの米国への入国を30日間停止」など、
新型コロナウィルスに対する対策について発表しています。
この日の内容は、急落している株価を下支えするものにはならず、
発表後、株価は一段と下げを加速しました。

翌13日、さらに下げ幅を拡大し、
NYダウが当面の下値の目安になっている場所へ到達すると、
財務長官、大統領とも、
手のひらを返すように金融、財政政策について発言し始めています。

本年は、株式市場が低迷する理由が数多くあり、
株価が1年を通じて上値重く推移する可能性のある状況でした。
今回、トランプ大統領陣営は、11月の大統領選挙を控え、
早い段階で一気に多くの市場参加者が底値になると見ている水準まで下げさせて、
大統領選挙へ向けて、
株式市場を盛り返すというシナリオを実行中なのではないか、
と疑いたくなる対応だった言えます。

今回のメルマガでは、
本年が早い段階で行けるところまで行きついたと判断して、
今後の価格がどのような動き方になるのかを紹介します。


2. 本年はわかりやすい値動きになる公算

12日、欧州中央銀行は、
定例理事会で量的緩和の規模を拡大する方針を決めました。
昨年11月に月額200億ユーロの資産購入を再開していましたが、
今回、さらに社債を中心に年末までの時限措置として
1200億ユーロの資産を追加購入することを決定しました。
13日、2時頃、NY連銀は、
1.5兆ドルの資金を市場に供給するオペレーションを発表しています。
FOMC、日銀会合を前に、
FRB、日銀による大規模な量的緩和が実行される準備が整ってきました。
12日のNYダウは、
大幅に下放れた地点22184ドルで寄り付いた後、
一気に下げ幅を拡大して、
2007年10月の高値14198ドルから2009年3月の安値6469ドルまで
の下げ幅(7729ドル幅)と同程度の下げ幅になる地点21839ドル
を下回る場所まで下げました。
翌13日には、
寄り付き値が大幅に上放れて、
そのまま23000ドル以上へ値を戻しています。

NYダウが当面の下値の目安になる場所へ到達し、
各国の政府、中央銀行が景気下支え、
株価下落を止めるための積極的な政策を実行すると言っているのですから、
13日の反発は、3月2日、10日の反発と異なり、
3月12日の安値21154ドルが当面の底値になった後の
反発場面だと推測できます。

これまでの値動きで、本年は、
年末までの値動きを推測する上で重要になるポイントがはっきりしました。
それは、
「本年が年末よりも年初の値位置の方が高い弱気パターンの年になる」
「2月12日の高値29568ドルが年間の最高値になる」
「3月12日の安値21154ドル付近が年間の最安値になる」
ということです。
本年は、
少なくとも翌年へ向けた値動きへ入る9月頃までの期間、
上下に明確な壁のある状況で、値動きを推測できるわけです。
こんな状況はめったにありません。
来年の見通しを前提とした高値、安値など気にせず、
本年の価格は、上下の壁の範囲内で、
上げやすい時期に上昇して、
下げやすい時期に下げる動きを繰り返す展開を考えればいいだけです。
現在は、底値圏へ位置していて、
そして、4月へ向けた上げやすい時期に入ってゆきます。
4月までの値動きは、単純に上昇するという予想になります。
4月以降は、5月、7月から10月の下げやすい時期へ向かいます。
4月へ向けた上昇は、
5月以降、価格がどんなに暴落しても、
3月12日の安値21154ドルを大きく割れる動きにならないような地点を目指す
と考えれば、
到達すべき場所が中途半端な地点にならないことがわかります。
また、5月以降、価格が下げる場面でも、
戻り高値の値位置によって、
下げられる場所や下げ方をおおまかに推測することができます。


3. NYダウは週明け後、25020ドルを目指す

前述した見方が正しければ、
3月13日以降の上げは、
3月12日の安値21154ドルが当面の底値になっていることを示す
上げ場面になるはずです。
そこで、過去の値動きから、
もうこれ以下へ行けないという場所を確認した後の反発場面を調べて見ました。
2018年以降、それまでと比較して、値動きが極端に激しくなっているため、
2018年以降で、日柄と値幅の伴った大幅な下げを経過した後、
押し目をつけた場所を探すと、図表01から04の場所があります。
「2018年1月から2月にかけて」「2018年12月」
「2019年5月から6月にかけて」「2019年7月から8月にかけて」
の4つのケースです。
これら4つのケースは、
「下げ方」「反発の仕方」が似た動きになっています。
1週間以上の日柄をかけて、
値幅と日柄の大きな下げになっている場合、
押し目をつけるまでの下げ方は、2段下げの展開となっています。
押し目を確認した後は、数日間かけて底入れ型を作る展開にならず、
ローソク足1本で下値堅さを確認して、
すぐに上昇を開始して、
最初の下げの後につけた戻り高値(2回目の下げの始点)まで、
一本調子に上げる動きとなっています。

図表01 2018年2月頃のNYダウ日足

図表01の2018年1月から2月にかけての下げ場面では、
2回目の下げの始点となる2月7日の高値まで、
陽線が連続する格好で上昇しています。

図表02 2018年12月頃のNYダウ日足

図表02の2018年12月の下げ場面では、
2回目の下げの始点となる12月12日の高値24828ドルまで、
ほぼ一本調子に上昇しています。

図表03 2019年5月頃のNYダウ日足

図表03の2019年5月から6月にかけての下げ場面では、
2回目の下げの始点となる5月16日の高値25957ドルまで、
陽線が連続する格好で上昇しています。

図表04 2019年8月頃のNYダウ日足

図表04の2019年7月から8月にかけての下げ場面では、
2回目の下げの始点となる8月13日の高値26426ドルまで、
ほぼ一本調子に上昇しています。

今回も似た展開になるなら、
週明け後は、一本調子の上げ場面となって、
3月10日の高値25020ドルか、
または、3月4日の高値27102ドルまで上昇すると考えられます。
25020ドルまでなら、目先、一気に上げてしまうことも考えられますが、
27102ドルが目標値なら、
4月まで(一本調子でも)時間をかけて上昇する展開になることも考えられます。
図表05は、最近のNYダウ日足と予想線です。

図表05 最近のNYダウ日足と目先の予想線

4. 日経平均株価は一本調子に上昇して20000円を目指す公算

今回の新型コロナウィルスによる株価の暴落が
天災による動きだと考えるなら、
日本では2011年に経験済みです。

図表06 2011年3月前後の日経平均株価日足

図表06は、2011年前半の日経平均株価日足です。
2011年は、3月15日に8227円で押し目底を確認して、
その後、2月18日から3月15日までの下げ幅の半値戻しまで
一気に上昇した後、一定のレンジでのもちあい場面へ入っています。
前述の通り、
NYダウも、過去の押し目底をつけた後の展開が、
一気に上げるパターンになっています。
この点を考慮すると、
日経平均株価は、目先、一本調子の上げ場面となって、
1月17日の高値24115円から3月13日の安値16690円までの下げ幅の50%戻し
となる20402円前後を目指すと考えられます。
図表07は、最近の日経平均株価日足と予想線です。

図表07 最近の日経平均株価日足と予想線

© 2024 メルマガ掲載用サイト