【2020年3月8日記】最近のNYダウの変動幅の大きさは過去に経験済み

----- 最近のNYダウの変動幅の大きさは過去に経験済み

1. 日本はようやくデフレから脱却できる準備が整ってきた

トイレットペーパーの店頭での不足は、
徐々に解消されてきているようです。
マスクや消毒薬は、依然としてなかなか買えません。
新型コロナウィルスは、
日常が壊されることの怖さをあらためて教えてくれました。
これをきっかけに、中国依存をあらためる機運にもなっています。

私は、長年のデフレの要因の1つが中国依存だと考えているので、
企業の中国離れが進むと、
必然として、徐々に物価が上昇してくると推測しています。
中小企業は、コスト上昇を価格に添加できない状態で、
苦しい経営を迫られてきましたが、
価格が正常化することで、その状況が変わる可能性があります。

日本の生活水準は、戦後、必死の思いで働いて、向上させてきました。
少しでも頭を使えば、
現在の生活水準を支えているものが何かがわかるはずです。
そして、それを失うことで、
その先、どのように変わってゆくのかもわかるはずです。
1978年から始まる中国の改革開放政策に乗せられて、
日本の多く企業は、10憶人の市場を求めて中国へと向かいました。
当時、中国の物価は、日本の10分の1にもなっていませんでした。
賃金が安いのはあたりまえです。
普通に考えれば、
安い賃金で日本と同じものを作れるようになれば、
それを日本で作らなくなるのですから、
日本で生産するのと同じ金額になるように関税を上げるか、
中国で劣化版を作るかのどちらかを選択するはずです。
しかし、日本は、
お金を差し出して、
技術も差し出して、
人も差し出して、
中国で日本と同じものを作り、日本に輸入してきました。
日本の生活水準が中国と同等になるように努力してきたわけです。

その願いがようやくかない、
今や、中国から観光客が来ないだけで、大騒ぎするようになりました。
日本人が総力を挙げて、身も心も中国共産党に捧げてきた結果です。
最近の自民党の重鎮と言われている一部の議員の言動を見ていると、
結果を十分に理解した上で、
日本としての最善の手をうっていなかったのだということがわかります。

新型コロナウィルスは、
日本人の多くに中国へ依存することの怖さを示してくれました。
日本は、ようやく新たな成長へ向かうことができる準備ができてきました。

ところで、アフリカ東部や南西アジアのインド、パキスタンで、
大量のバッタが農作物などを食い荒らす被害が深刻化しているようです。
群れの規模は、
ケニアで見ると、過去70年で最も大きく、
エチオピアやソマリアでも過去25年で最大となっています。
今年は、徐々に食料不足が深刻化して、
穀物価格が上昇することも考えられます。

中東は依然として政情が不安定であり、
1月初めにあらわれた原油価格の急な上昇のリスクを無視できない状況です。

NYダウは、3月が4月へ向けた上昇の準備の動きになると考えられます。
価格は、4月へ向けて上昇を開始する可能性があります。
だとしれも、本年は、前述した原因によるインフレ圧力、
米国の景気後退、中国の金融不安など、
株価の上値を抑える要因が豊富に待ち構えています。
4月に株価が上昇したとしても、
一時的な上げで終わる可能性が大きいと言えます。

今回のメルマガは、3月の動き方を紹介して、
それによって推測できる4月の上値の目安について書いてゆきます。


2. NYダウは3月の展開で4月の値位置が見えてくる

NYダウは、3月に入り、とんでもない値幅の動きを繰り返しています。
前週の1営業日の変動幅(高値から安値までの値幅)は、
「3月2日が1314ドル幅」、
「3日が1378ドル幅」、
「4日が816ドル幅」、
「5日が728ドル幅」、
「6日が767ドル幅」となっています。
1営業日の変動幅500ドル幅を超える日が、
5営業日連続してあらわれています。
この動きが過去にない特別なものであれば、
現在の相場が先の見えない暴走状態であって、
いつ、信用不安が起こってもいい状況であることも考えておく必要があります。

図表01 NYダウの1営業日の変動幅の大きさ

そこで今回は、過去の1営業日の変動幅について調べて見ました。
図表01は、2015年から2019年までの期間で、
1営業日の変動幅が100ドル以上、
200ドル以上、300ドル以上、400ドル以上、500ドル以上の値幅だった日が、
月ごとに何回あらわれているのかを示しています。
これを見ると、2018年以降は、
1営業日が500ドル幅以上の変動幅となっている日が、
目立ってきていることがわかります。
300ドル幅以上の大幅な動きは、
1月、2月、3月、8月、10月、11月、12月などの月で
あらわれやすくなっています。
2019年8月に500ドル幅以上の日が6回あるように、
500ドル幅以上の日は、同じ月にかたまってあらわれています。
これは、一度、値動きが極端な振れ幅になると、
連続して似た大きさの振れがあらわれているためです。
もちあいの動きへ入ると、行ける場所がはっきりするため、
レンジ上限から下限、下限から上限まで、
1営業日で一気に到達してしまうような展開が頻繁にあらわれています。

3月の振れ幅の大きさは、
2月28日までの暴落の反動高によって作られていますが、
反発を開始した後、
3月2日に一気に1300ドル幅以上の上げを経過して、
すぐに上値を抑えられたことで、
上下の行きにくい場所が明確になっています。
これにより、上下へ行ける場所がはっきりして、
動きやすくなったことであらわれていると考えらえます。

最近の極端な値動きは、
変動幅が大きくなりやすい条件がそろったことで、
以前にもあらわれている範囲内(若干大きいだけ)の大きさのものが
あらわれただけだと言えます。
ちなみに、2月の月間の変動幅は、
4887ドル幅と非常に大きくなっています。
この値幅も2018年12月(高値から安値までの変動幅が4267ドル)
に経験済みです。

過去の値動きを見ると、
振れ幅の大きな2018年でも、500ドル幅以上の値動きとなっている回数が
1カ月で5回前後です
(12月の12回は、特別な下げによってあらわれているので除きます)。

3月は、すでに500ドル幅以上の動きとなった日が5営業日になっています。
過去のパターンを参考にするなら、
今後は、徐々に振れ幅が小さくなってゆくと推測できます。
動き方としては、
レンジ上限(下限)付近まで一気に上げた(下げた)後、
レンジ上限以上(下限以下)へ行けるのかを確認する作業が入ることで、
1営業日の振れ幅が小さくなってゆく展開が考えられます。

現在のもちあいは、上げ傾向の強い4月を前に、
下値堅い場所を確認する作業へ入っていることであらわれていると考えられます。
本年4月に価格が上昇する場合でも、
その上げは、5月以降の下降局面を前に、
上値の限界を確認する作業になると推測できます。

3月は、4月につける戻り高値の値位置によって動き方が変わる公算です。
4月の高値が3月4日の高値27102ドルを大きく上回る動きになる場合、
3月は、レンジ上限へ行きやすく、レンジ下限へ行きにくい展開、
徐々に下値が切り上がる展開になると考えられます。
4月の高値が3月4日の高値27102ドル付近なら、
3月は、いったん2月28日の安値24681ドルまで下げる動きを経過して、
この安値での下値堅さを確認する作業があらわれる公算です。

以上のことを考慮すると、3月の展開は、
図表02のNYダウ日足と予想線の実線の示す2通りが挙げられます。

図表02 NYダウ日足と予想線

3. 日経平均株価は週明け後に一時的な反発を開始する公算

日経平均株価は、
1月17日の高値を中心とした
ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップを完成しています。
1月17日の高値24115円が本年の最高値になるならば、
4月に価格が上昇する場合でも、
天井型のネック・ライン(強弱の節目になる場所)
となっている2月3日の安値22775円へ到達するような動きにならない公算です。
4月に価格が上昇する場合でも、
22000円、または22500円程度で上値を抑えられると考えられます

前週末、NYダウが下げていますが、
2月28日の安値24681ドルを前に下値堅く推移した経緯から、
週明け後の日経平均株価は、再反発を開始すると考えられます。
4月に価格が上昇しても、
最大で22500円程度だとするなら、
4月の月初の値位置は、21000円程度になると推測できます
(4月の上げ方や戻り高値をつける時期によって変わるので、
目安を挙げているだけです)。
目先は価格が上昇しても上値を抑えられて、
再度、3月6日の安値20613円(または週明け後の安値の低い方)
を試す動きになると考えられます。

目先、価格が上昇して、すぐに上値を抑えられると見るならば、
目先の上げは、2月3日~6日の上げ幅と同程度の値幅(1220円幅)となって、
上値を抑えられる展開が考えられます。
1月17日以降の下げが全体で5つの波のパターンとなって、
次の下げで目立った押し目をつける動きが想定できます。

以上のことを考慮すると、今後の日経平均株価は、
図表03の青の実線の展開が考えられます。
日経平均が図表03のような展開になるなら、
NYダウは、赤の実線の展開になるという見方が有力になります。

図表03 日経平均株価日足と予想線

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