【2019年9月22日記】チャートからNYダウ、日経平均株価の現状を知る

【チャートからNYダウ、日経平均株価の現状を知る】

(1)初心者向けは初心者に考えることを放棄させて固定概念をうえつける

チャート分析の本で「初心者向け」と言われる内容は、たいていの場合、編集者が勝手に決めています。

編集者は、相場を理解しているわけではなく、過去に出版された本を参考にして、これが初心者向けだと自分が考えている内容を執筆者に書いてもらっています。

この初心者向けの本によって、日本の個人投資家は、値動きで利益を得る人たちの“カモ”にされています。

多くの初心者向けの本の間違いは、考えることを省くことが初心者向けだとして作られていることです。

ローソク足のパターンは、そのパターンがあらわれる背景、投資家心理の変化が重要なのであって、決して、形がその後の展開を示しているわけではありません。

反転を示すパターンがあらわれたからといって、必ず、チャートの示す方向へ価格が進むわけではありません。

しかし、多くの初心者向けのチャートの本は、一般的に言われているパターンがあらわれると、その形が次の展開を示していると書いています。

人は、自分の未来すらわかりません。まして、自分が影響を及ぼすことのできないものの未来など、わかるはずもありません。それにもかかわらず、特定のパターンが未来を明確に示しているかのように初心者にうえつけています。

強い固定概念にとらわれている人は、簡単に騙されてしまいます。

初心者向けとしたチャート本は、投機市場へ“カモ”を供給してくれる道具になっています。

今回は、初心者向けに毒された考えを払しょくしてもらうため、チャートの読み方について、少し解説した後、NYダウと日経平均の今週の展望について書いてゆきます。


(2)一定の流れが反転するときの判断の仕方

価格が上昇を開始して、多くの市場参加者の共通の認識の中で値幅と日柄の伴った上げ場面を経過した後、その流れが終息して、反転下降を開始しているかどうかを確認するには、いくつかの工程が必要になります。

ローソク足の足型は、その時々の状況を示していますが、一般的に知られているように、反転のパターンがあらわれたからといって、それが必ずしもすぐ先の未来を示しているわけではありません。

反転を知るには、形があらわれることが重要なのではなく、その流れを継続するための要因が失われているか否かを知ることが重要になります。

それまでの流れが止まり、反対へ向かうには、反対へ向かう積極的な行動があらわれることが必要になります。

当然、1営業日で強く上値を抑えられる形があらわれて、すぐに下降を開始する展開もありますが、その場合、上値を抑えられた後、下降する過程で、上昇できる要因が削られてゆきながら、反対方向への積極性があらわれることになります。

勢いの強い一定の流れが継続できる理由は、多くの市場参加者が共通の認識の中で行動できるということです。そのためには、共通の認識の中での目標値がおおまかに存在していて、その時点での上値余地が十分にあること、そして、短い期間で利益を得られる状況が継続していること、価格が反転しても、反対へ向かう形(積極的な動き)があらわれないことが重要になります。

上値を抑えられる動きは、市場参加者にまだ上げられるか否かの不安を与えますが、積極的な反対方向への意思表示ではありません。

数日間(3~5営業日が目安、6営業日以降は積極的な行動を起こす可能性を考えておく必要が出てくる日柄へ入ります)、高値を更新できない動きも、不安が高まりますが、積極的な意思表示になりません。

反対へ向かう形は、多くの市場参加者が反対方向へ行動を起こすことであらわれるので、積極的な意思表示になります。

これらの動きを順番にたどることで、わからない値動きの未来を推測してゆくしかありません。

最も重要なポイントは、これらの経緯を辿り、市場参加者が反対方向へ積極的な行動を起こしたという結果になります。

積極的な行動の目安は、当然、1営業日の値幅の伴った動きになります。

ややこしくなってきたので、補足を加えておきます。

上値、下値を切り下げる動きは、弱気を示すパターンになります。

上昇していた価格が反転下降して、上値、下値を切り下げる動きがあらわれる場合、場中で弱さを知ることができます。

多くの市場参加者が反転下降する状況を受け入れているなら、当然、場中で弱さを確認できた後、積極的な行動に出ると考えられるので、その日の下げ幅が大きくなるはずです。

上値、下値を切り下げる動きがあらわれたにもかかわらず、その日が小陰線で引けるなら、翌営業日の値動きを確認する必要が出てきます。

ただし、翌営業日は、全日の動きを見る必要がありません。翌営業日の寄り付き値が下放れているなら、弱さの再確認ができるので、下放れた後の展開を推測することができます。


(3)NYダウは9月12日の高値27306ドルが戻り高値になる公算

図表01 NYダウ日足

図表01は、最近のNYダウ日足です。

これを見ると、NYダウは、9月12日に上ヒゲの長い陰線をつけて、上値を抑えられています。

この上値を抑えられる形は、7月16日の高値27398ドルを前にしてつけたことで、多くの市場参加者が27398ドル前後を強く意識している可能性のあることがわかります。

この時点では、

1.目先の目標値達成により、一時的に上値を抑えられただけ、

2.27398ドル前後(27398ドルを一時的に超える可能性もあります)で天井型を形成する準備の動きへ入った(後に右肩上がりの天井型の見方になる)、

3.27398ドルを前に、戻り高値をつける動きへ入った(後に右肩下がりの天井型の見方になる)、

という3通りの展開を推測しておくことができます。

9月18日に下ヒゲをつけて下値を支えられた時点では、3通りの可能性のすべてが考えられる状況です。

ただ、戻り高値を超えられていない日柄が長くなっていることと、強く下値を支えられる動きがあらわれていることで、1の展開の場合、一気に27306ドルを超えて、まだ積極的な上昇の流れが継続していることを示す必要があります。

19日に価格が上放れる動きは、その時点での強さを後押ししているので、強気継続なら、19日は、上放れた時点で、一気に27306ドルを超えなければいけないという見方になります。

上げ幅が拡大できる時間帯は、寄り付き後、1時頃までが多いので、上昇を継続中なら、1時までに上げ幅を拡大して、一気に9月12日の高値27306ドル以上をつけるはずという見方をしておきます。

この日の価格は、寄りつき後、順調に上昇していましたが、0時30分頃、27272ドル(戻り高値まであと36ドル)をつけた時点で上昇の流れが止まってしまいます。

2時頃には、寄り付き値以下まで下げてしまい、上昇を継続するための積極的な行動があらわれなかったことがわかります。

19日の陰線は、上ヒゲをつけて上値を抑えられたことが重要なのではなく、上昇へ向かう積極的な行動があらわれなかったことが重要なポイントなのです。

それを覆すためには、翌20日、一気に価格が上昇して、戻り高値を超える動きになるしかありません。

それでも、19日の示す上値の重さが意識されるので、上昇継続と天井型形成中の見方があるとしても、天井型を形成中の割合を大きく見ておくという状況になります。

20日は、19日の終値付近で寄り付いています。

強さの継続を示すためには、20日に一気に上昇を開始して、戻り高値を超える動きになる必要がありますが、19日の上値の重さを考慮すると、20日の寄り付き値の値位置を見て、もう、勢いの強い上昇の継続の可能性が消滅したと判断できます。

ここでようやく、上昇継続の可能性が消滅したわけです。

残された展開は、右肩上がりの天井型をつけるか、右肩下がりの天井型をつけるかの違いだけです。

右肩上がりの天井型をつけるケースは、一時的に上昇の圧力が高まって、戻り高値を更新する展開になる必要があります。

そのためには、短期的に下げにくい動きがあらわれて、一時的な上昇のきっかけを待っている必要があります。

20日は、19日の安値を維持する格好で引ける動きが必要です。

20日は、23時30分頃まで、上値を試す動きになっていましたが、23時30分以降、上値重く推移しています。

そのまま下値堅く推移するなら、右肩上がりの天井型の可能性を考えておく必要のある状況でしたが、2時過ぎに一気に下げ幅を拡大して、下降への積極性を示す動きへ変化しました。

NYダウは、20日までの一連の動きで、9月12日の高値27306ドルが戻り高値になる可能性が大きくなったと言えます。

ただし、まだ右肩上がりの天井型の可能性が消滅したわけではありません。

20日は、下ヒゲの長い線となった18日の安値26899ドルを維持する格好になっているので、週明け後、すぐに反発を開始して、数日間、27000ドル以下へ下げにくい動きになると、(積極的な下げがあらわれないことで)上値を試すきっかけを待っている状況である可能性が出てきます。

言い換えると、現在が弱気の流れへ入っているなら、週明け後は、早い段階で積極的な下降の流れ(1営業日での下げ幅の大きな動きで下値を更新する)があらわれるはずだということです。

弱気の流れが明確になった後は、下げやすい10月へ向けて、8月15日の安値25339ドル以下を目指す動きになると考えられます。

これらの経緯を見ていれば、225先物を19日、20日の高値圏、適切な時間帯で売りを入れることを検討できたと思います。

(4)日経平均株価が年末へ向けて18000円以下をつける場合の基準になる下げ方

前週、本年の日経平均株価は4月の高値を超えられず、年末へ向けて下値を試す動きになる可能性があると書きました。

前述した通り、NYダウは、右肩上がりの天井型か、右肩下がりの天井型のどちらかを形成した後、下降を開始する可能性が大きいという状況になっています(週明け後の展開でどちらかがはっきりします)。

NYダウの展開と、4月の高値の値位置から、日経平均株価は、9月19日の高値22255円が戻り高値になって、今後の価格が下降の流れへ入ると考えられます。

そこで、今回は、9月19日の高値22255円が戻り高値になる場合の今後の展開について紹介します。

考え方は単純です。

価格は、下げやすい時期にしか下げ幅を拡大しません。また、急落があるとするなら、過去にあらわれたことのある時期でしか急落しません。

年末までの期間で、下げやすく、急落の可能性のある時期は10月です。

この期間の下げ幅が大きくならなければ、11月、12月に価格が下げて、年初来の安値を掘り下げたとしても、19000円前後が意識される動きになってしまいます。

年末へ向けて18000円以下もあるとするなら、まず、10月までに8月の安値20110円前後まで下げて、この地点が通過点に過ぎないことを示す動きになる必要があります。

過去の経験則では、10月の下げは、10月上旬から中旬ごろまでにかけてあらわれやすいので、今週から、4週間程度の期間で20110円へ接近する動きがあらわれると推測できます。

10月18日(金曜日)までに20110円を想定すると、下降の速度は、「(22073-20110)÷18≒110(1営業日で110円ずつ下げる展開、前日終値比プラスの日があれば、翌営業日にその分も加えて下げることになります)」となります(図表02を参照して下さい)。

図表02 日経平均株価日足1

(5)日経平均株価の目先の展開

図表03 日経平均株価日足2

日経平均株価の目先の展開を見る場合、注目すべき場所は、上げにくくなった地点です。

図表03は、最近の日経平均株価日足です。

9月13日以降、価格は終値ベースで高値を更新していますが、13日以前と比べると、上げ幅が小さくなって、上値重くなっていることがわかります。

上昇途中であらわれるこのような動きは、すべて調整の動きだと見ておきます。

上値重い調整を経過した後、上げられず、調整の延長として価格が下げる場合、まず、調整の始点になる安値まで下げて、その下げが一時的な動きかの判定が行われて、次の展開へと入ります。

調整が一時的な動きの場合、押し目をつけた後、再上昇を開始します。

戻り高値をつけた後の動きの場合、下値を掘り下げる動きへ入ります。

今回の上昇の調整の始点は、9月17日の安値になります。

目先は、17日の安値21878円を割れる程度まで一気に下げて、いったん下値を支えられる動きがあらわれて、その後、強弱の判定の値動きに入ると考えられます。

弱気再確認となれば、その後、下げが勢いづく可能性が出てきます。

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