【日経平均の来年の価格が本年の高値を超えられない場合、シナリオは絞られた】
(1) 日経平均株価が年末へ向けて高値圏に位置する場合の展開
図表01は、年末から翌年へ向けた日経平均株価の値動きを示しています。
図表の数値は、9月から翌年1月までにつけた安値からの上昇幅を示しています。
左から順番に「年」「9月から翌年1月までの最安値をつけた日付」「最安値の値位置」「3月から6月までの期間の最高値」「3月から6月までの最高値の値位置」「安値から高値までの上昇幅」を示しています。
9月から翌年1月までの安値を2月以降に割れた年は、図表中に「----」と表示しています。
9月から翌年1月までの安値を2月以降に維持して、上昇を開始した後、3月から6月の期間でどの程度の値幅の上げを経過したのかを示したものが右側の数値になります。
9月から翌年1月までの安値をつけた後、3月から6月までの期間で上昇を経過している確率は、75%(29年間で22回)となっています。
だいたい4000円幅程度の上げを経過しています。
図表01からわかる通り、9月から翌年1月までの期間で安値をつけた後、ほとんどの年で上昇の流れを作っています。
つまり、9月から翌年1月までの期間は、毎年価格が上昇しやすい期間となっている3月から6月頃までに上げられる分を作る作業だと見ることができます。
図表02から図表14は、11月、12月のどちらかで、年間の最高値付近に位置しているか、年間の最高値をつけている年です。
11月、12月に年間の最高値付近に位置しているか、最高値をつけている年は、2010年を除けば、(2010年は4月の年間の最高値まで1000円幅程度の値位置があるので、同じケースとカウントしなくてもいい年です)すべての年で、翌年に前年の高値を超える動きとなっています。
翌年に向けて、価格が上げられる余力があると多くの市場参加者が考えているからこそ、価格が年末へ向けて高値圏に位置していると見ることができます(2018年が1月に大幅安となっています。日経平均株価の史上最高値を1989年12月につけています。これらの年は、2017年、1989年が年間を通じて上昇の流れを作り、9月以降、12月へ向けて、一気に上げ幅を拡大している年です。そのような上げを経過した後は、1月の下げに注意が必要になります)。
図表15は、本年の年末までの値動きの考え方を示しています。
11月から12月の時期は、来年へ向けた思惑によって、価格が推移する可能性のある時期です。
本年は、前週の時点で年間の最高値に位置しています。
このまま年末まで高値圏で推移すると、来年へ向けて、価格が本年の高値を超える動きになると見ておく必要が出てきます。
来年、本年の高値を超えられないなら、今後の価格が、年末へ向けて、来年の年初に上げられる分の値幅を十分に下げておく必要があります。
(2)日経平均株価の10月から12月までの値動きの関係
10月13日に配信した記事を読み直して下さい。
10月13日は、11月と12月が連続して下げていることがほとんどないという傾向を紹介しました。
先ほどの図表02から図表14では、11月、12月に最高値付近、または最高値に位置している年を掲載しています。
それぞれの年の11月、12月の展開を見てゆくと、11月に高値圏から離れてゆく動きになって、12月に値を戻す動きが見られますが、11月に高値圏へ位置していて、12月に高値から大きく放れる動きになっている年はありません。
つまり、本年11月に高値圏で推移すると、12月に価格が下げても、値幅の伴った下げ場面にならず、来年へ向けて、一段高になる可能性を残すということになります。
来年、今年の高値を更新できない年になる場合、本年は、11月に下げ幅の伴った動きがあらわれて、12月に価格が上昇しても、11月の下げ分のすべてを戻すような動きにならないと推測できます。
また、図表02から図表14の条件の中には、11月に年間の最高値付近に位置していることが含まれているので、11月の月初の値位置が年間の最高値よりも低い地点になっていると考えることができます。
(3)来年の価格が下げる場合の想定できる年末までの展開
(1)と(2)で紹介した条件を考慮すると、来年の価格が本年の高値を超えられない場合、年末へ向けた値動きは、図表16の実線の動きに絞られます。
週明け後、価格がすぐに下降の流れへ入り、3~4営業日で一気に下げ幅を拡大する動きがあらわれなければ、本年は、年末まで下値堅く推移して、来年、一時的にせよ本年の高値を更新する動きがあらわれる可能性を考えておく必要が出てきます。
10月24日の一段高は、年末へ向けて価格が下げる可能性を示唆しています。
10月24日に一段高となって、年間の変動幅の目安となる3500円幅以上の動き(1月4日の安値19241円+3500円=22741円)を経過したことは、年末へ向けて高値を更新する可能性を無視できる動きになったと言えます。