【2020年8月9日記】NYダウ、日経平均はいったん下値を試す公算

----- NYダウ、日経平均はいったん下値を試す公算

〇 本年8月のNYダウは積極的な下げの流れにならない公算

前回、NYダウが8月に大きく下げる場合、5営業日以内で8月の最高値を確認して、下降を開始する準備の動きが整い、その後、勢いの強い下げの流れへ入ることが多いと紹介しました。

前週は、5営業日連続で上昇し、高値を更新しています。

5営業日の範囲で8月の最高値をつけて、下降を開始しているときは、前週のようなはっきりとした上昇の流れを作る展開にはなっていません。

また、NYダウは、戻り高値をつける場面で、たいてい、足型がコマ足、上ヒゲの長い線をつけますが、7日の足型は、反転を示唆する形になっていません。

これまでの値動きを考慮すると、本年8月のNYダウは、積極的な下げの動きがあらわれないと推測できます。

〇 NYダウの本年8月は上値重くなる可能性がある

8月が積極的に下げないという意味は、8月に急落をともなう大幅安があらわれないというだけで、8月が下がらないということではありません。

本年8月は、積極的に下げないとしても、いったん下値を試す動きを経過する可能性があります。

積極的に下げないとしても、積極的に上昇できないと考えたくなるポイントが2つあります。

1つ目は、NYダウが上昇しているにもかかわらず、日経平均株価が横ばいから下降ぎみに推移していることです。

2013年以降、日銀は、積極的にETFの買い入れを行い、下げ局面で下値を支えています。日経平均が下げている日は、たいていの場合、日銀によるETFの買いが入ります。

このことは、大口の投資家が圧倒的に有利な状況を作り出しています。

日経平均株価への寄与度の高い銘柄を積極的に買い、日経平均株価を上昇させた後、事前に225先物の売りを入れて、その後、買い上げた現物株を手じまいして、日経平均、225先物の下げを誘い、利益を得るという取引を実行する場合、以前なら、急落によって、現物に損失が出るリスクがありました。

しかし、2013年以降は、価格が下げる場面で積極的な買い手が必ずいるので、気兼ねなく仕掛けることができるのです。

以前は、NYダウに先行して日経平均株価が戻り高値をつけるケースが目立ちましたが、2013年以降、NYダウと日経平均株価が近い日に戻り高値をつけているケースが目立っています。

このような状況もあるため、NYダウと日経平均株価の相関が強くなっています。

それにもかかわらず、NYダウが上昇している場面で、日経平均株価の上値が重い動きになる場合、少し先の地点で、価格がいったん下げる動きになっているケースが目立ちます。

最近では、2019年12月中旬から2020年1月中旬頃までの期間で、この動きがあらわれています(図表01を参照)。

図表01 2019年12月から2020年1月のNYダウ日足&日経平均日足の動き

NYダウが上昇している場面で、日経平均が横ばい、または下げぎみに推移した後は、NYダウが戻り高値をつける場面で、日経平均がいったん上値を試す動きを経過して、戻り高値をつけます。

両方が近い日付で戻り高値を確認した後、価格はいったん下値を試す動きへ入ります。

8月がいったん下値を試すと見る2つ目の理由は、NYダウが7月30日以降の上昇場面で、極端な上げを経過していないことです。

7月12日に配信した記事には、NYダウが積極的な上昇局面へ入る場合、その初期段階で極端に振れ幅の大きな動きがあらわれる傾向があると紹介しました。

7月30日以降の上げ場面では、まだそのような振れ幅の大きな動きがあらわれていません。

これまでの上げ方を考慮すると、最近のNYダウの上昇は、6月以降の上値重い動きの途中で、上値を試す流れになっているに過ぎない可能性を考えておく必要があります。

〇 日経平均株価は下値を試す流れになる場合、いったん21529円を割れる公算も

日経平均株価は、3月19日の安値16358円をつけた後の上昇局面が5つの波のパターンを形成中と見た場合、6月9日以降のもちあいが4波目の調整局面となります。

4波は、2波と同程度の値幅の調整になるということが基準になります。

2波は、3月25日の高値19564円から4月3日の安値17645円までの1919円幅の動きです。

2波を基準にした4波の下値の目安は、「23185-1919=21266円」となります。

前述した通り、NYダウ、日経平均株価とも、8月中に下値を試す動きが待ち構えているなら、その下げは、6月15日の安値21529円を維持できず、21266円まで下げることも考えられます。

これまでは、日経平均株価が21529円を割れる場合、弱気の流れが明確になることから、そのまま下げの流れを継続して、20000円以下を目指す可能性がありました。

しかし、前述した通り、NYダウの本年8月が(急落を伴う大幅安を経過せず)下値堅く推移すると見られるため、日経平均は、21529円を割れても、大幅に下値を掘り下げる動きになりにくいと考えられます。

現時点では、21529円を割れた後、21266円で止まる展開が視野に入る状態だと言えます。

以上のことを考慮したNYダウ、日経平均株価の8月の予想できる展開は、図表02の実線の通りです。

図表02 最近のNYダウ日足&日経平均日足の動きと予想線

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