日経平均株価は下降を開始する準備期間としてしばし反発調を継続する公算か
〇本年の日経平均株価は1月の安値32693円を目指す可能性がある
本年の日経平均株価は、1月4日から3月22日に戻り高値をつけるまで、はっきりとした上昇の流れを作っています。
本年と同様、1月に上昇して、その後、その流れを3月、4月頃まで継続していた年は、1990年から2023年までの期間で見ると14回あります。
過去14回のケースでは、1993年、1999年、2021年の3回だけ、6月以降に高値を更新していますが、その他の11回が6月までに年間の最高値をつけています。
1993年は、6月4日の高値21222円で上値を抑えられて、大きく下げた後、再度上値を試す動きとなって、9月3日に21281円で戻り高値を付けて下降を開始しています。
1999年は、7月中旬まで積極的に上昇した後、年末まで堅調に推移しています。
2021年は、2月16日に30714円で戻り高値をつけた後、8月までで年初から2月までの上げ分のすべてを押し戻されて、8月から9月までの期間で再上昇を開始し、9月14日に年間の最高値30795円をつけています。
1999年を除けば、6月までの高値が意識される展開となっています。
その他の年(1991年、1994年、1996年、1998年、2000年、2007年、2012年、2013年、2015年、2019年、2023年)は、2月~6月までの高値が年間の最高値となって、年末まで上値を抑えられています。
1999年以外の13回のケースで共通している動き方は、戻り高値をつけた後、年末までのどこかで、1月の安値付近まで下げるか、1月の安値以下へ下げているということです(2013年、2023年は5月、6月に上値を抑えられて、5月、6月に年間の最高値をつけていますが、1月の安値まで下げる動きになっていません)。
1月の安値を割れた月(または1月の安値付近で押し目底をつけた月)は、「1991年、7月」、「1993年、11月」、「1994年、11月」、「1996年、12月」、「1998年、8月」、「2000年、4月」、「2007年、8月」、「2012年、6月」、「2015年、9月」、「2019年、8月」、「2021年、8月」となっています。
だいたい、8月、9月まで下げて、1月の安値へ接近するか、6月頃に戻り高値をつけて、その後、10月頃までの高値圏で推移して、年末に向けて下げるかのどちらかの展開となっています。
9月頃までに1月の安値付近まで下げる場合、5月、または6月上旬から、積極的な下げの流れへ入っています。
6月までに戻り高値をつけた後、8月頃までの期間で積極的な下げ場面を経過して、一気に1月の安値を目指す展開にならないと、10月頃まで下値堅く推移する可能性が出てきます。
図表01は、日経平均株価日足と、過去の値動きから想定できる今後のシナリオです。
5月16日に5月7日の高値38863円を超えて、強気の流れを再確認したことで、本年5月は、2日の安値37958円が5月の最安値となって、月足が陽線引けする展開になると考えられます。
今後の価格が下降を開始するなら、その動きは、5月末頃から、または6月以降になる公算です。
6月までの期間で戻り高値をつけるまでは、下値余地が37958円へ届かない程度の地点で、上値の目安が3月22日の高値41087円を超える程度だと考えられます。
週明け後は、価格が下げても、5月16日の安値38513円前後で下値を支えられて、再度上値を試す流れになる可能性があります。

〇ドル・円相場の最近の動きは円高へ向かう準備となる公算
日経平均株価が次に戻り高値をつける日程や、値位置の目安は、ドル・円相場の動きで見えてくる公算です。
年初から上昇の流れを作る場合、「6月頃までの高値が戻り高値となって、値幅の大きな下げを経過する」という傾向は、ドル・円相場にも見られます。
1995年以降のチャートを見ると、年初から積極的に円安トレンドを形成する場合、その動きは、4月、5月頃に止まり、いったん値幅の伴った円高の動きへ入っています。
年の前半につけた高値を超えて、再度円安へ向かうこともありますが、その動きは、9月以降にあらわれています。
2022年、2023年は、年初からの円安の流れに沿って、7月、8月に高値を更新する展開となっています。
これらの年は、日銀が政策を変更する雰囲気のない状態で、FRBの利下げ期待があって、ドル・円相場が一時的に円高へ振れましたが、利下げ期待が薄れて、再び値を戻しています。(結果論ですが)2022年と2023年は、日銀とFRBの政策の違いによる円安の限界を試す途中の動きになっています。
本年は、日銀が円安への警戒感を強め、金融緩和をやめる方向へ舵を切っています。FRBの政策と市場関係者の思惑には、ずれがないと推測できる状況でもあります。
本年は、昨年のような展開とならず、過去の値動きのパターンの通り、少なくとも7月、8月頃まで、上値重い展開を継続すると考えられます。
円高の流れへ入っているという見方が正しければ、最近の円安は、160.23円での上値の重さを確認する作業だと考えられます。
上値の目安は、5月14日の高値156.76円、または158円前後が挙げられます。
156.76円が戻り高値となって、再度円高の流れへ入るなら、ドル・円相場が円高ぎみに推移する過程で、今後の日経平均株価の上値余地が限られるはずです。
ドル・円相場が156.76円を超える動きになるなら、ドル・円相場がしばし下げにくい動きを経過する過程で、日経平均株価が6月頃まで堅調に推移する可能性が出てきます。
