〇日経平均株価は、ダブル・トップ完成なら一気に30558円目指す公算も

図表01は、上昇途中での上値、下値を切り上げるジグザグの動きの判断の仕方です。
急激な上昇の後、上げ方が緩やかになって、上値、下値を切り上げるジグザグの動きがあらわれるケースがあります。
このような動きになった場合、上値、下値を切り上げるジグザグの動きには、2通りの展開が考えられます。
1つ目は、図表01の右下に示した通り、上昇途中のボックス型中段もちあいが上方へ歪むケースです。
上昇へ向かう人気が離散して、上下どちらかへ向かう準備を整えている通常のボックス型もちあいは、最初の押し目以下へ下げにくい、戻り高値以上へ上げにくい状況がはっきりしているため、最初につけた戻り高値、押し目の範囲内で、価格が推移して、一定のレンジを形成します。
もちあい形成中も、買い人気が強い状態が続く場合、以前の安値よりも前に買いを入れる動き、以前の高値を目標として、以前の高値をオーバーする動きがあらわれて、上値、下値を切り下げるもちあいのパターンとなります。
上値、下値を切り上げるもちあいを経過した後、上昇を開始する場合、次の上昇は、勢いが強く、値幅の大きな動きになります。
2つ目は、勢いの強い上昇が終息して、上値を抑えられた地点が当面の上値の目安であって、それ以上の上値余地があまりない状況だと考えられるのですが、上げやすい時期で、積極的な買いがだらだらと続くケースです。

図表02は、2020年9月以降の日経平均株価日足です。
日経平均株価の本年の上昇局面は、2021年9月14日の高値30795円まで一気に上昇した後、上値、下値を切り上げるジグザグの動きへ入っています。
5月19日に30795円へ到達して、多くの市場参加者の共通の認識の中での上値目標値へ到達しましたが、戻り高値をつけやすい6月までの期間、買い人気がだらだらと続き、下げにくい、上げやすい状況の中、ジグザグに高値を更新したと見ることができます。
ジグザグの動きの終点は、下げやすい時期へ入り、価格が下降することであらわれます。
図表01で示した通り、戻り高値をつけた最初の下げは、ジグザグの始点となる安値まで一気に下げる動きになります。
日経平均株価は、6月27日の安値32306円を割れると、6月19日の高値33772円と7月3日の高値33762円でダブル・トップを完成します。
天井型を完成するなら、その後は、ジグザグの始点となる5月25日の安値30558円まで、一気に下げる動きになると考えられます。
〇日経平均株価の7月中は上下へ動きにくいことが多い

図表03は、2013年以降の日経平均株価の月ごとの変動幅です。平均としている数値は、2013年から2022年までの平均値です。赤字が年間でもっとも動かなかった月になります。
これを見ると、2013年以降の日経平均株価は、6月、7月にあまり動いていないように見えます。
2013年以降、長期の上昇局面へ入る中で、年の前半の上昇が終了する時期で、まだ、下げの強さを模索している段階の6月、7月は、積極的な値動きになりにくいことが多かったと推測できます。
本年は、1月から6月までの期間で、月足が5回陽線引けしています。
6月11日の記事では、1月から6月までの期間で、月足が4回以上陽線引けした年の値動きについて紹介しました。
1990年から2022年までの期間で、本年と同様、1月から6月までの月足が5回以上陽線引けした年は、2007年、2013年、2015年の3回です。
2007年は、7月下旬から積極的な下げの流れへ入り、8月に大きく下げる動きとなっています。
2013年は、6月に押し目をつけて、7月が上値を試す動きとなっています。
2015年は、7月上旬に一気に下げた後、押し目をつけて、上値を試す動きを経過して、8月に積極的な下げ場面となっています。
過去の経験則を考慮すると、本年7月は、月初から積極的な下げ場面にならず、上値の重さを確認する作業を続けることも考えられます(その場合、8月が大幅な下げ場面になると考えられます)。
目先、下値堅く推移する、積極的に下げるという2通りの可能性を紹介しました。
どちらになるかは、週明け後、はっきりする公算です。
7月中に5月25日の安値30558円を目指す動きになる場合、週明け後、32306円を割れて、弱気の流れが明確になった時点で、これまで以上に積極的な下げ場面になると考えられます。
週明け後は、一気に6月8日の安値31420円を目指す動きになることも考えられます。
一方で、7月が上値の重さを確認する作業になるなら、週明け後は、32306円前後で下値を支えられて、再度上値を試す動きになるはずです。
10日は、寄り付き後、積極的な下降を開始するか、下値堅く推移するかによって、7月中の動き方が明確になる公算です。
図表04は、日経平均株価日足と、7月以降の予想線です。
