〇日経平均株価は本年の上値の限界を確認して、次の材料を待っている状態へ入った
6月11日の記事では、「1~6月までの期間で、月足が4回以上陽線引けして、年の前半に上値を試す動きになっている年は、たいていの場合、6月頃までに年間の上げ分の大部分を消費して、年の後半に大きく新高値を更新する展開にならないか、または、6月の高値が年間の最高値となって、年の後半に下値を試す」、「7月、8月が陰線引けして、値幅の伴った下げ場面を経過する」という過去の値動きの経験則を紹介しました。
前回、「積極的な上昇の流れを継続して、7000円幅以上の上げ場面になる」、「年間の変動幅が8000円以上になる」と、その後、上昇が終焉して、長く横ばいに推移するか、値幅の大きな下げ局面へ入っていると紹介しました。
6月11日に紹介した、1~6月までの期間に月足が4回以上陽線引けした年は、1996年、1997年、1999年、2000年、2002年、2004年、2007年、2009年、2012年、2013年、2014年、2015年、2017年、2019年です。
この中で、2000年、2012年、2019年は、4月までに戻り高値をつけて、大きく下げています。2007年、2014年、2017年は、年の前半が積極的な上昇の流れになっていません。どちらも、本年と異なる展開です。
本年と似た展開で、年の後半に価格が下げた年は、1996年、1997年、2002年、2015年です。
下げている年の特徴は、年末まで、はっきりとした下降の流れを継続していることです。2015年は、8月に急落した反動高が9月以降にあらわれていますが、その後、年末から翌年に向けて、下値を掘り下げる動きとなっています。
年末に一段高となった年は、1999年、2009年、2013年になります。
これらの年の特徴は、7月、8月、9月に価格が上値重く推移しますが、積極的なさげの流れを形成していないということです。
後半に下げる場合、年の後半、あるいは翌年度へ向けた株式市場の投資環境の変化を見越して、弱気の流れへ転換することで価格が下降していると考えられます。
後半に高値を更新する場合、強気の投資環境を継続しているが、6月までにその場面での上値の限界まで上昇して、上げにくくなっている状態です。
翌年に価格が上昇を開始したのは、2013年の翌2014年だけです。2014年は10月に量的緩和第二弾を実行して、株価を押し上げる材料が入りました。
1999年、2009年の翌年は、2000年が米国のITバブルが崩壊、日銀が0金利政策を解除、2010年が5月以降の大幅な円高へ対応せず、ドル・円相場の円高が11月に80円まで進んでいます。どちらも、日経平均株価は、4月以降に下げの流れへ入っています。
2000年、2010年のどちらも、4月に年間の最高値をつけています。
年の後半に上値を試す動きとなっても、新たな材料が入らなければ株価を押し上げる効力が続かず、翌年、上げやすい時期を経過した後、下降を開始する動きへ入っています。
本年は、すでに上げられるだけ上げているので、あとは今年後半の評価が日経平均株価の動きによってあらわれるだけだということです。
来年へ向けて期待できる何かがあるなら、今年後半、または来年4月頃までは下値堅く推移して、上昇を開始するための材料を待つことになります。
今年後半、または来年へ向けて、投資環境が弱気へ変化すると見ている市場参加者が多いなら、今後は、積極的な下げの流れへ入ると考えられます。
〇日経平均株価は7月に積極的な下げの流れへ入るか、天井型を形成する展開になるなら、今年後半に大きく下げる可能性が大きくなる
6月以降、横ばい、あるいは下降のどちらの展開になるかは、7月、8月の動き方で見えてきます。
価格が下げた1996年、1997年、2002年、2015年の7月は、以下のような展開になっています。
1996年は、7月1日の高値が7月の最高値となり、月末まで一本調子の下げ局面となっています。
1997年は、6月26日に年間最高値20910円をつけた後、7月9日の安値19495円まで下げて、その後、7月29日の高値20698円まで反発した後、右肩下がりのダブル・トップを完成して、下降を開始しています。
2002年は、5月下旬から6月26日まで大きく下げた後、7月8日まで一時的な反発を経過した後、10月まで下げの流れを継続しています。
2015年は、6月24日に戻り高値20952円をつけた後、7月9日の安値19115円まで下げて、その後、8月11日の高値20946円まで反発した後、右肩下がりのダブル・トップを完成して、下降を開始しています。
7月は、月初から下げるか、右肩下がりの天井型を形成する過程で、一時的な反発を経過(下降途中の一時的な反発を含む)するかのどちらの展開となっています。
7月に一本調子に下げるなら、その時点で、今年後半が下げの流れになる可能性が大きくなります。
右肩下がりの天井型を形成する展開へ入るなら、8月が積極的な下げの流れ入るか否かによって、今年後半の展開が見えてきます。
以上のことを考慮した今後のシナリオは、図表01の通りです。
