〇NYダウの前週末の上昇は一時的な動きで終わる公算か
前回は、トレンドの作られ方について、「勢いの強い上昇の流れが継続する場合、価格が下げても、はっきりとした弱気の流れを示す動きとならず、1~5営業日程度で調整の動きが終わり、反落前の高値を更新する」、「長期の上昇局面は、上げやすい時期に上げ幅を拡大して、下げやすい時期に下げ幅が限られることで作られる」と紹介しました。
NYダウは、4月14日に戻り高値34082ドルをつけてから、26日までの8営業日、上値、下値を切り下げるはっきりとした弱気サインをつけた後、4月25日、26日に積極的な下げの動きがあらわれています。
4月14日以降の値動きは、3月15日以降の上昇局面がいったん終了していることを示しています。
今後の価格が昨年12月の高値34712ドルを大きく上回る展開になるには、まず、3月15日以降の上昇で、一気に34712ドルへ接近する程度まで上げて、その後、34712ドル以上の上値余地があるかを確認する作業を経過し、さらに上昇するという順番になります。
4月14日以降の下げは、34712ドルが強力な壁になって、上値を抑えられ、上昇の勢いが終息したことを示唆しています。
4月27日、28日と急反発を開始して、28日に4月14日の高値34082ドルを超える動きとなりましたが、これまでの経緯を考慮すると、前週末の反発は、34082ドルへ到達したことで目標達成だと考えられます。
今後は、上昇途中のボックス型中段もちあいを形成した後、上昇を開始するか、短期の天井型を形成して、下降を開始するかのどちらかの展開になる公算です。
ただ、目先の価格が上値を抑えられた時点で、34712ドルが強力な壁になっていることを再確認することや、日柄を経過するごとに上値を抑えられやすい時期へ入ることを考慮すると、週明け後、上値を抑えられるなら、その動きは、短期の天井型を完成する作業になるという見方が有力になります。
価格が上昇を開始して、34712ドルを超える動きになるとするなら、それは、何か特別な材料(現時点で想定できる材料の1つとしてはロシアとウクライナの停戦合意)があって、週明け後の価格が上昇を継続して、一気に34712ドルを上回る上げ場面になるだけだと考えらえます。
上昇は、特別なことがなければあらわれにくい状況だと考えられるので、週明け後、上値重い動きがあらわれた時点で、弱気有利という見方になります(通常なら週明け後は上値を抑えられる公算です)。
〇日経平均株価は、週明け後に上値を抑えられるかが焦点

図表01は、1990年から2022年の期間で5月の月足が陽線引けした年、陰線引けした年で、それぞれ、月の最安値をつけた日、最高値をつけた日と営業日を示しています。
これを見ると、月足が陽線引けした年は、17回中、13回が3営業日目までに月の最安値を付けて、上昇していることがわかります。月足が陰線引けした年は、16回中、12回が3営業日目までに月の最高値を付けて、下降を開始しています。
ゴールデンウイークで、月初に取引のない日が続くということもありますが、チャートだけで見るなら、5月は、月初に動いた方へ動意づくことの多い月だと考えることができます。
図表02は、日経平均株価日足と、今後の予想線です。
日経平均株価は、価格が上昇する場合、年間の上げ幅を1月~6月頃までの年の前半、10~12月までの年末の期間で取りに行く傾向があります。本年は、日柄を経過するごとに米国、日本とも、景気後退、増税が意識される状況へ入り、上値が抑えられやすくなると考えられます。年間の価格が上昇する場合、上げ幅を拡大できる時期は、6月頃までの期間になります。
前述したNYダウの状況、日経平均株価の5月の季節性を考慮すると、日経平均株価が昨年からのもちあいを抜け出して、2021年9月の高値30795円を目指す動きになるパターンがあるとするなら、それは、押し目をつけて上昇を開始した前週末の上げの流れを継続して、目先、一気に上げ幅を拡大する動きになる展開だと考えられます。
週明け後、昨年8月の高値29222円前後で強く上値を抑えられて、弱気の流れを示す展開になるなら、目先つける戻り高値が本年の最高値となって、その後は、下降を開始するという見方が有力になります。
