〇一定の流れができている場面での一時的な調整の目安
価格が一定の流れを作るためには、多くの市場参加者がそこへ向かうと考える根拠があり、積極的に行動したくなる状況が必要です。
上昇、下降途中の一時的な反転は、十分に上げた、下げたという値幅を判断の目安として、もしかして下がるかも、上がるかもという誘惑と、利益確定の手じまいにより、価格が一時的に動くことであらわれます。下値を支えられる、上値を抑えられると、その後の価格が下降する、上昇する根拠がないので、すぐに上値を切り上げる、下値を掘り下げることになります。
上昇途中、下降途中の一時的な反転は、動いた値幅の大きさが市場参加者のこころの変化を作り出しているだけの動きです。
一定の流れができている途中に、価格が反転して、その動きが一時的な調整で終わるか否かを判断する基準は、値動きと日柄になります。
その反転が調整で終わり、一定の流れが継続しているなら、調整中は、反対方向への動きを示すサインがあらわれず、調整の日柄が長くなりません。積極的に仕掛けている側が不安になるような値動きが続かないわけです。
筆者の考えている一定の流れが継続している目安になる動きは、「もちあいの場合、5波のジグザグで終了して、それまでの流れの動きがあらわれること」、「勢いの強い上昇、下降途中の一時的な反転の場合、値動きでは、反対方向へ上値、下値を切り下げる、切り上げる動きがあらわれないということ、日柄では、1~5営業日の範囲内で調整を終了して、一定の流れへ戻ること」が挙げられます。
〇週明け後のNYダウは上値重い動きを継続する公算

図表01は、NYダウ日足です。
3月15日以降、勢いの強い上昇の流れへ入っていましたが、4月14日に戻り高値34082ドルをつけた後は、上値、下値を切り下げる動きがあらわれて、5営業日の期間、34082ドルを超えられずに推移しています。
値動きと日柄から、最近の上値を抑えられる動きは、勢いの強い上昇途中の一時的な調整ではなく、すでに勢いの強い上昇の流れの終息を示していると見ることができます。
今後は、価格が上昇するとしても、積極的な上昇局面へ入るための準備期間が必要になります。その動きは、横ばい、または値幅を伴った下げの動きのどちらかであらわれると考えられます。
弱気の見方が正しければ、週明け後は、価格が上昇しても、34082ドル付近で上値を抑えられる公算です。価格が下げるなら、勢いが強く、値幅の大きな下げ場面になると考えられます。
〇長期的なトレンドができる動き方
一定の流れの途中で、反対方向へ値幅と日柄の長い動きになる場合、取引量が多くなりやすく、多くの市場参加者が売り、買いを待っている状態のときにあらわれます。
そのような状態は、資金移動の事情から、毎年繰り返される動きに対してあらわれることが多く、値位置が意識される動きになります。
特定の時期に市場参加者に意識されている値位置へ来たら、積極的な買い、売りが入りやすくなることで、結果として、一定期間、下げにくく上げやすい、上げにくく下げやすい動きの中で、一定方向への動きが作り出されます。
値位置が意識されて買われている、売られている状況では、想定している十分な利益が得られると、手じまいが進み、それ以上へ価格が行きにくくなります。
長期的なトレンドを作るためには、値位置が意識されて、積極的に買われてゆく、売られてゆく中で、人気化し、それまで以上に取引量が増えて、想定される値位置以上へ上昇する、以下へ下げる動きとなる必要があります。
上げやすい(下げやすい)時期に上げ幅(下げ幅)が極端に拡大することで、その後、値幅の大きな調整があっても、上昇分(下降分)のすべてを押し戻されず、全体として右肩上がり(右肩下がり)の状態となるわけです。
〇日経平均株価は30795円が天井か否かを判断するポイントに位置

図表02は、日経平均株価日足と今後の予想線です。
日経平均株価は、(前述した長期のトレンドを形成できる状況を考慮すると)もちあいを抜け出して、新たな上昇を開始できるとするならば、今年の6月頃までに積極的で値幅の大きな上昇の流れがあらわれて、2021年9月の高値30795円を大幅に上回る上げ場面になる必要があります。
そうならなければ、2021年9月の高値は、2020年3月以降の上昇局面の天井となって、現在が天井をつけた後の下降局面の途中のもちあいという見方になります。
日経平均株価は、4月21日に3月9日の高値28734円を超えた後、上値を抑えられる展開となっています。
週明け後の価格が上昇すると、28734円が強力な壁になっていないことを示すサインとなって、その後、再度、勢いの強い上昇の流れを作る可能性が出てきます。
一方で、週明け後の価格が上値を抑えられると、昨年3月以降のもちあいの動きを継続しているという見方が有力になるため、今後は、レンジ下限を目指す動きになる可能性が出てきます。
週明け後の方向は、30795円が天井になっているか否かの最終的な判断のポイントになっていると見ることができます。
図表03は、2021年1月から2023年3月までの1か月ごとの日経平均株価の取引量の推移です。
日経平均株価は、2021年2月以降、戻せば売られる展開を継続しています。2021年以降の取引量の推移を見ると、取引量が多くなりやすい3月に、例年の通り取引量が増加しているだけになっていることがわかります。
今後の価格が上昇するためには、4~6月までの期間で、3月の取引量を上回る状況があらわれるはずです。
前週のNYダウの上値の重さや、前週までの4月の取引量を考慮すると、日経平均株価は、30795円が天井となっていて、週明け後、28778円前後で上値を抑えられると考えられます。
