〇NYダウは、昨年12月以降のもちあいの動きを継続中の公算
2月1日のFOMC後、NYダウは、一時的に1月13日の高値34342ドルを試す動きを経過して、すぐに上値を抑えられています。
「FRBが2023年の利上げの予定を変更し、場合によって利下げする」という多くの市場参加者の思惑から、昨年10月以降のNYダウが上昇の流れへ入っていますが、2月1日は、期待した結果が得られずに上値重い展開となっています。
1月の下値堅さから、現在の上昇は、昨年1月5日の高値36952ドルを突破して、1年を通じて上昇する流れになる可能性があると考えたくなるところですが、そうではありません。
NYダウの昨年からの上昇は、「FRBが政策を修正するなら、2023年の前半に景気が底を打ち、その後、緩やかな成長が続き、早ければ後半に経済指標が底打ちする」という見通しが前提となっています。
つまり、現在のNYダウは、いずれ景気後退に市場参加者の注目が集まり、価格が下げることがわかっている状況で、上げられる限界を確認する作業をしているという見方ができます。
36952ドルを目指す上げ場面になるには、多くの市場参加者が実際の米国景気に意識が向く前にFRBが事前に政策の修正を告知して、NYダウの上昇圧力が高まるという状況が必要でした。しかし、今回、そのような展開にならなかったことで、少なくとも3月頃までは、昨年12月の高値34712ドルを大きく上回る動きになりにくいと考えられます。
図表01は、NYダウ日足と、2月から3月にかけての予想線です。
本年2月から3月にかけてのNYダウは、昨年12月以降のもちあいレンジの範囲内(若干上下する展開を含めています。下げ方向には大きく動きやすいと考えられます)で推移する公算です。
2月中に昨年12月の高値34712ドルを一時的にせよ超える展開になるには、2月1日、3日の足型での上ヒゲで示した上値の重さを払拭する格好で、週明け後、すぐに上昇を開始する動きが必要です。
週明け後の価格が下げると、現状での上値の重さを再確認して、目先は、昨年12月の安値32573ドルを目指す動きになると考えられます。

〇日経平均株価は週明け後に上昇できるかが焦点

図表2は、日経平均株価の2月の値動きをあらわしています。
以前にも紹介していますが、2月は、月間の方向に強弱の傾向が強くあらわれていませんが、月足が陰線引けするときの動きに特徴があります。
2月の月足が陰線引けしている年の上ヒゲの部分を見ると、値幅がほとんどの年で100~300円程度になっています。陰線引けしているときは、だいたい、10日頃までに2月の最高値をつけて下降を開始しています。
2022年は、1月に大幅安となった反動高が2月上旬にあらわれたため、2月の最高値をつける時期がずれて、2月上旬の上げ幅が大きくなっています。
図表03は、日経平均株価日足と2月以降の予想線です。
日経平均株価は、1月4日に昨年のレンジ下限で押し目をつけた後、昨年のレンジ上限を目指す動きになっています。
2月3日は、(2月1日の始値27483円から129円幅の上げた地点)27612円で上値を抑えられて、上ヒゲの長い線をつけています。
「NYダウの状況」、「日経平均株価の2月の下げパターン」、「昨年のもちあい期間中、27500円前後が節目になってきた流れ」などを考慮すると、本年2月の月足が陰線引けする展開になる場合、日経平均株価は、3日の高値が2月の最高値となって、週明け後の価格が下降を開始すると考えらえます。
一方で、週明け後の価格が上昇するなら、その後は、一気に28000円以上へ上げる動きになる可能性が出てきます。
ただ、強気の展開になる場合でも、NYダウの昨年12月の高値以上の上値の重さから、日経平均株価は、昨年11月の高値28502円以上の上値が限られる公算です。
また、目先、一段の上昇は、長く継続しにくいと推測できます。

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