〇日経平均株価は目先、急落する動きにならない展開になった
日経平均株価は、前週の価格が上昇したことで、8月中、積極的な下げの流れを作り、6月20日の安値25520円を目指す展開にならない可能性が大きくなったと言えます。
8月は、月足が陽線引けするという見方が有力になっています。月足が陰線引けするとしても、8月中は、8月2日の安値27530円を大きく下回る展開にならないと推測できます。
前回、「本年の年足が陰線引けするなら、目先の価格が1月5日の高値29388円を超えられずに上値を抑えられて、3月の安値24681円を割れる動きになる」と書きました。
28000円から29388円までの1000円前後の値幅の範囲が強力な壁になっているので、28000円前後の値位置では、強く上値を抑えられて、8月が月初から下げの流れを作ると推測しました。
しかし、前述した通り、前週の価格が上昇したことで、28000円以上の値位置が強い壁になっていないことや、8月が積極的に下げる流れになりにくい状況を示したため、目先は、上値を試す動きを継続する可能性を考えておく必要が出てきました。
現在の上昇の強さを考慮すると、1月5日の高値29388円を超える展開を考えておく場面ですが、現時点では、まだ29388円を超えられず、年末へ向けて24681円以下へ下げる可能性を残しています。
〇日経平均株価の本年8月はジグザグに推移する
1990年から2021年までの期間で、日経平均株価の8月がはっきりとした上昇の流れを作り、値幅の伴った上げ場面となった年は、1995年、2000年、2003年、2005年、2006年、2020年が挙げられます。
1995年は、メキシコの通貨危機により、1月から4月までの期間で20円幅以上の円高を経過して、日経平均株価が1月4日の高値19724円から7月3日の安値14295円まで、5429円幅の下げ場面を経過しています。
為替介入や経済政策による反転と、反動高により、7月3日以降に上昇を開始した後は、7月、8月がはっきりとした上昇の流れを作っています。
2000年は、4月12日の高値20833円から7月31日の安値15394円まで、5439円幅の下げを経過した後、8月が反動高となっています。
2003年は、2000年4月12日の高値20833円から2003年4月28日の安値7603円まで、2年以上、13230円幅の下げを経過した後、株価が大勢の下降局面が終了して、4月28日以降、大勢の上昇局面へ入った年です。価格は、4月28日から9月18日まで、勢いの強い上昇の流れを作っています。
2005年は、ドル・円相場が1月の101.65円から12月の121.38円まで、20円幅近い円安を経過する過程で、日経平均株価が4月21日の安値10770円から12月29日の高値16445円まで、ほぼ一本調子に5000円幅以上の上げを経過した年です。
2006年は、4月7日の高値17563円から6月14日の安値14309円まで、3254円幅の下げを経過した後、6月から7月にかけて押し目底のパターンを形成して、7月18日以降、年末まで続く上昇の流れへ入る途中で、8月がはっきりとした上昇の流れを作っています。
2020年は、3月19日に底値をつけた後、年末まで、はっきりとした上昇の流れを作っています。8月は、その途中で上昇の動きになっています。
8月がはっきりとした上昇の流れを作る場合、8月は、7月頃まで下げの流れを作った反動高の動きとなるか、極端な下げ局面を経過して、3月以降に底値をつけて上昇を開始した年になっているかのどちらかとなっています。
本年は、7月の価格が上昇しているため、月足が陽線引けする展開になるとしても、8月がはっきりとした上昇の流れを作らず、ジグザグに推移する可能性があります。
〇日経平均株価は、週明け後、すんなり上昇できない
日経平均株価は、前週末のNYダウが上昇した流れを映して、週明け後の価格が上放れて始まる公算です。
週明け後の上放れの動きは、現在が勢いの強い上昇の流れへ入っていることを示唆する動きです。
しかし、8月の値動きの傾向を重視するなら、週明け後は、すんなりと上昇を継続する動きにならず、29000円の節目を前に上値を抑えられる動きになると考えられます。
今後の価格が29388円へ届かずに上値を抑えられて、3月の安値以下を目指す動きがあらわれる場合、その動き方は、図表01の実線の展開になる公算です。
