〇 日経平均株価は、前週の上昇で強弱のシナリオが絞られてきた
前回、日経平均株価は、「1月に、月の始値から安値までの値幅が1000円幅以上の下げ場面となって、月足が陰線で引けした場合、その年がかなり弱い動きになっている」という過去の経験則を紹介しました。
「弱い動き」というあいまいな表現にしたのは、すべての年が同じような弱さになっているわけではないからです。年間が弱気パターンの年の動き(年初よりも年末の値位置が低い動き)になっているパターンと、年の前半が弱気の展開(1月の安値以下へ下げる、または上値重く推移)になっているパターンにわかれます(詳細は前回の記事を参照して下さい)。
また、昨年12月26日の記事では、「日経平均株価の1月が陰線引けしている年は、2~4月も陰線引けしていることが多く、1月の始値よりも4月の終値の方が低いことが多い」と書きました。
過去の値動きの経験則を考慮すると、4月までの展開は、前回紹介したシナリオになります。
前回の記事を書いた時点では、1月27日の安値26044円が一時的にせよ、押し目底となって上昇を開始するか、下値を掘り下げる動きになるかがはっきりしませんでした。押し目底になるとしても、どういう展開で下値堅さを確認するのかが見えていない状況のため、図に示した展開だけでなく、いくつかのシナリオが想定できる状況でした。
1月31日以降、価格が上昇したことで、4月までのシナリオは、前週よりも絞られてきました。
〇 日経平均は、前週の上昇で4月までの値動きが絞られてきた

図表1は、日経平均株価の2月の値動きをあらわしています。
これを見ると、2月は、月間の方向に強弱の傾向のないことがわかります。ただ、2月の月足が陰線引けしている年の上ヒゲの部分を見ると、値幅は、ほとんどの年で200~300円程度になっています。また、陰線引けしている年は、2月の最高値を月初につけていることが多くなっています。
1月が大幅安となって陰線引けした年は、1990年、1991年、1992年、1995年、1997年、2008年、2009年、2014年、2016年です。
チャートで確認していただければはっきりとわかりますが、これらの年の2月は、価格が下げる場合、月初に戻り高値をつけるか、月初に若干のもみあいを経過した後、下降を開始するかのどちらかの展開となっています。また、2月に価格が下げる場合、1月の安値を下回る動きになることが多くなっています。

図表2は、日経平均株価日足です。
本年2月の日経平均株価は、1日の始値27167円から2日の高値27564円まで、397円の上げ幅となっています。
チャートでは、前週末の安値27075円が押し目になって、上値を試す動きへ入っています。
現在が上昇の流れの途中なら、2月4日の安値が一時的な調整の終点となって、週明け後、価格が上昇を開始して、2日の高値27564円を超える動きになると考えられます。
一方で、週明け後の価格が27564円を超えられずに下げて、2月4日の安値27075円を割れると、2月2日以降が上値、下値を切り下げる、はっきりとした弱気の流れを作ります。週明け後の価格が下げると、4日の反発は、上値の重さを明確にすることに役立ってしまうことになります。
前述した1990年以降の2月の値動きと、本年1月の展開から想定できる2月の値動きを考慮すると、週明け後、2日の高値27564円を超えられずに下げて、27075円を割れる展開になる場合、本年2月は、27564円が2月の最高値となって、1月の安値を割れて、陰線引けする展開になると推測できます。
週明け後の価格が上昇して、2日の高値27564円を超える動きになるなら、本年2月は、堅調に推移して、陽線引けする展開になると考えられます。
週明け後の方向次第で、2月以降の展開がさらに絞られてくるはずです。 現時点で想定できる展開は、図表2の青と赤の実線になります。