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【少額投資家のための売買戦略】2021年8月29日記

【日経平均の目先の展開は3通りに絞られた】

〇 NYダウは10月まで上昇の流れを継続する公算か

27日、FRBのパウエル議長は、経済シンポジウムでの講演で、量的緩和の縮小を開始する時期について、年内が適切との見方を示しました。時期については、具体的な明言を避けましたが、FOMCの日程(9月22日、11月3日、12月15日)を考慮すると、11月が考えらえます。

2008年以降、量的緩和を断続的に実施していますが、量的緩和の切れ目になる場所では、NYダウに値幅の伴った下げの動きがあらわれています。

本年のNYダウは、年末へ向けて上昇の流れを作り、年間の最高値を更新する年になると書いてきましたが、緩和縮小が多くの市場参加者に意識されて、11月以降、いったん下値を試す動きになることも考えられます。

2020年3月以降の上昇は、どこかで、2020年9月~10月までの調整と同程度の値幅(3056ドル幅)の下げ場面があらわれると考えられますが、その時期が本年11月~3月までの範囲になる可能性が出てきました。

これまでは、10月以降に上昇が勢いづく可能性があると推測してきましたが、必ず年内に緩和縮小を実行すると考えるなら、NYダウが積極的な上昇の流れを作ることのできる期間が10月までになることも考えられます。

日経平均は、緩和縮小し、その後、利上げが意識される状況になれば、ドル・円相場が積極的な円安の流れを作ることで、NYダウが上値重い状態でも、上げ幅が大きくなる可能性があります。

ただ、現時点では、NYダウの上昇の流れが11月前後で止まることを基準にして、日経の展開を考えてゆきます。

〇 日経平均株価の9月が上昇する場合の値動きのパターン

図表01 日経平均の9月の値動き

図表01は、日経平均株価の9月の値動きを示しています。

2004年まで、9月は、陰線引けする、下げやすい時期でしたが、2005年~2020年の16年間では、11回も月足が陽線引けしています。

陽線引けしている年の下ヒゲの部分を見ると、100円以下の値幅の年と500円幅以上の年に分かれています。

図表02は、2019年の日経平均株価日足と、9月が陽線引けするときの値動きのパターンを示しています。

9月は、陽線引けする場合、始値からいったん大きく下げた後、上昇しているパターン(パターン1)、始値からほとんど下げずに上昇しているパターン(パターン2)、ジグザグに横ばいに推移するパターン(パターン3)の3通りの動き方が見られます。この中で、横ばいのパターン3は、あまり見られない展開です。

図表02 日経平均の9月の陽線引けパターン

〇 日経平均株価の今後のシナリオ

図表03 日経平均の9月の予想できる展開

現在の日経平均株価は、8月20日の安値26954円へ接近するか、そのまま上昇するかが大勢の強弱の分岐点となっています。

2月16日の高値30714円以上を目指す動きになる場合、目先は、8月20日の安値26954円に接近することなく、8月20日以降の上げの流れを継続すると考えられます。

目先の価格が下げて、26954円へ接近すると、その後は、24000円以下を目指す動きになる可能性が大きくなります。

図表03は、日経平均株価日足と、予想できる9月の展開です。

前述した通り、前週末の値位置のまま、価格が下げると、その動きは、大勢の流れが弱気であることを示唆します。当然、9月は、積極的な下げの流れへ入り、下値を掘り下げる動きになると考えられます。

9月の月足が陽線引けするためには、9月の月初に下げるなら、まず、8月末までの間に、8月12日の高値28279円まで上昇し、9月の月初に下げられるスペースを作っておく必要があります。

週明け後、横ばいに推移して、9月の始値が前週末の終値付近に位置する場合、9月は、月初から一本調子の上昇の流れを作ると考えられます。

9月が強気の展開になる場合、(NYダウの想定できる展開を考慮すると)10月まで積極的な上昇の流れを継続して、一気に目標値を目指す動きになることも考えられます。

強弱のどちらになる場合でも、シナリオが絞られていて、強弱どちらになっても大きく動く可能性がある状況のため、週明け後の方向に注目したいところです。

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