日経平均株価は、目先、戻り高値を付けた後、年末まで上値重く推移する公算
〇日経平均株価の本年9月の上げ余地

図表01は、2013年から2025年までの月ごとの変動幅(月の高値から月の安値までの値幅)を示しています。
数値は、それぞれの月の高値から安値までの値幅(1か月の変動幅)です。
平均1は、2013年から2019年までの月ごとの変動幅の平均値になります。
平均2は、2020年から2024年までの月ごとの変動幅の平均値になります。
順位は、変動幅が大きかった順番です。
順位1は、平均1の順番、順位2は、平均2の順番です。
2020年以降、1営業日ごと、月ごとの変動幅が大きくなりやすい状態となっているので、2020年以前と以降を分けています。
図表01を見ると、変動幅の大きくなりやすい月は、2月、3月、4月、8月、9月、12月などが挙げられます。
9月は、比較的変動幅が大きくなっていることが多いのですが、その年の最大となる値幅の動きがあらわれることはなく、9月の変動幅が大きい年でも、だいたい2番目から4場目くらいに位置しています。
現時点で、2025年中、最も変動幅の大きかった月は、4月の5282円幅になります。
その次が8月の4025円幅です。
4月は、トランプ関税の不透明感から、一気に下げ幅が拡大した月です。
2013年から2024年までの期間での1か月の変動幅の最大は、2024年8月の7625円幅になります。
次は、2020年3月の5361円幅です。
株価が急激な下げ場面になる場合、1か月の変動幅が5282円幅、5361円幅、7625円幅という極端な振れ幅となっています。
言い換えれば、暴落がなければ、1か月の変動幅が5000円幅に到達するような展開を考えにくいということです。
本年8月、9月は、価格が上昇することで、変動幅を作っています。
過去の経験則を考慮すると、本年9月は、(上げ方向の場合)8月の4025円幅を大きく超えるような変動幅にならないと推測できます。
9月は、1日の安値41835円から、12日の高値44888円までで、すでに3052円幅の変動幅を作っています。
前回、本年9月の日経平均株価は、月足が陰線引けする展開になると紹介しました。
9月の月足が陰線引けする場合、今後は、12日の終値44768円から、9月1日の始値42362円まで、2406円幅以上の下げを月末までに経過する必要があります。
9月の残された日柄は、10営業日です。
9月の月足が陰線引けする場合、9月末までの価格が9月1日の安値41835円を割れる動きになると考えられます。
つまり、今後、月末までの期間で、下げ方向にも変動幅を作ることになるわけです。
下げ方向にも振れ幅を作るので、9月が8月と近い変動幅になるとしても、まだ上げ方向に1000円幅分だけ上げられる余地が残されているということにはなりません。
また、残された日柄と、下げなければいけない値幅を考慮すると、目先、上昇できる値幅、日柄は限られると推測できます。
〇9月に年初来高値をつけた年の展開
9月に年初来高値を更新した年は、「1993年、2003年、2005年、2014年、2017年、2018年、2021年」の7回です。
1993年、9月に戻り高値をつけた後、11月末までの期間で、9月までの上げ分のすべてを押し戻されています。
2003年は、9月19日に戻り高値11160円をつけて反落し、9月の上げ分のすべてを押し戻された後、再反発して、10月21日に9月の高値を若干超えた11238円で戻り高値をつけて、その後、年末まで上値を抑えられています。
2014年は、9月25日に戻り高値16374円をつけて、10月17日の安値14529円まで一本調子に下げています。
10月末に日銀の量的緩和第二弾があり、日経平均は、大幅上昇し、9月の高値を大きく上回る展開となっています。
10月に押し目をつけるまでの下げ幅が(年の前半からの上げ幅と比較して)大きかったため、株価を押し上げる強い材料がなければ、9月の高値16374円が意識される動きになっていた可能性があります。
2018年は、10月2日に年間の最高値をつけて、年末まで下げの流れへ入っています。
2021年は、9月14日に年間の最高値をつけた後、年末まで上値重く推移しています。
2003年、2005年、2017年は、9月の上昇の流れを継続する格好で、目立った調整なく、年末へ向けて、はっきりとした上昇の流れを継続しています。
1990年以降の経験則で見ると、9月に年初来高値を更新する年は、9月の高値付近が年末まで意識されるか、そのまま上昇の流れを継続するかのどちらかの展開になっています。
上昇を継続するためには、だれもが上昇すると予測できるような特別な材料が必要になります。
〇休み明け後は戻り高値を確認する作業へ入る公算か

図表02は、日経平均株価日足と、今後の予想できる値動きです。
本年9月の月足は、陰線引けする展開になると考えられます。
本年は、9月の高値付近が年末まで、強く上値を意識される場所になる公算です。
上値を抑えられた後、年末まで上値重いなら、それは、4月7日以降の上げ幅全体の修正の動きだと推測できます(4月7日の安値以下を目指す可能性を含めています)。
戻り高値をつけた後、最初の下げ場面での下値の目安は、9月3日の安値41863円、8月4日の安値39850円5月22日の安値36855円などが挙げられます。
休み明け後は、9月12日の高値44888円前後で戻り高値を確認する作業を経過して、下降を開始する公算です。