日経平均株価は、今週、下げ継続するかによって、来年へ向けた展開が見えてくる
〇日経平均株価は乖離線が反転上昇を示唆
日経平均株価は、最近の急落により、7月26日の(終値から25日移動平均線を引いた)乖離線がマイナス2385円まで下げています。
リーマンショックの急落場面では、乖離線がマイナス3000円以下から反転、バブル崩壊後の最初の下げ場面、コロナショックでの急落場面の場合、それぞれマイナス4000円を下回った地点で反転しています。
これらの暴落場面を除けば、マイナス2000円はめったにあらわれることのない場所であり、乖離線がこの地点まで下げると、価格が反転する可能性を考えておいた方がいい場所になります。
本年3月22日から4月19日の下げ場面では、4月19日に乖離線がマイナス2476円まで下げた後、反発を開始しています。
週明け後の日経平均株価は、前週末のNYダウが反発した流れを映して、寄り付き値が上放れて始まる公算です。
乖離線の水準を考えると、日経平均株価は、週明け後の反発をきっかけにして、値を戻す動きになると考えられます。
ところで、週明け後、価格が反発を開始する場合、気になる点があります。
それは、下値目標値へ到達していないということです。
日経平均株価の本年前半の上昇は、2020年3月から始まっています。この上昇は、5つの波のパターンを作り、7月11日以降の下げが、2021年9月の高値30795円から2022年3月の安値24681円までの2波の下げ幅(6114円幅)と同程度となる4波の動きだと推測できます。
4波の下値目標値は、7月11日の高値42426円から6114円幅を引いた36312円になります。4月19日の安値36733円を割れる程度まで下げなければ、この下げは終息しないと考えられます。
筆者の個人的な経験則では、「はっきりとした流れができて、振れ幅の大きくなった動きが中途半端な地点で止まらない」ということがあります。まして、目標地点の目前まで迫っていて、目標値へ到達せずに反転する展開を想定しにくいと言えます。
〇日経平均株価の8月の下げパターン
1990年から2023年までの期間で、8月の日経平均株価の月足が陰線引けした年が17回あります。これらの年の8月の月間の最高値をつけた日の月初からの営業日は、順番に「16、1、1、17、2、18、1、7、7、2、1、2、16、7、2、1、1(営業日)」となっています。17回中10回は、月初からすぐに価格が下げる展開となっています。
3回ある7営業日目に高値をつけているときは、月初にもみあいを経過して、もみあい期間中に若干だけ、月初の高値を超えて、下降を開始する動きとなっています。そのため、チャート上では、ほぼ、月初から下げる動きになっています。
16~18営業日目に高値をつけている3回は、月初に価格が下げた後、月中から反発して、下げた分を戻して、再度月末へ向けて下げる動きとなっています。
8月は、月足が陰線引けする場合、ほとんどのケースで、月初に価格が下げています。
日経平均株価は、6月頃までに上値の重さを確認して、7月から9月、10月頃まで、上値重く推移する傾向があります。
8月に価格が下げる場合、7月に上値の重さを確認して、8月が月初から下げる動きになっています。
〇NYダウは目先、1000ドル幅以上の下げを経過する可能性がある
前回、NYダウは、本年と似た値動きになっている場合、「7月中旬に戻り高値をつけた後、たいていの場合、少なくとも8月上旬頃まで下降の流れを継続する」、「8月上旬頃までの期間で、7月の安値付近か、それ以下まで下げる」、「下げ方が遅くなっても、7月の安値付近まで下げている」という展開になっていると書きました。
前週末のNYダウは、大幅上昇して、40589ドルで引けています。
過去の経験則にしたがうなら、NYダウは、8月上旬頃までの期間で、7月1日の安値39037ドルまで下げる動きになると考えられます。
8月9日頃に39037ドルへ位置すると見るなら、目先は、10営業日程度の期間で1551ドルの下げ場面(だいたい1営業日150ドル前後の速度)になる公算です。
NYダウが大きく下げるなら、そのきっかけは、30日のFOMCが有力です。
日経平均株価は、30日まで上昇できる日柄が残されているということになります。
〇日経平均株価は目先の上げ幅が大きくなると、42426円が天井になる可能性が出てくる
8月の季節性や、NYダウの値動きを考慮すると、本年の日経平均株価は、7月31日以降に価格が下げて、一気に4月19日の安値36733円以下(36312円が下値の目安)へ到達する動きになると考えられます。
その場合、乖離線は、リーマンショック時にあらわれたマイナス3000円以下へ下げる可能性が出てきます。
そうなると、7月11日以降の下げは、通常の範囲内の動きではないことを考えておく必要があるので、42426円が大天井になることもシナリオに加わります。
図表01は、日経平均株価日足と今後のシナリオです。
今後の価格が42426円を超える展開になる可能性があるなら、その最も有力なシナリオは、青の実線の通り、目先堅調に推移して、8月中旬から9月、10月にかけて一段安となって、36312円まで下げた後、押し目底をつけて、上げやすい年末へ向けて上昇を開始するパターンです。
31日以降、一気に下げ幅を拡大する展開になるか、青の実線の通り、8月上旬が下値堅く推移するかによって、今年から来年にかけての値動きが見えてきます。
