日経平均株価は7月後半が戻り高値をつける準備の動きになる公算も
〇日経平均株価は、一気に40606円まで下げる可能性が出てきた
前回、日経平均株価は、「7月8日以降に上昇すると、4月19日以降の上昇が全体で5つの波のパターンを形成する可能性が出てくる」と書きました。
5つの波のパターンになる場合、その有力な展開は、「7月中旬頃までに3波の終点をつけて、戻り高値を確認した後、7月末頃までの期間で、(2波である)5月20日(高値39437円)から5月30日(安値37617円)までの下げ幅(1820円幅)と同程度の4波の調整を経過して、8月から9月にかけて、5波目の上げの流れへ入る」というパターンだと紹介しました。
現状では、前回のシナリオに沿った展開になることも考えられますが、7月12日に価格が1000円以上の値幅の下げを経過し、下値の目安(40606円)がすぐ下に位置しているので、目先は、すぐに4波目の終点をつけて、7月末にかけて、5波目の終点をつける展開も想定しておく必要が出てきました。
〇日経平均は7月に年間の最高値をつけにくいが、本年は特別な年になる可能性がある

図表01は、日経平均株価日足と、今後の想定できる展開です。
青の実線が8月以降に5波の終点をつけるパターン、赤の実線が7月に5波の終点をつけるパターンです。
現在の上昇は、2022年3月から始まっていて、本年4月19日以降の上昇が最終段階の上げの流れだと考えられます。
現在の勢いの強い上昇が終息した後は、2021年9月14日~2022年3月9日までと同程度の下げ幅(6114円幅)の調整局面へ入る公算です。
赤の実線の展開になる場合、本年は、7月に年間の最高値をつけることになります。
7月は、年間の最高値をつける展開になりにくい月です。1990年から2023年までの期間では、7月に年間の最高値をつけた年が1度もありません。
年間が弱気に推移する場合、たいていは、6月までに最高値を確認して、下降を開始しています。
7月以降に6月までの高値を更新する場合、年末へ向けて一段高を目指す動きとなるか、そうならなくても、9月以降に高値を更新する動きがあらわれています。
それにもかかわらず、本年が7月中に上昇の終点をつける可能性があると推測している理由は、7月3日の高値161.95円が円安の終点となって、すでに積極的な円高の流れへ入っているという見方を無視できないからです。
〇ドル・円相場はすでに円高の流れへ入っている可能性がある
ドル・円相場の過去の動きを見ると、「年の前半に積極的な円安の流れを作り、年の後半に円高方向の動きになっている年」は、だいたい、6月頃までに年間の最高値をつけて、円高方向の流れへ入っています。
8月は、米国の年度末を前にドル安へ振れやすい時期になります。
前半円安、後半円高の年は、6月、7月に上値の重さを確認した後、8月には、積極的な円高の流れを作っています。
4月29日、5月2日に続き、7月11日は、政府、日銀が為替介入を実施したと推測できる急速な円高の動きがあらわれています。
この動きは、160円以上の円安を許容しないという明確な意思表示になっています。
7月31日は、日銀の政策決定会合が控えています。
前回の日銀会合では、7月の会合で国債買い入れ減額のスケジュールを明確にすることを決めています。
160円以上への円安を許容しないという意思表示をして、そして、量的緩和を終了するためのスケジュールを示すのですから、当然、円高へ向かいやすい政策転換になると推測できます。
本年が例年の傾向に反し、図表01の赤の実線の展開になる場合、その動きは、8月に積極的な円高の流れを作ることであらわれる公算です。
その場合、日経平均株価は、8月上旬に値幅の伴った下げの動きがあらわれると考えられます。
休み明け後、一気に40606円まで下げる動きになるなら、7月の高値が年間の最高値になる可能性を頭に入れておきます。