日経平均株価は、上昇が終息した後、6000円幅の調整へ入る公算
〇日経平均株価の想定できる大勢の展開

日経平均株価は、昨年10月以降、急激な上昇場面へ入り、終点の見えない状況となっています。
今回は、この上昇がいつ終息するのか、終息した後、本年がどのような展開になるのかについて見てゆきます。
図表01は、日経平均株価月足です。
長くはっきりした上昇の流れができている場合、一定の基準を満たした5つの波のパターンを形成する傾向があります。
そのため、はっきりとした上昇局面では、まず、5つの波のパターンを形成する展開を想定し、基準になるシナリオを作り、シナリオからのずれを見て、その後の展開を組み立ててゆきます。
現在の上昇局面は、2008年10月から始まっています。
2008年10月以降で、最も値幅の大きな下げは、2018年10月から2020年3月までの動きで、2020年3月以降、これと同程度の値幅、日柄の下げがあらわれていません。そのため、2020年3月の安値が2波目の終点として、それまでの上げ、下げを1波、2波とカウントします。
2波目の終点となる2020年3月の安値16358円をつけた後は、3波目の上昇場面へ入っています。3波目の上げは、さらに小さな①~⑤波に分かれているという見方になります。
2020年3月以降の上昇局面で最も値幅の大きな調整は、2021年9月~2022年3月までの下げになります。
これと同程度の値幅、日柄の下げがあらわれていません。
2022年3月の安値24681円が②波目の終点となって、その後の上昇は、③波目の上げ局面がさらに小さな(1)~(5)波に分かれているという見方になります。
2022年3月以降の上昇は、上昇の初期のジグザグと、昨年6月~10月の下げが同程度の値幅の動きとなっているので、2023年10月以降、3波の中の③波が(5)波目の最終段階の上げ場面へ入っていると推測できます。
5つの波のパターンを基準として推測すると、現在の上昇が終了した後、2021年9月~2022年3月までの下げ幅(6114円幅)と同程度の値幅の④波の下げ局面へ入るという見方ができます。
現在の上昇が大天井をつける最後の吹き上げであっても、大勢の上昇の途中であっても、少なくとも6114円幅以上の下げを経過すると考えられます。
〇現在の上昇が終息した後はしばらく上値重い展開へ

図表02は、1月と2月の月足が陽線引けした年の1月から4月までの月足です。
以前、年間の価格が上昇する年は、その上げ分を年の前半に取りに行くことが多く、1月から4月の期間が強気に推移する傾向がある(1月の始値よりも4月の終値が高い)と述べました。
1月から4月の期間は、連続して上昇するわけではなく、この中の2か月が上昇するなら、2か月が横ばい、または調整の動きになっています。
本年は、1月、2月ともに大幅に上昇したため、月足が連続して陽線引けすると考えられます。
1990年から2023年までの期間で、1月と2月が連続して陽線引けした年は、1998年、2000年、2007年、2012年、2013年、2015年、2019年、2021年の8回です。
4月まですんなりと上昇を継続している年は、安値圏から上昇を開始した2013年だけで、他の年の値動きを見ると、2月の高値付近で上値を抑えられて、3月に下げるパターンと、3月まで上昇を継続して、3月の高値で上値を抑えられるパターンのどちらかになっています。
終値から25日移動平均線を引いた乖離線は、2000円を超える水準がたまにしかあらわれない場所になっています。
2月22日の乖離線は、2000円以上をつけていて、現在の上昇の勢いが、めったにあらわれない強さであることを示唆しています。
昨年10月31日~11月20日までの上げ場面、本年1月4日~1月23日までの上げ場面は、どちらも急激で値幅の大きな動きになっています。
このような上昇を経過して、その上げが終息した後は、応分の調整場面があらわれます。
昨年11月20日以降は、昨年末まで、1.5か月程度上値重く推移しています。
1月23日以降は、2週間以上、上値を抑えられています。
「1月から4月の値動きのパターン」、「乖離線の水準」、「急激に上昇した後の調整期間」を考慮すると、現在の上昇が終息した後は、少なくとも4月頃までの期間で、上値重い動きになると推測できます。
図表01で示した5つの波のパターンを基準にするなら、現在の上昇が終了した後は、6114円幅の調整場面へ入る可能性があります。
ちなみに、1月と2月の両方が陽線引けした8回の年間の値動きを調べると、1998年、2000年、2007年、2015年は、年の前半に最高値をつけて、後半へ向けて下降局面へ入っています。
2012年、2013年、2019年、2021年は、年の後半に年間の最高値を更新しています。
2012年、2019年、2021年は、年初の上昇分を8月頃までに押し戻されてから、再上昇を開始しています。
2013年を除けば、いったん年初の安値まで下げているわけです。
図表03は、日経平均株価日足と目先のシナリオです。
目先、強く上値を抑えられた地点が戻り高値となって、しばし、上値重い動きになると考えられます。
