日経平均株価は年内に33772円を大きく上回る上げ場面にならない公算
〇日経平均株価の年末へ向けた上昇は10月までの高値を目指す動き
前回、11月に価格が上昇する場合、11月中に行けるところまで上げておく動きがあらわれて、12月が上値重い動きになりやすい傾向があると紹介しました。
1990年以降の動きを見ると、日経平均株価は、その年の年間の上げ幅の大部分を取りに行く時期が年の前半となっていることが多くなっています。
年末へ向けた上昇は、10月までにつけた年間の最高値まで上げる動きなっていることがほとんどとなっています。
年末に年間の最高値を更新しても、たいていの場合、年間の最高値を更新する程度の動きで終わり、さらなる上昇は、翌年1月以降の動きとしてあらわれています。
1990年以降で、11月、12月に年間の最高値を更新した年は、1995年、2005年、2012年、2014年、2016年、2017年、2019年、2020年の8回あります。
この中で、年間の最高値を年の後半に大きく更新する展開となったのは、2005年と2014年、2017年の3回だけです。
2005年は、3月7日の高値11975円を8月2日に超えた後、そのまま年末まではっきりとした上昇の流れを継続しています。
2005年は、欧米の中央銀行が連続して利上げする中で、日銀がゼロ金利政策を継続していたことで、9月以降、年末まで一本調子の円安局面となって、その過程で、日経平均株価が上昇を継続しています。
2014年は、10月に日銀が量的緩和第二弾を発表し、GPIFが株式、債券の運用比率を変更して、国内外の株式の運用比率を高めました。これにより、日経平均株価は、10月下旬から急上昇を開始して、12月8日まで上げ続けています。
2017年は、トランプ前大統領の公約となっていた法人税、所得税の大型減税等が12月に決まります。その過程で、NYダウが年初から年末まではっきりとした上昇の流れを作り、日経平均は、9月から11月8日まで、ほとんど下げることのない上昇の流れへ入っています。
年末へ向けて大幅高となって、年間の最高値を大きく更新した年は、9月、10月頃、材料をともなって、年間の最高値を更新して、年の後半の円安の流れとともに、上昇の流れを11月、12月まで継続する展開となっています。
その他の年の年末へ向けた上昇は、だいたい年の前半の高値を目指す上げ場面となっています。
〇ドル・円相場は週明け後に円高継続なら、151.9円で円安が終息している可能性が出てくる
本年は、岸田首相が減税のようなものを決定してくれる可能性のある状況です。2024年のNISAの非課税枠拡大により、本年は、年末へ向けて株式市場へ資金が入ることも考えられます。
年末へ向けて、円安が継続するなら、過去3回のような日経平均株価の新高値の大幅更新場面があらわれる可能性を(ほとんど捨てていますが)捨てきれません。
図表01は、ドル・円相場日足です。
ドル・円相場は、7月14日以降、はっきりとした円安の流れを継続しています。円安途中の一時的な調整場面では、上値、下値を切り下げる弱気サインをつける動きも見られますが、弱気サインをつけた後、すぐに反転して、弱さを払拭する円安の動きがあらわれて、以前の高値を超える展開となっています。
11月17日は、15日の安値150円を割れて、上値、下値を切り下げる弱気サインをつけています。
これまでの円安流れを継続しているなら、週明け後は、17日の安値149.15円を割れることなく、すぐに反転して、24日頃に、11月13日の高値151.9円へ接近するか、151.9円を超える動きになっているはずです。
目先、反転して151.9円を超える展開になるなら、9月以降の緩やかなジグザグの動きが変化して、年末へ向けて、行けるところまで一気に円安が進む動きへ入る可能性が出てきます。
一方で、週明け後も円高の流れを継続するなら、これまでの円安の流れの変化を示すことから、151.9円が戻り高値となって、年末へ向けて、戻せば売られる展開となると考えられます。
週明け後、ドル・円相場が円高方向の動きとなるなら、それは、ドル・円相場、日経平均株価とも、年内の上値の限界付近に位置していることを示すサインになる可能性があります。
図表02は、日経平均株価日足と、年末までの予想線です。
6月19日の高値33772円以上の上値余地が限られているなら、今後の展開は、図表02の青と赤の実線のどちらかになると考えられます。

