〇日経平均株価の急上昇はバブル期であっても8000円幅が限界だった

日経平均株価は、上昇が加速する始点の安値、3月16日の安値26632円から前週末の高値33772円まで、3か月の期間で7140円幅の上げ局面となっています。
1月4日の安値25661円(現時点での年間の最安値)からは、8111円幅の上げです。
図表01は、5月21日の記事で紹介したものと同じ、1985年以降の年間の変動幅に年間の方向を加えたものです。
年間が陽線引けして、8000円幅以上の上昇局面を経過した年は、1987年と1989年、2020年の3回しかありません。
1987年は、年初から10月までの期間で8120円幅の上昇を経過した後、ブラックマンデーと呼ばれる株価暴落場面があらわれています。
日経平均株価は、1月から6月12日まで、一本調子の上昇局面を経過していましたが、6月12日の高値26000円が強い抵抗となって、7月23日の安値22401円まで、3599円幅の下げを経過しています。
10月14日の年間最高値26646円は、6月の高値を一時的に超えてつけたものに過ぎません。
1988年は、1月4日に年間の最安値21148円をつけて、その後、6月17日の高値28394円まで一本調子の上昇の動きを経過して、一気に7246円幅の上昇を経過しています。
6月に戻り高値をつけた後、10月下旬まで横ばいに推移して、年末へ向けた上昇の流れへ入っています。
バブルの最終段階へ向かう上げ場面でも、7000円幅の上げを経過した後、半年近く動かなくなったわけです。
1989年は、1月4日の年間最安値30162円から5月29日の高値34337円まで、5か月かけてジグザグに上昇、4175円幅の上げを経過した後、6月に調整入りし、6月29日の安値32642円から12月29日の高値38957円まで6315円幅の上昇を経過しています。その後、バブル崩壊となりました。
バブルの絶頂期である1987年ですら、だいたい5ヵ月で8000円幅の上げを経過すると、急反落がありました。そして、1年を通じて上昇を継続して、8000円幅の上げを経過した後は、大勢の上昇局面が終焉を迎えています。
2020年は、2月19日の高値28806円から3月19日の安値16358円まで、20営業日で7448円幅の下げ場面を経過しています。
その後、大規模な金融緩和と経済対策を実行して、株価が一気に値を戻す動きとなっています。
日経平均株価は、6月9日の高値23185円まで上昇した後、11月まで横ばいに推移して、再び上昇を開始しています。
大暴落の反動高と、大幅な量的緩和、政府支出の決定でも、株価は、だいたい3か月で6827円幅を上げることが精いっぱいだったわけです。
11月以降の上昇は、バイデン政権の誕生と、12月に決定した日73兆円規模の日本での追加の経済対策を好感した動きになります。
日経平均株価は、2021年10月30日の安値22948円から2022年2月16日の高値30714円まで、だいたい3か月で7766円幅の上昇局面となっています。
2月16日以降は、8月20日まで、7か月近く戻せば売られる展開を継続して、8月20日の安値26954円まで、3760円幅の下げ場面となっています。
20営業日で7448円幅の暴落からの反動高が追加されても、70兆円以上の規模の経済対策が決定されても、上昇できる値幅は、3か月で7000円幅程度だったわけです。
〇日経平均株価は上値の限界に位置している公算
前回、「1月から6月の期間で、月足陽線が4本以上ある年は、6月までに年間の最高値付近まで上げている」、「6月まで積極的な上昇の流れを作っている年は、たいていの場合、7月、8月が陰線引けして、下げ幅の大きな動きになっている」、「年間の最高値を7月以降につける場合でも、7月、8月は上値を抑えられて、応分の下げを経過する」という過去の経験則を紹介し、本年は、6月の高値が年間の最高値付近になる(7月、8月に価格が大きく下げる)可能性があると書きました。
図表02は、上段が日経平均株価日足、下段が以前にも紹介した乖離線(終値から25日移動平均線を引いたもの)です。
乖離線は、暴落からの反動高となった2020年6月でも、2000円を若干超えた地点で反転しています。2000年11月以降の上昇場面では、2000円へ到達していません。
2001年8月20日から9月14日まで、18営業日で3841円幅の急上昇場面でも、2000円を超えた地点で上値を抑えられる動きとなっています。
前週末は、7000円幅以上(年初から8000円幅以上)の上昇を経過し、乖離線の2000円を突破する動きが6月にあらわれている状況です。
チャートには、まだ反転の兆しがあらわれていませんが、過去の経験則を考慮すると、週明け後は、戻り高値を確認する作業へ入ると考えられます。
図表03は、日経平均株価日足と6月の想定できる展開になります。

