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【少額投資家のための売買戦略】2023年6月11日記

〇日経平均株価の年の前半が上昇した年の展開

図表01 日経平均株価の値動きのパターン

図表01は、左から順番に「1~6月の月足の陰陽(月足の陰線が●、陽線が〇)」、「1~6月までの月足陽線の本数」、「1~6月までの変動幅」、「1~6月までの変動幅の年間の変動幅に対する割合」、「年間の最高値をつけた月」、「7~8月の月足の陰陽」、「7~8月の変動幅」、「9~12月の陰陽」、「7~12月までの月足陽線の本数」を示しています。

本年は、1月から5月までの期間、上昇を継続して、5か月中、4回の月足が陽線引けしています。

図表の年は、本年と同様、1月~6月までの期間で価格が上昇して、月足が4回以上陽線引けしている年になります。

5月21日の記事では、「年間が陰線で引ける年の場合、6月までに年間の最高値をつける」、「年間が陽線で引ける年であっても、6月頃までの高値が年間の最高値付近になっている」と紹介しました。

図表01では、1996年の1月から6月までの変動幅が3123円となっています。3123円の変動幅は、全体に対して79.5%の割合です。年間の最高値を6月につけています。6月以降に高値を更新することはないので、全体の残りの変動幅は、7月以降に下げ方向で取りに行っていることがわかります。

6月までに年間の最高値付近まで上げているのですから、当然、7月、8月は、月足が陰線引けして、年末に向けて上昇するスペースを作る、または年の後半に年間の最安値を更新するか否かを確認する作業になっています。

1月から6月まで上昇している年は、たいていの場合、7月と8月の月足が陰線引けしていることがわかります。

1999年は、1月から6月までの変動幅が4835円となって、年間の変動幅の目安へ到達しています(5月21日の記事を参照)。4835円の変動幅は、全体に対して81.8%の割合です。年間の最高値は11月ですが、6月までに年間の変動幅の大部分を消費していることがわかります。

年間の最高値を7月以降につけている年で、全体の割合が80%以下の年は、2014年、2017年、2019年です。

2014年は金融緩和第二弾、2017年がトランプ減税、2019年が年末に米中貿易問題の第一段階の合意と、年末へ向けて価格が上昇する理由がありました。

また、これらの年は、年の前半が2000~3000円幅程度の振れ幅となっていて、(値位置で見れば)あまり動いていない展開となっています。2014年は1月に大きく下げていて、6月までの変動幅が下げ方向で消費しています。

そのような年であっても、7月、8月は、上値を抑えられて、下げの流れを作っています。

2014年、2017年、2019年の7月、8月の変動幅は、下げ方向で作られています。

〇本年6月は戻り高値をつける作業になる公算

図表01から推測できる展開をまとめると、以下の通りになります。

・1月から6月の期間で、月足陽線が4本以上ある年は、6月までに年間の最高値付近まで上げている

・6月まで積極的な上昇の流れを作っている年は、たいていの場合、7月、8月が陰線引けして、下げ幅の大きな動きになっている(1月から6月までの変動幅と7月から8月の変動幅を比較すると、6月までに上げた分の半分以上を押し戻されている年が多い)

・年間の最高値を7月以降につける場合でも、7月、8月は上値を抑えられて、応分の下げを経過する(そうなっていない年は1999年だけです)

本年は、2014年、2017年、2019年のように、年初に上値を抑えられている、年末へ向けて、期待できる材料があらわれるなどの状況ではありません。

年初から積極的な上昇を継続して、1月の安値25661円から6月9日の高値32708円まで、7047円幅の上げを経過しています。

昨年は、原油価格高騰が生活や経済活動に出る影響を最小化するための激変緩和措置として、全国平均ガソリン価格が一定価格以上になった場合、燃料油元売りに補助金の支給を開始しました。この補助金は、本年6月から段階的に縮小し、9月末で終了する方針を明らかにしています。

同じように、個人、法人の電気料金、ガス料金の値上げを緩和するため、本年1月から9月まで料金の一部に補助金が出てきます。この電気、ガス料金の補助金も、9月までで終了します。

今年後半は、個人、法人がエネルギー価格高騰のダメージを一気に引き受けることになります。

その状況で、今年後半は、防衛増税を検討、異次元の少子化対策費3.5兆円を社会保障費の増額で検討、インボイス制度の導入など、企業や国民の負担増が懸念されています。

1月以降、すでに7047円の上昇を経過してきただけに、本年が年足陰線で引ける展開にならないかもしれませんが、少なくとも、7月から8月の期間は、上げ分を大きく押し戻されて、7月、8月とも、月足が陰線引けする展開になると考えられます。

6月7日は、足型で「弱気の抱き線」をつけて、7日の高値32708円が強い抵抗になっていることを示唆しています。

5月28日の記事で紹介したNYダウの6月の推測できる値動きや、本年1~6月までの日経平均株価の上げ幅、6月という時期、今年後半の経済状況等を考慮すると、6月7日の高値32708円付近が強い抵抗になって、本年6月は、上値の重さを確認する作業へ入っていると考えられます。

前週末のNYダウが続伸したことで、週明け後の日経平均株価は、上放れて始まる公算です。今週は、7日の高値32708円を超える動きになることも考えられますが、そうなっても、戻り高値をつける作業という見方は変わりません。

週明け後、一段高の後、上値を抑えられる動きに注目したい場面です。

図表02は、日経平均株価日足と、6月の予想線です。

図表02 日経平均株価日足と6月の予想線

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