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【少額投資家のための売買戦略】2023年5月21日記

〇本年は日経平均株価の年間の変動幅の目安を達成した

図表01 日経平均の年間の変動幅

図表01は、日経平均株価の年間の変動幅になります。

バブル期の上昇、バブル崩壊時の下降、2008年、2020年の下げ場面では、年間の変動幅が6000円幅以上となっています。その他の年は、だいたい3000~5000円幅が年間の変動幅の目安となっていることがわかります。

本年の日経平均株価は、1月4日の安値25661円から5月19日の高値30924円まで、すでに5263円の上げ幅を経過しています。

5月19日までの上昇により、本年は、通常時の年間の変動幅の目安へ到達しています。

筆者は、本年の価格が上昇する場合でも、昨年3月以降のレンジ上限となる28000円程度を上値の限界だと見てきましたが、そうなりませんでした。

しかし、もちあいを継続し、レンジ上限で上値を抑えられて下降すると判断した理由が変わったわけではありません。本年のNYダウは、年の後半になれば、利上げによる景気減速が明確になり、下値を掘り下げる動きになる可能性があります。日経平均株価は、今年後半、来年度の増税が話題になり、上値を抑えることになると考えられます。

価格が上昇するなら、年の前半の上げやすい時期に絞られる可能性が高いのです。

昨年からのレンジ上限を超える展開となりましたが、特別な変動幅となって、本年がバブル後の最高値を更新し続ける上昇局面へ入ったと見るのは時期尚早だと考えられます。

〇日経平均株価は6月頃までに年間の最高値をつけやすい

図表02 日経平均が年間の最高値、最安値をつける時期

図表02は、左側が日経平均株価の年足が陰線だった年の最安値をつけた月、最高値をつけた月です。右側が日経平均株価の年足が陽線だった年の最安値をつけた月、最高値をつけた月です。

年足陰線だった年は、2018年と2021年を除けば、6月までに年間の最高値をつけていることがわかります。

2018年10月の高値24448円は、1月の高値24129円を319円幅だけ上回った地点です。

2021年9月の高値30795円は、2月の高値30714円を81円幅だけ上回った地点です。

どちらも、6月までにつける高値が意識される動きとなっています。

年足陽線の年でも、6月までに戻り高値をつけている年が目立ちます。それ以外は、だいたい10~12月頃に年間の最高値をつける動きとなっています。

2012年以降、11月、12月に年間の最高値をつけている年が多いのですが、これらの年にははっきりとした理由があります。

2012年は、12月にアベノミクスに対する期待値が高まり、急上昇して、年間の最高値を更新しました。2013年は、アベノミクス初年度の上げの流れを年末まで継続しました。2014年は、10月末に追加の金融緩和を実行しています。2016年は、米国大統領選挙でトランプ前大統領が当選したことで、NYダウ、日経平均とも11月以降に株価が急上昇しました。2017年は、トランプ前大統領の減税政策が可決されて、年の後半にNYダウ、日経平均とも上昇の流れを作りました。2019年は、米中貿易協議の第一段階が年末に合意へ向かう過程で、株価が上値を試す展開となりました。

2020年は、大規模な金融緩和と経済対策が実行されて、株価が大幅な上昇局面となりました。

日経平均株価は、年の後半から翌年へ向けて、株価を押し上げる理由がないと、年足が陽線引けする年であっても、上げやすい年の前半、6月頃までに年間の最高値をつけて、その後、上値を抑えられる傾向があります。

〇日経平均株価は天井型を形成する動きへ入る公算か

図表03は、日経平均株価日足と今後の値動きの目安になります。

本年の状況を考慮すると、現在は、本年の最高値付近に位置していて、今後、年の後半へ向けて下値を試す流れになると推測できます。

ただ、5月19日の高値30924円が戻り高値になるというサインがあらわれているわけではありません。

5000円幅以上の上げを経過したからといって、ピタリと上値を抑えられるわけではありません。

昨年3月以降に戻り高値をつけた後の下げ場面では、逆V字天井の格好となって、一気に上げた分を下げる展開となることが多くなっていました。その動きは、もちあいレンジ上限から下限へ向かう動きとしてあらわれたものになります。

今後、上値の重さを示す展開になるなら、それは、本年の価格がもうこれ以上へ上げられないことを示す作業になります。

そのため、これまでのように、戻り高値をつけた後、一気に上げた分を押し戻される展開とならず、はっきりとした天井型を作る動きになると考えらえます。

週明け後の価格が下げる場合、その下げは、戻り高値をつけた後の下げ場面ではなく、天井型を形成するきっかけになる動きである可能性を考えておきます。

図表03 日経平均株価日足と今後の値動きの目安

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