〇日経平均の12月方向は、年間の強弱に沿った動きになりやすい

図表01は、1980年から2021年までの日経平均株価の月ごとの動きを示しています。
上段が年足陽線の年に、それぞれの月が陽線引けした確率、中段は、年足陰線の年に、それぞれの月が陽線引けした確率です。
下段は、全体を通じた確率になります。
年間が陽線引けしている年は、1年を通じて月足が陽線引けしやすい展開になっています。
その中でも12月は、陽線引けする確率が82%と極端に高くなっています。
一方で、年間が陰線引けしている年は、1年を通じて月足が陰線引けしやすくなっています。
筆者がいつも下げやすい時期として紹介している5月から10月の時期で見ると、特に7月、8月の下げ傾向が強いことがわかります。
年間が陰線引けした年の12月は、年間が陽線引けした年と反対に、陽線引けした確率が28%となっていて、下げていることが多くなっています。

図表02は、1990年から2021年までの期間で、12月の月足が陰線引けしたとき、12月の最高値がいつつけたかを示しています。日付と営業日です。13回中6回は、1~2営業日目に12月の最高値をつけて、下降を開始しています。
この時の下げ方は、月初から月末まで、目立った反発なく下げる展開となっています。

図表03は、1980年から2021年までの期間で、年間の最高値、最安値をつけた日を示しています。
年足が陽線引けした年は、年間の最安値を4月頃までにつけて、年間の最高値を12月につけていることが多くなっています。
年足が陰線引けした年は、年間の最高値を6月頃までにつけて、8月から12月の期間で、年間の最安値をつけています。
1980年から2021年までの42年間で見れば、年足が陰線引けする場合、年間の最安値を1月から7月までの期間で付けた年はありません。
〇日経平均株価は27500円前後で下値堅く推移するかが焦点
日経平均株価は、28000円以上で強く上値を抑えられてきた流れを継続する格好で、11月24日の高値28502円が戻り高値となって、上値を抑えられています。
12月2日には、11月30日の安値27802円を割れて、上値、下値を切り下げるパターンを形成して、下降局面へ入ったことを示しています。
「年足が陽線になる年は、12月が陽線引けする傾向が強い」、「年足が陰線引けする場合、8月以降に年間の最安値をつける」という12月の値動きのパターンを考慮すると、今後、年末までの期間で考えられる展開は2通りです。
1つ目は、12月1日の高値28423円が12月の最高値となって、12月が年末まで一本調子の下げ場面となって、3月の安値24681円を割れる展開です。
2つ目は、目先の下げが一時的な動きで終わり、年末へ向けて上昇を開始して、大納会の値位置が1月4日の始値29098円以上まで上げて引ける展開です。
12月30日までは、20営業日あります。
弱気の展開は、今後、20営業日の期間、一本調子の下げ場面となって、3096円幅の下げを経過する動きになります。
とんでもない急落場面のように感じるかもしれませんが、本年は、すでに何度もあらわれています。
1月は、5日の高値29388円から27日の安値26044円まで、16営業日で3344円幅の下げ場面となっています。
2月から3月は、2月10日の高値27880円から3月9日の安値24681円まで、18営業日で3199円幅の下げ場面となっています。
6月は、6日の高値28389円から20日の安値25520円まで、8営業日で2869円幅の下げ場面となっています。
9月から10月は、9月13日の高値28659円から10月3日の安値25621円まで、13営業日で3038円幅の下げ場面となっています。
強気の展開は、20営業日の期間で、まず、下値堅さを確認し、その後、1500~2000円幅の上げを経過して、30日に29098円以上で引ける展開です。
こちらの方が実現可能のように見えますが、現在は、すでに弱気の流れを確認していることで、強気の展開を考えにくい状況です。
目先の価格が積極的に下げると、年末へ向けて、上げなければいけない値幅が大きくなって、上げられる日柄が短くなってゆきます。
本年は、27000円から27500円の範囲が強弱の分岐点となっています。ここを抜けるときは、勢いの強い流れを作り、一気に抜ける動きになります。
一方で、27000~27500円の範囲で、上げ、下げが積極的にならないと、押し目、戻り高値をつけて、反転するパターンになります。
12月2日に弱気の流れを確認して、下降を開始したばかりです。
弱気の展開になるなら、週明け後は、勢いの強い下げの流れを作り、短い期間で一気に27000円以下まで下げる動きになると考えられます。
一方で、週明け後、価格が下げても、27500円前後で下値堅さを示すなら、その後は、年末へ向けて、再上昇を開始する準備に入る可能性が出てきます。
目先は、27500円前後で下値堅さがあらわれるかに注目したい場面です。
図表04は、日経平均株価日足と、12月のシナリオです。
