〇2022年の日経平均は年足が陰線引けするという見方に変更はない
3月21日の記事では、「本年の年足が陰線引けする可能性がある」と紹介しました。
本年と同様に、1月から大きく下げた年は、「1990年、1992年、1995年、1997年、2001年、2002年、2003年、2008年、2009年、2010年、2014年、2016年、2018年、2020年」です。
これらの年の中で、年足が陽線引けしている年が1995年、2003年、2009年、2014年、2016年、2020年で、6回の陽線引けした年は、財政、金融政策等、必ず、株価を上昇へと導く環境の変化がありました。
1990年から2021年までの期間で見ると、日経平均株価の年足が陰線引けしている年は、2018年以外、すべての年で6月までにその年の最高値をつける展開となっています。
過去の経験則にしたがうなら、本年の年足が陰線引けする展開になる場合、本年は、1月5日の高値29388円が最高値になると考えられます。
8月5日は、7月22日以降のもみあいレンジを上抜いて、上昇の流れへ入っている可能性を示唆する動きとなっています(まだ、もちあいの範囲内の動きと見ることもできる状況です)。
8月5日の終値は、28175円なので、1月5日の高値29388円まで、あと1213円幅が残されているだけです。
年間の最高値は、目先、勢いの強い上昇の流れを継続すると、すぐに到達してしまう場所へ近づいています。
残り1000円幅を埋めるためには、前述した通り、多くの市場参加者に対して、明らかに投資環境が変化したことを示す何かが必要です。それは、ウィルスの問題が終息しそうだからとかいうあいまいまものではなく、市場へ流れる資金の量が必ず増えることがわかる変化です。
現時点では、そのような変化が見られません。
3月以降、28000円以上で上値を抑えられてきた動きは、多くの市場参加者を後押しする材料がなかったためであり、現時点でもその変化がないわけです。
7月から9月の期間は、積極的な買いが入りにくく、年足が陽線引けして、1年を通じて上げやすい動きとなっていても、積極的に高値を更新しにくい時期です。
ここから先の1000円幅は、最近の激しい値動きなら、1週間もかけずに達成できる値幅ですが、今年後半の強さをあらわす1000円幅であって、これまでの環境の変化がなければ到達することのできない値幅です。
本年は、すでに上げやすい3月、6月という時期に、28000円以上での上値の重さを示す展開となって、上値を抑えられてきました。それが、突然、上値の重くなりやすい8月という時期に、残り1000円幅を取りに行く展開にはならないと推測できます。
〇日経平均はまだ8月が月初から下げるパターンの範囲内の動き
前回、「1990年から2021年までの期間で、年足が陰線引けした年は、ほとんどの年で、8月は、月初から一本調子の下げの流れを経過している」という値動きのパターンを紹介しました。
8月の最高値をつけた日は、「1990年、1日(1営業日目)」「1991年、5日(3営業日目)」「1992年、28日(20営業日目)」「1996年、23日(17営業日目)」「1997年、1日(1営業日目)」「1998年、3日(1営業日目)」「2000年、29日(21営業日目)」「2001年、2日(2営業日目)」「2002年、26日(18営業日目)」「2007年、9日(7営業日目)」「2008年、11日(7営業日目)」「2010年、3日(2営業日目)」「2011年、1日(1営業日目)」「2018年、30日(22営業日目)」となっています。
前回書いた通り、7月に下げの流れを作っているような状況がなければ、たいていの場合、8月は月初から下げの流れを作り、陰線引けする展開となっています。
ただ、月初からといっても、1営業日目から必ず下げているというわけではありません。
1991年、2007年、2008年のように、3営業日目、7営業日目以降に下降を開始するケースも見られます。これらの年は、月初から小幅なもみあいを経過する過程で、一時的に高値を更新しているだけです。
本年の8月5日(5営業日目)は、7月下旬からのもちあいの動きを抜けて、一段高となっていますが、まだ一時的にもちあいを抜けただけです。
週明け後の価格が続伸すると、上昇の流れの継続を示しますが、まだ上値の重さを確認する作業の途中である可能性を残しています。
本年の年足が陰線引けする展開となるなら、週明け後は、価格が下降を開始するはずです。
