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【少額投資家のための売買戦略】2022年3月20日記

【日経平均株価は3月末までに28000円を目指す公算】

〇 日経平均株価の本年の見通しを変更する必要が出てきた

16日の米連邦公開市場委員会の定例会合の後の声明は、「3月に0.25%の利上げを実施して、本年中にあと6回の利上げを予定している。5月の定例会合で、約1052兆円に膨らんだバランスシートを縮小してゆく準備が整っている」というものでした。

金融政策を発表した後、NYダウは、3営業日連続の上昇場面となって、3月3日の高値34179ドルを突破し、2月24日の安値32272ドルが当面の押し目底になる可能性を示しました。

1990年以降のチャートを見ると、政策金利を引き上げた場合でも、NYダウは、必ずしも年間の値動きが弱気の展開になっていません。ただ、利上げして、量的引き締めへ向かう場合、NYダウは、年初から年末までジグザグに横ばいに推移するか、弱気の展開になっています。

昨年12月19日の記事では、「米国が利上げを開始した年は、NYダウが上値重くなっても、投機的な資金が米国から離れてゆくことで、日経平均株価が上昇しやすくなっている」という値動きのパターンを紹介しました。

昨年12月の時点では、2022年の日経平均株価が上昇する展開を想定していました。この時点では、本年のNYダウが横ばい、やや強気の可能性もあると見ていました。

しかし、今回のFOMCの内容と、1月以降の下げ幅の大きさ、下げ期間を考慮すると、NYダウ、日経平均株価とも、これまでの見方を変更する必要が出てきました。

〇 本年の日経平均株価は年足が陰線引けする展開になる公算も

3月6日の記事では、「1990年から2021年までの期間で、1月から大きく下げて、2月以降に押し目をつけた年の値動き」を紹介しました。

本年と同様に、1月から大きく下げた年は、「1990年、1992年、1995年、1997年、2001年、2002年、2003年、2008年、2009年、2010年、2014年、2016年、2018年、2020年」が挙げられます。

これらの年の中で、年足が陽線引けしている年は、1995年、2003年、2009年、2014年、2016年、2020年です。

1995年は、1994年末からのメキシコ通貨危機による急激なドル安、円高の動きによって、日経平均株価が年初から大きく下げています。米国は、1995 年5月末に円・マルクで為替介入を実施しています。7月には、日米金融緩和策が発表され、それと同時に協調介入が行われました。ドル・円は、95年4月に反転を開始して、日経平均株価が7月の安値が最安値となって、7月以降に上昇を開始しています。

2003年、2009年は、前年までの株価急落の環境を継続する格好で、年初より、下値を掘り下げる動きとなっていましたが、株価下落に歯止めをかける対策が実施されて、どちらも、3月の安値が年間の最安値となって上昇を開始しています。

2014年は、4月の消費税引き上げの影響から、日経平均株価が年初から上値重く推移していましたが、10月にGPIFが株式市場での保有比率を拡大することや、日銀が追加の量的緩和を発表したことで、一気に上昇へと転じています。

2016年は、10月まで戻せば売られる展開を継続していましたが、11月の大統領選挙でトランプ前大統領が勝利し、NYダウが大幅な上昇局面へ入り、日経平均株価も上昇を開始しました。

2020年も、2003年、2009年と同様、株価の下落、景気減速に歯止めをかける財政、金融政策が実施されて、3月の安値が年間の最安値となって、3月以降に上昇を開始しています。

日経平均株価が1月以降に大きく下落した後で反転上昇を開始して、年足が陽線引けする場合、その年には、必ず、株価を上昇へと導く環境の変化がありました。

本年は、ウィルスの問題が終息して、供給力不足による世界的な物価高が後押しする格好で、積みあがってきた貯蓄が消費に回ることによる環境の変化があらわれる、あるいは、以前に書いた通り、米国の利上げによる投機の離散が日本市場の価値を高めるなどのことが、日経平均株価の本年の上昇を後押しする可能性があると推測していました。

しかし、本年のNYダウがこれまでの想定よりも上値重い可能性があると考えられることや、日本の現状(政策等の意見はここでは省略します)を考慮すると、現時点では、4月以降、過去にあらわれた劇的な環境の変化を期待できません。

そのため、今後は、本年の年足が陰線引けする年になるという見方を重視してゆきます。

なお、重視するという意味は、弱気が確定したということではなく、弱気を中心とした予想の仕方に変更するということです。

これまでは、年間が強気パターンになる場合のシナリオを基準にして、イレギュラーを修正してゆく過程で、強弱の分岐点を探っていましたが、基準にするシナリオを弱気パターンに変更するという意味です。

〇 日経平均株価は今週から来週にかけて754円幅の調整を警戒

本年が弱気パターンの年になるとしても、現在の上げがすぐに反転下降するわけではありません。

日経平均株価は、当面、上値を試す流れを継続する可能性があります。

今回、あえて、弱気の見方を書いた理由は、現在の上昇の上値余地を下げておいた方が無難だと判断したためです。

日経平均株価は、3月9日以降、急激な上昇場面へ入っています。

以前、「日経平均株価が急上昇する場面では、17営業日前後で3000円幅前後の上げ場面になっている」という値動きのパターンを紹介しました。

3月9日以降の上げは、そのパターンの動きへ入っている可能性があります。

だとすれば、3月末頃までの期間で、2月10日の高値27880円前後か、それ以上へ上昇する動きになると考えられます。

急上昇の後は、日柄の長いもちあいの動きか、または値幅の伴った調整場面へ入ると考えられます。

しばし上昇を継続すると考えられますが、27500円以上の水準では、注意が必要です。

図表01は、日経平均株価日足と、3月末頃までの予想線です。

3月末頃まで上昇を継続する公算ですが、目標値へ到達するまでには、3月10日の高値25720円から3月11日の安値24966円までと同程度の値幅(754円幅)の調整があらわれる可能性があります。

図表01 日経平均株価日足と目先の予想線

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