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【少額投資家のための売買戦略】2021年12月19日記

【来年の日経平均はNYダウが上値重くても上昇する公算か】

〇 米国の利上げから、来年のNYダウは上値が重くなる公算も

15日のFOMCでは、「資産購入の減額ペースをはやめて、来年3月に終了する」「2022年は、資産購入を終了した後、年3回の利上をする予定」「2023年に3回、2024年に2回の利上げをする予定」という今後の計画を決定しました。

前回、21年の日経平均株価が上昇途中の中段もちあいの動きとなって、22年の前半に大幅上昇を開始する可能性があると書きました。

来年、FRBが量的緩和を終了して、利上げを開始するとなれば、来年のNYダウは、上値重く推移する可能性を考えておく必要が出てきます。

NYダウが上値重い状況で、日経が積極的な上昇の流れを作ることができるのか、疑問に思う方がいると思います。

そこで、今回は、米国が利上げしたとき、日経平均株価がどのような動きになっているかを確認してゆきます。

〇 米国が利上げした年のNYダウと日経平均株価の値動き

図表01 米国政策金利の推移
図表02 94年のNYダウと日経平均株価の終値折れ線グラフと「ダウ-日経」
図表03 99年のNYダウと日経平均株価の終値折れ線グラフと「ダウ-日経」
図表04 04-15年のNYダウと日経平均株価の終値折れ線グラフと「ダウ-日経」
図表05 14-15年のNYダウと日経平均株価の終値折れ線グラフと「ダウ-日経」

図表01は、91年以降の米国の政策金利の推移を示しています。

図中の日付が利上げを開始した時期になります。

91年~20年の期間では、94年2月以降、99年6月以降、04年6月以降、15年12月以降の4回、利上げを実施しています。

図表02~05は、上段が利上げを開始した年、またはその前後のNYダウ、日経平均株価の終値の折れ線グラフです。

価格軸が重なって、わかりにくいと思いますが、おおまかな動き方だけを見てもらいたいので、値位置はあまり気にしないで下さい。

下段が、「NYダウ-日経平均」の差の推移を示したグラフです。

青の実線のNYダウの値動きを見てゆくと、94年、04年~05年、15年は、1年間が一定のレンジ内で横ばいに推移していることがわかります。

99年、14年は、1年を通じて上昇の流れを作っています。

一般的には、利上げを開始すると、株価に大きな影響があるといわれています。しかし、実際の値動きを見ると、利上げ開始前後の初期段階は、上値が重くなることがあっても、利上げをきっかけにして、すぐにNYダウが1年を通じた下降局面へ入っているわけではありません。

図表02~05を見ると、日経平均は、NYダウ以上に堅調に推移しています。

94年は、後半に上値重くなっていますが、前半がはっきりとした上昇の流れになっています。

99年は、1年を通じて上昇の流れを作っています。

04年は横ばいですが、05年は、1年を通じて上昇し、大幅高となっています。

14年から15年にかけては、14年4月頃からの上昇の流れを15年6月頃まで継続する格好となっています。

図表02~05の下段の「NYダウ-日経平均」の終値の差のグラフは、数値マイナスか、プラスにかかわらず、下降しているとき、NYダウよりも日経の方が強く推移しているということを示しています。

折れ線グラフの下降は、NYダウが下げて、日経も下げていても、日経の下げ幅の方が小さくなっている状況を示しています。

米国が利上げを実施する前後の94年、99年、04年、15年は、下段の差のグラフが下降しています。

前述した通り、94年は、NYダウがジグザグに横ばいに推移する中、日経が前半にはっきりとした上昇の流れを作って、マイナス方向に差が拡大(折れ線グラフが下降)しています。

99年は、NYダウ、日経平均とも、上昇の流れを作る過程で、差のグラフが下降して、日経平均の上げ幅の方が大きくなっている状況を示しています。

04年から05年の差のグラフは、04年が緩やかにマイナス方向へ下がり、05年がはっきりとした下降の流れになっています。

14年から15年は、日経が上昇する過程で、差のグラフがはっきりとした下降の流れを作っています。

以上の展開を考慮すると、米国が利上げを開始する場面では、投機資金が離散し、NYダウが上値重くなることがありますが、そうなっても、日経平均への影響は低く、むしろ、離散した投機資金が日本に流入し、日経平均株価の下値を支える格好になっている可能性があると推測できます。

22年、米国は、量的緩和を終了して、利上げを開始することになります。

財政面での材料が出尽くしている現状では、利上げ開始が上値を抑えて、22年のNYダウは、積極的な上昇の流れを作れず、横ばいに推移すると考えられます。

日本は、量的緩和を継続して、追加の経済対策が実行されるのですから、少なくとも22年前半までは、「NYダウ-日経平均」の差のグラフが下降する展開になると考えられます。

〇 前週末の夜間取引の動きが前兆になる可能性がある

前週末のNYダウは、前日比532ドル安となっていますが、225先物期近の夜間取引の終値が日中の終値との比較で70円幅しか下げていません。

225先物期近は、23時頃に安値をつけた後、NYダウが下降する過程で、堅調に推移しています。

前週末の日経平均株価は、大幅安となりましたが、17日の安値付近が押し目になるなら、12月9日から17日までが、上値、下値を切り上げる調整の動きである可能性を残します。

上値、下値を切り上げる調整は、その後の勢いの強い上昇を示唆する動きです。

週明け後、28503円付近が押し目になって、上昇を開始するなら、12月3日以降の上昇の流れを継続する格好で、20日以降、勢いの強い上げ局面へ入ることも考えられます。

強気の展開になるなら、その上げは、これまで近い値動き(どちらかといえばNYダウの方が強い動き)だったNYダウから別れ、日経平均が独自に強い動きへ入ってゆくきっかけになる可能性があります。

なお、週明け後の日経平均が上昇できないなら、前週末の夜間の下値堅さが日中に下げるための準備の動きとなるので、週明け後の日経平均は、大きく下げる動きになると考えられます。その場合、目先は下値を試す動きを継続する可能性が大きくなります。

図表06 日経平均株価日足

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