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【少額投資家のための売買戦略】2021年12月5日記

【日経平均株価は週明け後に上昇開始か】

〇 日経平均株価の12月は、10月までの安値を大きく下回る動きにならない

日経平均株価は、9月から翌年1月までの安値を2月、3月に割れる場合、その年の深刻な景気悪化を示すサインとなって、たいていの場合、年明け後の通常国会で、翌年度の予算とともに、大規模な経済対策を決定するか、遅くても年内に補正予算で経済対策が実行されます。

株価と経済対策の過去のパターンについては、筆者が2018年に出した「勝ち続ける投資家になるための株価予測の技術」で紹介しています。

今回、この話題を出した理由は、「年末から年明けにかけて、前年の安値を掘り下げる動きになりにくい」という日経平均株価の傾向を強調したかったからです。

日経平均株価は、年初から4月、6月頃までの期間、積極的な取引が行われて、株価が上昇しやすくなっています。多くの市場参加者は、例年の資金の流れを理解しているので、4月、6月頃へ向けた上昇が始まる前に押し目を拾ってゆきます。

日経平均株価の1年間の値動きは、おおざっぱに言えば、「年間が弱気に推移する場合、4月、6月頃までに年間の最高値をつけて、10月頃までの時期に、その年の下値の限界まで下降して、上昇を開始する」「年間が強気に推移する場合、6月頃までの時期に年の前半の最高値を確認して、10月頃までいったん上値重く推移した後、年末へ向けた上昇の流れへ入り、年の前半の高値を目指すか、年の前半の高値を大きく超える展開になる」というパターンとなっています。

11月、12月は、10月までに押し目をつけて上昇を開始するか、下値堅さを確認する作業を経過する時期になります。

そのため、11月、12月は、弱気パターンの年となって、年間の最安値を更新する動きになる場合でも、10月までの安値(10月の下げが11月まで続く場合、11月の安値)を大きく下回る展開になっていません。

〇 日経平均が12月に大幅安となるときは理由がある

「12月に年間の最安値を大きく下回らない」と書きましたが、そうなっていない年もあります。

1985年から2020年までの期間では、1996年、2000年、2007年、2015年、2018年が12月に積極的な下げの流れを作り、年間の最安値を大きく更新する動きになっています。

これらの年は、2018年以外、翌年が年初から積極的な下げ場面へ入っています。

2018年は、FRBが、大幅安のきっかけとなった金融引き締め継続の判断をすぐに変更して、年明け後、値を戻す動きとなっています。

1996年は、12月下旬に、翌年4月の消費税引き上げ(3%から5%へ)や、特別減税の打ち切りなどが明確になりました。96年後半にかけて、景気が回復基調へ入ってきたところに、株価の頭を抑える政策が決まり、日経平均が大幅安となりました。

2000年は、ITバブル崩壊により、日経平均が2000年4月に天井をつけて、大幅な下げ局面へ入りました。

景気が後退する中でも歳出削減が続き、くすぶっていた不良債権問題(銀行以外に、信用金庫や信用組合等を含んだ「預金取扱金融機関」合計のリスク管理債権が2001年3月期で43.4兆円)にも注目が集まり、日経平均の下降局面は、その後、2003年3月まで続くことになります。

2007年から2008年にかけて、NYダウは、リーマンショックを引き起こすサブプライムローン問題によって、上値を抑えられます。

国内では、日銀が2006年に0金利政策を解除し、短期金利誘導目標を0%から0.25%へ引き上げ、その後、2007年2月に0.25%から0.5%への引き上げを決めています。日経平均株価は、2007年2月の高値が天井となって、7月以降、積極的な下げの流れへ入りました。

2015年は、FRBが政策金利の誘導目標を0.25~0.50%へ引き上げ、2006年6月以来、9年半ぶりの利上げを決めたことで、NYダウが年末から年初へかけて、積極的な下げ局面へ入っています。

日経平均株価も、(人民元安による円高が後押しして)12月から2月まで大幅安となっています。

〇 日経平均は、週明け後、上昇を開始する公算か

本年は、FRBが11月から量的緩和の縮小を開始して、来年の早い時期に終了することを決めています。株価の流れの転換のきっかけになる利上げは、早くても、量的緩和政策が終了した後になるといわれています。

日本では、12月6日から始まる予定の臨時国会で、補正予算として過去最大の歳出額となる補正予算案が提出されます。

前述した状況との違いを考慮すると、本年の日経平均株価の12月は、1996年、2000年、2007年、2015年、2018年のような展開を考えにくいと言えます。

日経平均株価の(価格が10000円以上の場合の)年間の変動幅の目安は、4000~6000円幅です。

本年の変動幅は、まだ3841円幅です。

例年と同程度の値幅の変化があると見るなら、12月中に上下へ1000円幅程度の動きがあらわれる可能性があります。

今後の価格が8月20日の安値26954円を割れる展開になる場合、チャートでは、9月14日の高値30795円を中心としたヘッド・アンド・ショルダーズ・トップを完成します。

まだ1000円幅程度下げられる余地があり、下値堅く推移しやすい11月、12月に価格が大きく下げて、天井型を完成するのですから、日経平均は、26954円を割れた後、すぐに下値を支えられる展開を考えにくいと言えます。

繰り返しになりますが、本年は、「12月に積極的な下げの流れを作り、年間の最安値を大きく更新する展開になりにくい」と前述しました。

過去の経験則を考慮するなら、本年12月の日経平均は、週明け後、10月6日の安値27293円が意識される格好で下値を支えられて、12月中に30795円の突破を目指す動きになると考えられます(図表01を参照)。

図表01 日経平均株価日足

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