無料メルマガ2020年10月5日記

2020年10月5日記

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1. NYダウは年内の大幅安があるとするなら11月3日のバイデン勝利だけ
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■■ NYダウが年末へ向けて大幅高になるための3つの条件とは ■■
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NYダウは、年末へ向けて、価格が上昇する傾向があります。
この上昇が、年間の最高値を更新する格好で、大幅な上げの流れを作る場合、
次の3つの条件を満たす展開になると考えられます。
それは、
(1)9~11月の安値が年間の最安値にならない、
(2)10月3日頃、あるいは10月の最初の週までに年末までの最安値をつけている、
(3)10月中に年間の最高値付近に位置する動きがあらわれる
という展開です(詳細は、有料メルマガを参照して下さい)。

3つの条件を考慮するなら、
本年のNYダウが年末へ向けて2月の高値29568ドルを大きく超える動きになるには、
9月24日の安値26537ドルが年末まで割れることのない押し目となり、
10月末までの期間で、
29568ドルへ接近する動きがあらわれていると考えられます。

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■■ バイデン氏が当選ならNYダウが11月に急落する公算も ■■
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9月30日は、10時から大統領選挙のテレビ討論会がありました。
この討論の終了後、バイデン氏が優位だったことをほのめかす報道が出ると、
ダウ先物は、一気に500ドル幅を超える下げ場面となりました。
先週末、トランプ大統領が新型ウィルスに感染したというニュースの後も、
ダウ先物は500ドル幅を超える下げを経過しています。

以前にも書きましたが、個別の株価の場合、
業績や景気に影響されて、上昇、下降の動きを繰り返していますが、
市場全体の方向は、市場へ入る資金量の増減によって決まります。
現在は、積極的な財政支出、無制限の金融緩和を実施している中で、
市場へ向かう資金が増えて、全体の流れが上向きに推移しやすい状況です。
この状況は、誰が選挙で勝とうとも変わりません。
むしろ、トランプ大統領側が1兆6000億ドル、
民主党側が2兆2000億ドルの規模で追加の経済対策を提案しているので、
金額の大きさからすれば、
バイデン氏が当選する方が市場への資金流入額が大きくなり、
上がりやすいのではと考えたくなるところです。

しかし、テレビ討論後、または前週末の反応は、
バイデン氏が大統領に選出される場合、
多くの市場参加者がNYダウの上値が限られると考えていることを示唆しています。

来年に向けて、NYダウは上昇しやすい状況にありますが、
トランプ大統領が再選する場合、
その上昇が積極的に新高値を更新して、
上値の限界を取りに行く動きになると考えられます。
バイデン氏が当選する場合、
NYダウは、来年に向けて、
下げるために上昇する動きになる可能性があると推測できます。

価格は、上げやすい時期に上げ幅を拡大して、
下げやすい時期に下げ幅を拡大する動きを繰り返しています。
長く上昇の流れができる場合、
上げやすい時期に価格が上昇した後、
下げやすい時期に上昇分のすべてを押し戻される動きとならず、
次の上げやすい時期に上げ幅を拡大して、以前の高値を超える動きになります。

NYダウが来年へ向けて上昇を開始するとしても、
2月の高値29568ドル以上の上値余地が限られるなら、
30000ドルを上値目標値として、十分に利益を得られる程度まで、
いったん価格が下げる可能性が出てきます。

バイデン氏が当選する場合、
10月末までに29568ドルへ接近する動きになっていたとしても、
11月へ入り、
いったん大幅な下げを経過する可能性を考えておく必要が出てきます。

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■■ バイデン氏の政策は市場から資金を奪う ■■
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バイデン氏は、
(1)国内産業基盤の強化
(2)長期的に強靭(きょうじん)な経済の実現
(3)働く親への支援強化
(4)労働者層と中小企業への支援強化
(5)人種間の平等をもたらす包括的な方策
という5つの課題を取り上げています。

国内産業基盤を強化するための手段としては、
「4000億ドル分の米国製品・原材料の連邦政府調達」
「電池技術や人工知能、バイオ技術、クリーンエネルギーなど、
新興産業の研究・開発に3,000億ドルを投資」
「4年間で2兆ドルの脱炭素社会実現のための投資、数百万人の雇用を創出」
「2035年までに二酸化炭素の排出をゼロにする」
「5年間で5億枚の太陽光パネルを設置」
などを提案しています。
脱炭素社会は、エネルギー調達コストを上昇させて、
結果として、国内の産業が海外へ逃げてゆくことにつながります。
二酸化炭素の排出削減は、国内の生産力を低下させることで実現します。
その他には、製造業支援に7000億ドルを投じ、
500万人の雇用を生み出すとしていますが、
その財源として、
巨大IT企業や富裕層へ、
10年で3兆ドル超の増税を実施するとも言っています。

政府が積極的にお金を使って、一時的に投資を増やしたとしても、
結果として、多くの企業が米国から離れてゆく可能性があります。

これらの公約以外にも、
市場全体の上値を抑える可能性があると推測したくなるポイントあります。
それは、
バイデン氏の側近であるテッド・カウフマン氏が
金融規制の強化を推奨していることです。

オバマ前大統領は、大規模な金融緩和と財政出動によって、
リーマンショック後、2009年から2015年までのほぼ7年で、
11882ドル幅の株価の上昇を作りました。
トランプ大統領は、2016年から2017年の約2年間で、
11166ドル幅の上昇を作っています。
短期間で大幅に上昇した理由は、
オバマ前大統領時代に景気を回復させたおかげと見る方もいますが、
トランプ大統領が積極的に金融規制を緩和したことも、
株価を押し上げる要因になっていると考えられます。

オバマ前大統領は、2010年、再びリーマンショックを起こさないため、
ドッド=フランク・ウォール街改革および消費者保護法を制定しました。
これは、巨大な金融機関の監視の強化、銀行等の規模と範囲を制限するものです。
ドット=フランク法は、
テッド・カウフマン、シェロッドブラウン上院議員によって、
銀行の非預金負債を国内総生産の2%に制限して、
銀行の成長余力を縮小するように改正されています。

トランプ大統領は、2018年にドッド=フランク法緩和法案を可決させ、
規制当局の監督対象となる金融機関の資産基準を
500億米ドルから2,500億米ドルに引き上げました。
また、資産が100億米ドル未満の金融機関については、
自己勘定トレーディングを禁止した「ボルカー・ルール」の適用を除外し、
自己勘定トレーディングを解禁しています。

バイデン氏が当選する場合、
緩和した金融規制を再び強化することが考えられます。
本年は、これだけ政府がお金を出して、
銀行に対しても、企業への積極的な融資を促しています。
今後、金融規制が強化される場合、
FRBが金融引き締め政策へ転換するとき以上に、
市場から資金を吸い上げる結果になる可能性があります。

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