【2020年10月11日記】225先物期近のチャートで見る上昇と横ばいの違い

----- 225先物期近のチャートで見る上昇と横ばいの違い

〇 2020年3月以降の7860円幅の上昇局面の上げ期間は20営業日だけ

図表01 225先物期近日足2020年の上昇期間

図表01は、225先物期近日足のチャートです。

3月17日に押し目をつけた後、上昇を開始しています。

価格は、3月17日の安値15860円から10月9日の高値23720円まで、7860円幅もの上げ局面となっています。

ちなみに、1991年から2019年までの期間で、年間の変動幅が7000円幅を超えた年は、1992年、2000年、2008年の3回だけです。3月以降の上昇局面がどれだけ大きいのかがわかります。

さて、本年3月以降は、だいたい30年間で3回しかあらわれたことのない大幅な上昇局面なのですが、チャートをよく見ると、上げ幅を拡大している期間が20営業日しかありません。

すでに半年以上、100営業日以上を経過しているにもかかわらず、その中で上昇している期間は、押し目をつけた後の3営業日と、5月から6月上旬までの17営業日だけです。その他は、もみあいの動きを経過して、結果として、以前の高値(3月25日の高値、6月8日の高値)付近か、そこ以下へ値を押し戻されるもちあいの動きとなっています。

このような上げ方は、本年だけの特別な値動きではなく、おおまかにチャートを見ると、毎年、上昇、下降の流れを作っている期間が短く、ほとんどの期間で、一定のレンジ内でジグザグに推移しているだけになっています。

予想をするだけなら、「3月以降、上昇の流れへ入り、2月の高値を目指す」と言っておけば、当たっていると言われるところです。

しかし、相場で利益を求めるなら、上昇の流れへ入っているか、もちあいを継続中か否かを見極めないと、3月以降、上昇局面を想定していても、何度も損切りを繰り返すことになってしまいます。

そこで、今回は、上昇場面とそうでない動きとを区別するため、上昇時の値動きの特徴を紹介します。

〇 上昇へ入っている場面であらわれている値動きとは

図表02~06は、図表01と同じ、225先物期近日足のチャートです。

図表02が2016年、図表03が2017年、図表04が2018年、図表05が2019年、図表06が2020年の上昇場面です。

これらの年の上昇時は、「前日の安値を下抜かずに上昇を継続する」という動き方になっています。

図中の青線の先の数字は、その日の安値です。

図表02 225先物期近日足2016年

図表02の2016年10月の上げ場面を順番に見てゆくと、押し目をつけた後の上昇時には、少しずつですが、安値が切り上がっていることがわかります。

数字を入れている最後の日に、安値が切り下がりました。

その後、上昇を継続しましたが、すぐに上値を抑えられる動きとなっています。

11月以降の上昇場面では、上がり始めに前日の安値を下回る動きになりましたが、その後、上昇の流れへ入ると、調整入りまで、前日の安値を維持する動きとなっています。

余談ですが、調整入り後は、調整入り前の陽線の安値を維持する格好になっています。

図表03 225先物期近日足2017年

図表03は、2017年の上昇場面です。

9月に押し目をつけた後は、3営業日連続で、前日の安値を維持する動きとなっています。

その後、安値が19640円、19650円、19630となって、下値を切り下げる動きを経過しています。

価格は上昇を継続しますが、すぐに上値を抑えられて、もちあい入りしています。

もちあいを抜けた後は、長く上昇を継続しますが、その間、前日の安値を維持する動きを継続しています。

図中に数字を入れた最後の日は、下ヒゲの長い線をつけて、安値を切り下げています。

その後も上昇を継続していますが、すぐにジグザグの動きとなって、上げにくい展開となっています。

図表4 225先物期近日足2018年

図表04は、2018年3月以降の上昇場面です。

このときは、1~3営業日程度、値幅の大きな動きとなって上昇の流れを作り、その後、調整前の陽線の範囲内でのもみ合いの動きを経過するという動きを繰り返しています。

値幅の大きな陽線が現れる上昇の動きの場合、連続して上げず、一気に上げて、もちあい入りという展開になっています。

図表05 225先物期近日足2019年

図表05は、2019年の上昇場面です。

8月末に押し目をつけた後、9月に価格が上昇を開始した後は、前日の安値を維持する動きを継続しています。

9連続陽線をつけた9営業日目に前日の安値を下回る動きとなり、その後は、調整入りしています。

10月の上昇場面では、上げはじめに前日の安値を下回る動きがありますが、はっきりとした上昇を開始した後、前日の安値を維持する上げの流れを継続しています。

前日の安値を下回る動きを経過した後、一段高となった後、調整局面へ入っています。

図表06 225先物期近日足2020年

図表06は、2020年の上昇場面です。

5月末の上昇場面では、陰線をつけた日の翌日に前日の安値を割れる動きとなっていますが、その日以外、上昇期間は前日の安値を維持する展開となっています。

前日の安値を割れた後、価格が値幅の大きな下げの動きへ入っています。

〇 上昇の流れを作るときの値動きの「まとめ」

図表02~06で紹介した通り、上昇の流れを作る場面では、はっきりとした値動きのパターンがあらわれています。

その動き方は単純で、前日の安値を下回らないということです。

前日の安値を下回る動きは、上昇の初期段階か、または調整入り前にあらわれます。調整入りする場合、(前日の安値を下回る動きを経過した後)すぐに調整入りするか、一段高を経過した後、調整の動きへ入るかのどちらかになります。上昇の勢いが強い場合、上げの流れを継続するが、ジグザグに上げる格好になって、調整の代わりとなる動きになる場合もあります。

その他、一本調子の上昇の流れにならない場合、「1~3営業日で一気に上げて、数日間のもちあい」という動きを繰り返す上げパターンもあります。

年末へ向けて上昇期間が長くなりやすい時期には、連続して安値を切り上げる上昇パターンを作りやすいと推測できます。

〇 225先物期近は前日の安値を維持する動きへ入るかが焦点

図表07 225先物期近日足と目先の展開

図表07は、最近の225先物期近日足です。

現在が上昇の流れへ入っているなら、今後は、前日の安値を下回らない動きになると考えられます。

図中の最後の陰線は、10月9日の夜間取引の動きです。

12日中に価格が上昇して、陽線引けするなら、図中の安値23540円が押し目になって(日中に安値を更新してから引けにかけて上昇するなら、その安値が押し目になって)、その後は、前日の安値を下回らない格好で上げの流れを作る可能性が出てきます。

そうならなければ、ジグザグの動きを継続中の可能性が出てきます。


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