【日経平均株価は5月28日の高値29194円付近が強い抵抗になる公算】
〇 本年のNYダウは年末へ向けて上昇する可能性が大きい
5月23日の記事では、「本年の日経平均株価が25000円を目指す」と書きました。
そのシナリオに変更ありませんが、今回は、まったく反対の見方になる可能性のある経験則を紹介します。
それは、「年初からはっきりとした上昇の流れを5月頃まで継続する展開になっている場合、NYダウがほとんどの年で年末へ向けて上昇している」というものです。
このことは、今後の日経平均がどうなるという予想のために紹介するのではなく、以下で紹介する展開を頭に入れておくと、本年の日経平均の押し目の値位置や時期、年末へ向けて上昇する可能性がある条件等が見えてくるという意味で書いています。

図表01は、1990年から2021年までの期間で、年明け後、1月、2月に押し目をつけて、5月頃までの期間で、はっきりとした上昇の流れ(3月以降に年明け後の安値に接近することなく上昇し)を作っている年の展開を示しています。
図表01は、順番に、「年明け後、すぐに上昇の流れへ入った年」、「年初に安値をつけた日付」、「その年の6月の値動き」、「その年全体の方向」を示しています。
表の全体の方向が上向きの矢印の年は、年初から年末まで、全体として上昇の流れを作っていたことを示しています。
年末へ向けて下げている年は、1990年だけです。
1990年は、7月17日に戻り高値をつけた後、10月11日まで、年初の安値を大きく下回る下降局面へ入っています。
その他の年は、5~9月の期間で上値を抑えられる動きがあらわれていますが、9月頃から年末へ向けて上昇の流れを作り、年間の最高値を超える動きとなっています。
過去の経験則に従うなら、本年は、年末へ向けて上昇の流れを作る可能性があると推測できます。
NYダウが年末へ向けて上昇を開始すると考えるなら、日経は、25000円まで下げないのではないかと考えたくなりますが、そうでもありません。
「NYダウが上値の重くなりやすい5~9月の期間中に大きく下げる展開になる場合」、または「年の後半にはっきりとした円高の流れができる場合」、日経が25000円まで下げる可能性が出てきます(バブル崩壊後の不良債権問題による景気後退など、日本だけの理由で下げている場合は、本年と異なるケースと判断しています)。
1991年は、6月から年末までの期間で、一本調子の円高局面となったことも影響して、NYダウがこの時期に横ばいから上昇の流れを作る中、日経平均が年末へ向けて下げの流れを作っています。
1998年は、NYダウが7月20日から9月1日の期間で、一気に年初の安値を下回る急落場面を経過しています。日経平均も、9月までの期間で、一気に下降して、年初の安値を割れる展開となっています。1998年は、8月から12月まで、急速に円高が進んだことも、年末へ向けた日経平均の上値を抑えました。
本年の日経平均が25000円以下を目指す動きになる場合、NYダウが上値の抑えられやすい9月頃までの期間で、大幅な下げ場面へ入るか、ドル・円に一定の流れができやすい8月以降、はっきりとした円高の流れを作るかのどちらか、あるいは両方の動きがあらわれると考えられます。
NYダウは、2020年3月以降、5つの波の上昇の流れを作っていると見た場合、本年9月頃までの上値重くなりやすい時期に、昨年9月3日から10月30日にあらわれた3056ドル幅の下げ場面と同程度か、それ以上の値幅の下げ場面になると考えられます。
今後、3000ドル幅以上の下げを経過する過程で、日経平均が3000円幅以上の下げ場面となれば、25000円以下へ到達することになります。
〇 本年のNYダウは6月に上値重く推移する可能性がある
図表01では、年初からはっきりとした上昇の流れを作っている場合の6月の展開も掲載しています。
これを見ると、6月に上昇している年は、1995年と2017年、2019年で、その他の年が横ばいか下降の流れのどちらか(後述しますが、「V」は横ばいです)となっています。
1995年は、メキシコ通貨危機に対応するため、日米独による協調介入が実施されて、ドル安を止め、そして、金融政策を転換して、94年に引き上げてきた政策金利を引き下げたことで、株価上昇への期待値が上がっています。
2017年は、トランプ大統領の景気対策が実行される過程で株価が上昇しました。
2019年は、1995年、2017年のような政策によって景気を押し上げる期待の持てる材料があったわけではなく、5月に大きく下げたので、その分を戻す動きになっただけです。
本年は、景気対策に対する材料が出尽くした状態で、5月のNYダウが大きく下げる動きになったわけでもありません。
本年6月のNYダウは、図表01の年の動きを参考にするなら、横ばいか、下げの流れを作ると考えられます。図表01の中の「→」は、一定のレンジ内でジグザグに横ばいに推移する動きです。「V」は、大きく下げた後、下げた分を戻して、結果として横ばいになっている動きです。
NYダウは、6月1日に足型で上ヒゲの長い線をつけて、強く上値を抑えられる格好になっています。
4日に再度、1日の高値を試す動きを経過していますが、前述した通り、6月が横ばい、または下降の動きになるなら、今後は、1日の高値34849ドルが強く意識される展開になると考えられます。
以上のことを考慮したNYダウの6月の展開は、図表02の通りになります。

前回、日経平均株価の6月は、5月に動いた範囲内で推移すると書きました。
前述したNYダウの展開と、日経平均株価の経験則を考慮すると、本年6月の日経平均株価は、図表03の実線の展開が考えられます。
